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マーケッターならおさえておきたい、超えてはならない「誇大広告」の境界線

2022.10.05

商品やサービスの宣伝広告には、消費者に良いイメージを持ってもらうため、多少の誇張表現が含まれるのは仕方のないところです。

しかし、実態とはあまりにもかけ離れた誇大広告は違法であり、行政処分や契約取消しなどの対象となります。もし違法な誇大広告に騙されてしまったら、速やかに消費生活センターなどへご相談ください。

今回は、法律によって禁止されている誇大広告の要件・表現例などをまとめました。

1. 誇大広告を規制する主な法律

誇大広告を規制しているのは、主に以下の法律です。

①景品表示法※

商品・サービスの品質等を実物よりも著しく良く見せる広告(優良誤認表示)や、価格等を著しく有利に見せる広告(有利誤認表示)などが禁止されています。
※正式名称:不当景品類及び不当表示防止法

②消費者契約法

一般消費者向けの商品・サービスにつき、不当な方法によって消費者に契約を締結させる行為が禁止されています。

③健康増進法

健康食品に関する誇大広告についての規制が定められています。

④薬機法※

医薬品に関する誇大広告についての規制が定められています。
※正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

2. 違法な誇大広告の要件・表現例

誇大広告を規制する各法律では、違法な誇大広告の要件が定められています。具体的な表現例と併せて見ていきましょう。

2-1. 景品表示法違反に当たる誇大広告の要件・表現例

景品表示法では、主に優良誤認表示または有利誤認表示に当たる誇大広告が禁止されています。

①優良誤認表示

商品・サービスの品質その他の内容につき、実際のものや競合他社のものよりも著しく優良であると示して不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的・合理的な選択を阻害するおそれのある広告表現は、優良誤認表示に当たります(景品表示法5条1号)。

(例)
「医学的に認められたヒーリング効果」
「競合他社に比べて2倍のダイエット効果」
→客観的なデータが公正な形で引用されていなければ、優良誤認表示に当たる

②有利誤認表示

商品・サービスの価格その他の取引条件につき、実際のものや競合他社のものよりも著しく有利であると示して不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的・合理的な選択を阻害するおそれのある広告表現は、有利誤認表示に当たります(景品表示法5条2号)。

(例)
「いつでも返品可能」
→実際には返品に条件が付されている場合は、有利誤認表示に当たる
「定価の7割引大特価」
→最近定価で販売された実績がなければ、有利誤認表示に当たる

優良誤認表示または有利誤認表示をした事業者は、消費者庁による措置命令や課徴金納付命令の対象となります(同法7条、8条)。

2-2. 消費者契約法違反に当たる誇大広告の要件・表現例

消費者契約法では、商品やサービスの品質・効果・取引条件などを実際よりも良く見せるための言動のうち、以下のものが禁止されています(消費者契約法4条)。

①重要事項に関する、真実でないことの告知

(例)
「この機械をエアコンに取り付けると、電気代が安くなる」
→電気代が安くなる効果がなければ、消費者契約法違反

②不確実な事項に関する、断定的判断の提供

(例)

「この貯蓄型保険商品を買えば絶対に大儲けできる」
→貯蓄型保険商品の価格変動は不確実なので、消費者契約法違反

③不利益事実を告知しないこと

(例)
「日当たり・眺望良好のマンション」
→販売業者が日当たり・眺望を遮る建設計画の存在を知っていた場合は、消費者契約法違反

④消費者の不安を煽る告知

(例)
「このセミナーを受講しなければ、就職内定は夢のまた夢です」
→就職できないかもしれないという不安を覆っているので、消費者契約法違反

⑤デート商法

(例)
「この宝石を買ってくれなければ別れる(男女交際をやめる)」
→恋愛関係の破綻を材料に脅しているので、消費者契約法

⑥加齢または心身の故障による判断力の低下を不当に利用するもの

(例)
「投資用マンションを買わなければ生活が苦しくなる」
→加齢により判断能力が低下した消費者に対する場合、消費者契約法違反に当たり得る

⑦霊感商法

(例)
「悪霊がとりついているので、この壺を買って除霊する必要がある」
→実証困難な霊感を根拠に不安を煽っているので、消費者契約法違反

など

これらの言動により、消費者が誤認・困惑した結果として契約を締結してしまった場合、消費者はその契約を取り消すことができます。

2-3. 健康増進法違反に当たる誇大広告の要件・表現例

健康増進法では、食品として販売する物についての広告につき、以下の事項に関する著しく事実と異なる表示、または著しく人を誤認させるような表示が禁止されています(健康増進法65条1項、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令19条)。

①健康の保持増進の効果

(例)
「老化防止効果あり」

②含有する食品または成分の量

(例)
「タウリン○mg配合」

③特定の食品または成分を含有する旨

(例)
「コラーゲン含有」

④熱量

(例)
「カロリー○%オフ」

⑤人の体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つことに資する効果

(例)
「美白効果あり」

→いずれも虚偽の場合、実態と著しく異なる場合は健康増進法違反

健康増進法違反の誇大広告をした事業者は、内閣総理大臣または都道府県知事による勧告・措置命令の対象となります(同法66条1項、2項)。

2-4. 薬機法違反に当たる誇大広告の要件・表現例

薬機法では、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品について、以下の事項に関する虚偽広告・誇大広告が禁止されています(薬機法66条1項)。

①名称

(例)
「育毛剤」
→育毛効果がなければ薬機法違反

②製造方法

(例)
「カリスマ薬剤師が調合した画期的医薬品」
→「カリスマ」などの表現が誤導的なので薬機法違反

③効能

(例)
「60代でも、全員20代並みに腸の働きが活発になる」
→「20代並み」が何を意味しているのか不明であり、かつ「全員」に効能が生じることはあり得ないので薬機法違反

④効果

(例)
「服用すれば必ず口内炎が治る」
→100%の効果はあり得ないので薬機法違反

⑤性能

(例)
「従来の2倍の性能を持つ医療機器」
→「2倍の性能」の根拠となる客観的データが示されていなければ薬機法違反

また、医薬品等の効能・効果・性能については、医師等が保証したと誤解されるおそれのある広告が禁止されています(同条2項)。

(例)
「医師推薦、抜群の治癒効果!」

さらに、未認証の医薬品・医療機器・再生医療等製品については、名称・製造方法・効能・効果・性能に関する一切の広告が禁止されています(同法68条)。

(例)
「歯の再石灰化を促進するガム」
→特定保健用食品などを除いて薬機法違反

薬機法違反の誇大広告をした事業者は、刑事罰や課徴金納付命令の対象となります(同法85条、75条の5の2)。

3. 誇大広告に騙されてしまった場合の相談先

消費者の方が誇大広告に騙されてしまった場合は、消費者庁の窓口や弁護士などに相談しましょう。

①消費者庁の相談窓口

消費者被害を回復するための方法について、行政の客観的な視点からアドバイスを受けられます。相談は無料です。

参考:相談窓口|消費者庁

②弁護士

契約の取消しや返金請求などを、消費者の代理人としてサポートします。依頼には費用がかかりますが、相談は無料のケースも多いです。各弁護士事務所のHPなどから相談できます。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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