その年の最も優れた文具を表彰する『第31回 日本文具大賞2022』が発表された。文具の新たなスタンダードになる可能性を秘めた、機能部門&デザイン部門のグランプリと優秀賞に輝いた全10商品を一挙紹介する。
子供と大人の日常生活を快適にする文具が戴冠!
優れた道具の登場は、日常に潜む新たな課題を浮き彫りにする。『第31回 日本文具大賞』は、改めて本アワードの意義を感じさせる商品がグランプリに輝いた。
機能部門のグランプリは、『ダ・ヴィンチ』などシステム手帳で知られる老舗レイメイ藤井の『先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき』だ。パッと見は定番的な下敷きだが、間近で見ると表面に微細なドットが施されているのがわかる。支援学級の生徒と先生の声をきっかけに生まれた本品は、当事者でない人たちにも新しい気づきを与えながらも、悩みの解消を期待させる機能性が評価された。
デザイン賞グランプリを飾ったwemo『wemo paper flip board』が捉えたのは、ビジネスパーソンが抱える現在進行形の課題。コロナ禍で一気に普及したWeb会議だが、今なお意思疎通が難しいという不満の声を聞く。この悩みに切り込んだ本品は、様々な工夫を凝らすことですれ違いの頻度を軽減する。どちらも文具でありながら、窮屈な世界に奥行きを与えるライフスタイルツールであると断言したい。
機能部門グランプリ
運筆力低下など現代の子供たちをサポートする学習補助教材のような文具
レイメイ藤井『先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき』660~825円
表面に微細なドット加工を施した、画期的な学童文具。筆記時のペン先の動きが振動となり、頭の中でイメージしている文字と手の動きが一致しやすくなる。運筆力を育て、流れ文字、雑文字、字形不揃い、筆圧の改善に役立つ。
〈 メーカーはココにこだわった!〉専門作業療法士(鴨下賢一氏)の発案と、印刷加工技術を融合して開発した商品です。特殊加工で施したドットのサイズや間隔、丸や曲線を書く時に鉛筆の先が引っかからないドットの配置に特にこだわりました。
年齢別に2種のドットを用意!
0.6mm径は幼児~小学生低学年向け、0.3mm径は小学生低学年~中学生向け。今年10月に暗記学習に便利なB5サイズの新色を販売予定。
機能部門優秀賞
これまでにないギミックやアプローチによって新たな利便性を付与。文具マニアが思わず膝を打つような新定番商品が選出された。
ほぼ日『ほぼ日ノオト』各297円
デザイン心理学に基づいて開発した新しい罫線のノート。2020年に特許を取得した独特な罫線は、千葉大学発ベンチャーと共同開発したもの。ノートを開いた時の威圧感などを軽減する。
新発想の罫線が〝書きたい気持ち〟を後押し
〈 メーカーはココにこだわった!〉人間の錯視を応用した罫線は、線が繋がっていないのに、罫線に見えるのが特徴。このスキマが、視覚的ストレスを和らげ、文字や図を書きやすくします。
Kitera『スキナイロイレテーナ』各220円
手持ちのカラーインクや万年筆インクを、付属した芯に染み込ませることで、自分だけのオリジナルカラーのツインペンが完成する。ペン先はラインマーカーのような扁平と細芯の2種。
「使い切れない……」インク沼の救世主
〈 メーカーはココにこだわった!〉インクを収集する人が増えた一方で、消費されるのはごくわずか。お気に入りの色を1色でも多く持ち運び、無駄なく楽しんでほしいという思いから開発に至りました。
プラス『ケース消しゴム「くるっと」』各165円
本体下部のツマミを回転させることで、適量の消しゴムを繰り出せる。本体のサイズは一般的な消しゴムと同等なので、消しゴムを使い切るまでしっかりと握って消すことができる。
転がりにくく広範囲から部分消しまで対応
〈 メーカーはココにこだわった!〉紙が破れる・握りにくくなるなど、紙スリーブ巻き消しゴムの欠点を解消。いつもの消しゴムと同じ感覚で扱えるように、ケースの厚みを薄くして一体感を高めました。
印友舎『ドアPETAハンコ』1980円~
強力な磁石をキャップの先端に内蔵した、スティックタイプのハンコ。玄関ドアや冷蔵庫などに固定することができ、鍵などをかけるフックやメモを留めるペーパーロックとしても使える。
1本3役の機能を搭載で玄関先のモヤモヤを解消
〈 メーカーはココにこだわった!〉小さくても最大限強力な磁石、ドアなどに固定した際の角度、キャップと本体の嵌合具合は0.01mm単位で試行錯誤。おしゃれに見えて機能的なデザインを追求しました。