■連載/阿部純子のトレンド探検隊
使う人の身長や使う場所に合わせて約22cm長さが変えられる
AQUAから今年9月に新発売されたコードレス スティック クリーナー「のび~るスティック(AQC-PX1N)」(オープン価格/実勢価格3万7400円)は、ユーザーの身長や使う場所に合わせて、掃除機の長さを最大で約 22cm変えられる伸縮ノズルを搭載している。
伸縮ノズルはキャニスター掃除機ではよく見られるが、国内の家庭用スティック掃除機では唯一(※AQUAの調べ、2022年8月現在)となる。
スティッククリーナーは使う人の身長と掃除機の長さが合わないと使いづらく、使うたびに延長パイプを外して長さを調整したり、アタッチメントを付け替えたり、階段など狭い場所ではハンディタイプに変えたりなど、手間がかかる。
同社にもクリーナーのハンドルの位置についてユーザーから「高すぎる」「低すぎる」という意見が寄せられ、人によって使い勝手の良さが大きく変わるクリーナーの高さを、だれもが快適に使えるようにする解決方法はないかと模索していたという。
社内で検討する中で、ノズルが伸縮して長さを調節できれば身長差に関係なく、多くの人が使いやすいクリーナーになるのではというアイデアが生まれ、「わたしに、家族に、ちょうどいい」クリーナーという商品コンセプトにつながった。
伸縮する長さは約22㎝で、約2㎝ずつ11段階の調整が可能。同社で把握している「身長と使いやすいハンドル高さの比率」から約95cmの長さなら11歳程度の子どもでも使えるクリーナーになると考え、約95cmから機能に影響無く伸ばせる最大幅が約22cmだったためこの伸縮幅となった。子どもから高身長の人まで快適に使える長さで、階段や脱衣所などの狭い場所は短くするなど、ユーザーの身長や掃除する場所に合わせて楽に掃除ができる。
伸縮させる時はノズルについている伸縮ストッパーを上下させるだけの簡単操作。引っかかる感じもなくスムーズに動きストレスを感じない。ボタンは電源と強さ切り替えの2つだけのシンプルな操作。また、標準モードで約50分連続運転できるので、1 回の充電で途切れることなく家じゅうを掃除できる。
BLDCモーターを採用し強い吸引力を実現。BKDCモーターはブラシがないモーターで小さく設計でき、かつ効率が良いためパワーが大きく、摩耗が少ないためDCモーターよりも耐久性があり寿命が長いというメリットがある。
ラウンド型のハンドルは 長い時間握っていても手首への負担がかかりにくく、グリップ部分が広くなっているので、位置を変えて持つこともできる。(※下記はAQC-HF501のグリップとの比較)
カラーはホワイトとダークブラウンの2色。全体はマットカラーだが、ホワイトはシルバーをアクセントにし、ブラウンはノズル部分をメタリックにして質感の違いをアクセントにしている。
【AJの読み】軽量化が進むスティッククリーナーの中では重さは不利だが、階段掃除には重宝しそう
キャニスター掃除機では伸縮するノズルはデフォルトだが、スティック掃除機は今回の「のび~るスティック」が唯一と聞き、「なぜだろう?」と疑問がわいた。技術的にも難しいものではないし、伸び縮みすれば便利なのにと思っていたので、AQUAの広報担当者さんに素朴な疑問をぶつけてみた。
「他社の管(パイプ)部分は樹脂製が多く、伸縮式にすると金属を使うこともあるので重くなるというデメリットもあります。スティッククリーナーは軽量化が進んでおり、その点では不利になるので採用されていなかったのではないでしょうか」
「のび~るスティック」の重量は2.2㎏。個人的には、以前は2㎏以上を普通に使っていたことを考えるとそんなにデメリットとして感じていないが、1㎏台がメインになり、1Lの牛乳パックより軽いスティッククリーナーさえある中では、確かに「重い」範疇に入るため、重量はマイナスポイントになるかもしれない。
メリットとして感じるのは面倒な階段掃除で活躍しそうな点。長さの変わらないスティックを使うとヘッドの角度や自分が立つ位置を変えながら掃除しなければならず、ハンディだと小さいため時間がかかる。伸縮式ならば階段でもスムーズに掃除が進みそうだ。また、小学校高学年なら使える長さなので、自室を自ら掃除させる良い機会にもなり得る。
課題点を挙げるとすれば自立型ではないこと。掃除の途中で止めたり、保管する際には立てた状態で置けないので、この点は改善されることに期待したい。
文/阿部純子