「友人や同僚に薦めたい」。多くのユーザーがそう思う、顧客満足度が高い銀行とは、いったいどの銀行なのだろうか。
というわけでNTTコム オンラインが発表した「NPSベンチマーク調査2022銀行部門」の結果をお伝えしよう。
NPS(Net Promoter Score)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを図る指標。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPSを活用する企業が増えている。
銀行部門のNPS1位は「ソニー銀行」
対象の銀行13行のうち、NPSのトップは昨年に引き続き「ソニー銀行」(-22.9ポイント)となった。2位は「住信SBIネット銀行(-25.8ポイント)、3位はauじぶん銀行 」(-33.2ポイント)となった。トップ行とボトム行の差は48.1ポイント、13行のNPS平均は-44.1ポイントとなった。
安心・信頼性、サービス・手続きの利便性の良さがロイヤルティ醸成に寄与
銀行業界のロイヤルティの要因を19の項目で分析したところ、業界全体では「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」、「利用時の安心さ・セキュリティの信頼性」といった、銀行のイメージや安心・信頼性に関する項目がロイヤルティ醸成の要素となった。
また、「ネットバンキングの使いやすさ・分かりやすさ」や「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」のほか、「手続きの簡単さ」、「店舗・ATMの利便性」といったサービスや手続きの利便性のよさも業界全体のロイヤルティを高める要因となった。
一方でロイヤルティを高めるために優先的に改善すべき項目としては、「お客様に寄り添う姿勢・大切にする姿勢」のほか、「ニーズを満たす商品のラインナップ・商品の魅力」、「サービスの対価に見合った合理的な手数料」となり、商品性や手数料に関連する項目において、今後の改善が期待される結果となった。
NPS1位の「ソニー銀行」は「お客様に寄り添う姿勢・大切にする姿勢」や「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」、また「利用時の安心さ・セキュリティの信頼性」といった企業イメージに関連した項目が業界トップの評価となり、ロイヤルティ向上に繋がる結果となった。
2位の「住信SBIネット銀行」は「ニーズを満たす商品のラインナップ・商品の魅力」、「サービスの体感に見合った合理的な手数料」といった商品性において、また3位の「auじぶん銀行」も商品性のほか、自由記述においても携帯キャリアのauユーザー向けの利便性の良さが評価されており、「ネットバンキングの使いやすさ・分かりやすさ」「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」といったデジタルの接点がロイヤルティ向上につながる結果となった。
コロナ禍により利用者の12.4%が「感染拡大前より窓口やATMの利用が減少した」
新型コロナウイルス感染拡大前と比較して、対象の銀行の窓口やATMの利用頻度について変化があったか調査したところ、「特に変わらない」と回答した利用者は全体の84.2%となった。
一方で割合としては少ないものの、「利用が減った・比較的減った」と回答した割合は12.4%、「利用が増えた・比較的増えた」と回答した割合は3.4%みられる結果となった。
銀行窓口・ATMの利用の頻度が減った利用者にその理由を自由記述により聴取した。その結果、「新型コロナウイルスの感染防止のため」や「外出が減ったこと」などの理由に加え、「クレジットカードやQRコード決済の利用が増え、現金の利用が減った」といった現金以外の決済手段が高まった。
このほか、「スマートフォンアプリやネットバンキングで手続きが完了するから」といった理由もみられ、従来の銀行窓口やATMでないとできなかったサービスや手続きが、アプリやネットバンキングに代替できるようになり、デジタル接点の利用が増えたことがうかがえる傾向となった。
スマホATM機能を利用している利用者のNPSは高い傾向に
最近では、従来の銀行形態とは異なり、スマートフォン上で銀行サービスが完結するなどの新しい形態の銀行サービス、いわゆる「デジタルバンク」の提供が進んでいる。
このうち、NPS上位となった「住信SBIネット銀行」や「auじぶん銀行」においても提供している、デジタルバンクの特徴的な機能の一つであるATMでの入出金ができる「スマホATM」機能について、同機能を提供している銀行の公式アプリ利用者に利用状況を調査したところ、「利用している・今後利用したい」と回答した利用者は合計で79.7%となった。
スマホATM機能の利用有無別にNPSを分析したところ、「利用している」と回答した人のNPSは-3.2ポイントとなり、「利用していない」と回答した人を上回る結果となった。
スマホATMをはじめとしたデジタルバンクの機能拡充など、デジタルによる銀行サービスや手続きの利便性の向上を進めることがロイヤルティ向上につながることが示唆される結果となった。
普通預金残高、資産運用残高ともに、ロイヤルティが高いほど残高も多い
対象の銀行での普通預金および資産運用の平均残高を調査したところ、推奨度が高いほど、平均残高も高い結果となった。「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)と比較して、平均預金残高は1.7倍、また平均資産運用残高は1.8倍高い結果となった。
<調査概要>
【銀行】
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
auじぶん銀行、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)、イオン銀行、新生銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行、りそな銀行
調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち上記銀行利用者
調査方法:NTTコム リサーチ*による非公開型インターネットアンケート
調査期間:2022/7/15(金)~ 2022/7/19(火)
有効回答者数:5,559名
回答者の属性:
【性別】男性:61.6%、女性:38.4%
【年代】20代以下:7.0%、30代:14.0%、40代:24.2%、50代:23.7%、60代以上:31.1%
出典元:NTTコム オンライン
構成/こじへい