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三菱ケミカルグループが200億円以上を投じてグローバルハブを目指す新研究棟を開設

2022.10.05

国内最大手の総合化学メーカーである三菱ケミカルグループは、同社グループの研究開発拠点である横浜市青葉区のScience & Innovation Centerに新研究棟を開設した。

新研究棟外観/(C)GRAFILM

同社グループの研究開発は「常にイノベーションを生み続け、持続的に社会に貢献するワールドクラスの研究開発部門となる」ことをビジョンとして掲げている。このビジョンに基づき、Science & Innovation Centerは、サイエンスに立脚した基礎研究を中心に担い、中長期を視野に、社内外とのコミュニケーションを図りながら、イノベーションの創出に取り組んでいるという。

新研究棟内部/(C)GRAFILM

今回開設した同社グループ最大規模となる新研究棟では、最新鋭のデジタル設備の導入により、研究開発の高速化、効率化を図るとともに、社内外のパートナーとリアル/バーチャルに繋がる設備の導入。

またオフィスの集約によるコミュニケーションの推進により、さらに創造性の高い研究に取り組める環境を整え、持続的に社会に貢献するイノベーションを生み出し続ける研究開発体制の確立を目指すとしている。

そんな三菱ケミカルグループの新研究棟開設のプレス発表会・内覧会に行ってきたので、その様子を紹介しよう。

持続的に社会に貢献しイノベーションを生み出し続ける研究開発拠点

さて、新研究棟開設の発表会では、三菱ケミカルグループ 執行役シニアバイスプレジデント CTOのラリー・マイクスナー氏が登壇。以下のように語った。

「私たちは1976年、今から46年前にここ青葉台に研究所を開設しました。それ以来、数々の技術や製品の開発を行なってきました。しかし、時を経るにつけて研究施設の老朽化が進み、急速に進むデジタル化や徹底的な省エネなど時代の要請に対応するのが難しくなっておりました。また、国内だけでなく国外の人々とグローバルに共同作業を行なう新たな場をつくりたいという希望もありました。

今年度から我が社は、持株会社や事業会社ごとに経営していた体制からOne Company, One Teamの考え方のもと、グループ全体を一体的に運営する体制に移行しました。それに併せて当社の商号も三菱ケミカルグループに変更されました。これは効率性を重視した事業運営とグループの力を一体化し、事業の成長を引き出すことを狙いとしています。

中でも事業の成長は、研究開発によるイノベーション創出にかかっており、このScience & Innovation Centerの新研究棟が大きな役割を果たしてくれるものと期待しています。我々は、これからこの新研究棟で、サイエンスに立脚した基礎研究を中心に中長期な視野で、人、社会、そして地球のためにさまざまな技術や材料の開発を行なっていきます」

続いて、Science & Innovation Center センター長の山本正規氏が登壇。新研究棟についての説明を行なった。

山本氏によると、新研究棟のある青葉区は緑が豊かで、まわりには大学や住宅が建ち並び、研究・開発を行なうには非常に良い環境が整っている。また、横浜という土地柄、まわりにはアカデミアや国の研究機関などもありオープンイノベーションを進めていく上で、非常に有利な立地だと考えているという。

昔からあるケヤキ並木を生かした設計デザインとなっている

今年2月末に完成したこの新研究棟の建物は、地上6階、地下1階の構造となっており、建築面積は約1万平方メートル、延床面積は4万2千平方メートルにもおよぶ。建物の設計・監理・施工は、竹中工務店が行ない、投資額は総額で200億円以上とのこと。

新棟のグランドオープン時には、ノーベル化学賞受賞者のベンジャミン・リスト教授も来所して講演を行なったとか

この新研究棟の設計にあたり、「オープン」(社内外との交流)、「デジタル」(最先端の施設)、「サイエンス」(深堀しやすい環境)、「安全・安心」(効率的な研究基盤とセキュリティ環境)、「サスティナビリティ」(持続可能な社会実現)、「ダイバーシティ」(多様性の尊重)、「フレキシブル」(時代の変化に対応)という7つのコンセプトを設定。

「常にイノベーションを生み続け、持続的に社会に貢献するワールドクラスの研究開発部門となる」という大きな目標を目指すとしている。

反射を抑えるモスマイト加工フィルムを絵画のフレームの左半分に施行

モスマイト加工フィルムを施行していない左半分は反射で写り込みが顕著

スタイリッシュなデザインのアクリル樹脂製テーブル

そして、建物の1階には、多くの来客を想定しているため同社の製品を使用したアート作品を展示。例えば、反射を抑えたモスマイト加工フィルムに露を配したインスタレーションであったり、その存在さえも見失ってしまうほどの透明でありながら非常に重厚感のあるアクリル樹脂製テーブルなど、数多くの先進技術を導入したアートがディスプレイされている。

また、新研究棟の設計で特に意識したのが、施設のデジタル化であったという。同研究所では2020年にハイパフォーマンスコンピューターの「NAYUTA」を導入し、2021年より本格稼動している。

そのために高速で大容量のネットワークが不可欠で、さらに実験の自動化により、ラボのデータを高速でやり取りするなど効率化する必要があった。加えて、研究員の入退室や試薬の管理、運転監視などの安全面でも寄与するのだという。

なお、昨今の世界的な課題への対応や社会の変化に対するイノベーションは、もはや1企業で成し遂げるものではないため、社内外での活発なコミュニケーションを図ることが重要だと考え、「KAITEKI PALETTE」と名付けた社外交流のエリアを設置。

ここは、製品の展示スペースではなく、社外の人と開発された技術や材料などを使ってどの様な製品を作れるかというコミュニケーションの場としているという。

もちろん、社内の交流の場として「IRODORI」というスペースも2階に設置。高速なネットワークでほかの工場や営業所、海外などとも繋がってコミュニケーションが取れるとのこと。

2階の通路「クロスロード」

右の建物が食堂などが入った厚生施設

クロスロードのいたるところにコミュニケーション用のイスやテーブルを設置

そして、この新研究棟の設計で特徴的なのが、豊富な緑を生かしたデザインだという。実は、この新棟の向かいには、従業員用の更衣室や食堂などが入っている厚生施設があり、そこと結ぶ2階の通路である「クロスロード」も緑の映える開放的な空間となっている。

これは、多くの従業員が毎日何度も通るそのスペースをコミュニケーションの場として活用して欲しいという想いが込められているという。

こちらの案内板は、昨年開催された東京オリンピックで使用されたピクトグラムと同じデザイナーなのだとか

さて今回の発表会では、研究施設ということもあり、あまり写真を撮ることはできなかったが、見たことのないような電子顕微鏡など、先進的な設備が整っていた。

さらに、まるで現代美術館のようなおしゃれなスペースや緑あふれる開放的な空間など、研究員や従業員にとっては最高のロケーションだと感じた。そんな環境から誕生する技術や製品は、きっと我々をワクワクさせてくれるよう開発につながることに違いないだろう。

関連情報:https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/

取材・文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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