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「トップガン マーヴェリック」で注目!ポストコロナに向けて配給会社やシネコンが推す次世代映画館「ScreenX」

2022.10.02

(C) Cinema Sunshine Co., Ltd. All Right Reserved.

 国内での興行収入が9月上旬時点で123億円を突破し、全世界でも13.55億米ドル(約1900億円)を売り上げたトム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」。

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

〝追いトップガン〟なる言葉も生まれるなど、公開から4か月が過ぎても勢いの続く作品だが、「トップガン マーヴェリック」が上映されるシアターで注目を集めているのが「ScreenX」だ。

(C) Cinema Sunshine Co., Ltd. All Right Reserved.

迫力ある映像を楽しめる「IMAX」

 2022年5月27日に国内で公開された「トップガン マーヴェリック」。すでに4か月を超えるロングランになっており、9/16(金)より全国の劇場にて、「トップガン」4Kニューマスター版、「トップガン マーヴェリック」の2作連続上映中だ。

上映する各シアターをチェックしてみると、通常のスクリーンのほかに、いくつかの違ったフォーマットで上映されていることがわかる。

 たとえば、巨大スクリーンで迫力ある映像を楽しむフォーマットとして、国内外で広く知られているのは「IMAX」で、国内でも多くのシネコンにIMAXシアターが導入されている。

(C) Cinema Sunshine Co., Ltd. All Right Reserved.

【参考】IMAXとは?

「IMAX」は元々、70mmのフィルムで横向きにロールするカメラで撮影した映像を上映するフォーマットとして登場したもの。縦横比最大1:1.43のサイズで、高画質かつ高解像度の作品を楽しむことができたが、撮影機材や上映設備が巨大なうえ、制作や上映のコストも高いため、記録映画や一部の作品に採用されるのみだった。

 ちなみに、商業映画での「IMAX」の可能性を大きく拡げたのが映画監督のクリストファー・ノーランで、「ダークナイト」や「インターステラー」では当時、数十万ドルと言われたIMAX用フィルムカメラを駆使し、それまでになかった迫力のある映像の作品を完成させている。

 そして、現在は巨大スクリーンに適した「IMAX」のフォーマットを活かしながら、デジタル化された「IMAXデジタルシアター」へと進化を遂げ、国内外のIMAXシアターで作品が上映されている。「IMAXデジタルシアター」はデジタル化された映像データをデジタルプロジェクターで投影するしくみで、最新のシアターではプロジェクターを4Kレーザー対応のものにアップグレードされ、「IMAXレーザー」としてより高品質な映像で作品を楽しむことができる。

 ちなみに、東京の「グランドシネマサンシャイン 池袋」、大阪の「109シネマズ大阪エキスポシティ」の2館は70mmフィルムの最大画角(1:1.43)まで投影できる「IMAXレーザー/GTテクノロジー」が導入されており、スクリーンサイズは国内最大級だとされる。世界最大はオーストラリア・MelbourneのIMAX Melbourneで、幅32m、高さ23mの超巨大スクリーンで映画を楽しめる。

スクリーンが正面から三画面へ拡大する「ScreenX」

 現在、シネコンや映画館では、いずれも基本的に客席の背後から正面のスクリーンに投影した映像を鑑賞している。そのため、シアターのスクリーンサイズによって、映画を鑑賞したときの印象は違い、動きの激しいアクションや広大なシーンを描く作品などは、巨大なスクリーンが設置されたIMAXシアターの方が楽しめるという声が多い。

 これに対し、正面のスクリーンに加え、左右の壁もスクリーンとして活用したシステムが「ScreenX」だ。

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

しくみとしては客席の背後から投影するプロジェクターに加え、左右の壁の上部にプロジェクターを設置し、対面の壁(スクリーン)にも映像を映し出す。これにより、約270度の三画面ワイドスクリーンで上映されるため、映画の中に入り込んだような没入感を体験できる。シアターによって、スクリーンサイズが違うため、一概に比較できないが、高さ5〜7m程度の通常サイズのスクリーンでも三画面ワイドスクリーンで上映すれば、IMAXシアターに迫るほどの臨場感と没入感を得られる。

 ちなみに、シネコンなどの「ScreenX」を紹介するWebページでは、正面と左右のスクリーンに映像が映し出され、左右の壁が斜め後方へ向かって、拡がっているように描かれているが、実際のシアターの部屋は台形ではなく、一般的なスクリーンの部屋と同じスクエアなレイアウトになっている。実際の見え方としては、少し後方の座席なら、全体を見渡しやすく、中段付近の座席では視界のほとんどを映像が占めるため、一段と没入感が得やすいとされている。

 ただし、「ScreenX」による上映は、左右のスクリーンに投影する映像データが必要なため、上映される作品は対応作品に限られる。今回の「トップガン マーヴェリック」は戦闘機内にもカメラを設置するなど、制作時に様々な映像が撮影されており、これらをフルに活用することで、「ScreenX」を最大限に楽しめる環境を実現している。

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

 とは言うものの、映画の全編が三画面ワイドスクリーンで上映されるわけではなく、対応する映像が用意されているシーンのみ、三画面に映し出され、それ以外は正面のスクリーンのみに上映する構成になる。今回の「トップガン マーヴェリック」では戦闘機によるドッグファイトのシーンを中心に、三画面ワイドスクリーンで上映される。

 「ScreenX」のシステムは、韓国でシネコンを展開するCJ CGVなどが中心に開発したもので、国内では十数か所のシネコンに導入されている。鑑賞料金はシアターによって異なり、通常料金に400〜600円程度の追加料金で楽しむことができる。

 また、一部のシネコンでは映画のシーンに合わせ、座席が動いたり、風やミスト、香りが体感できるアトラクション型シアター「4DX」が提供されているが、これに「ScreenX」の超ワイドスクリーンを組み合わせた「4DX Screen」のシステムも導入されている。「トップガン マーヴェリック」ではトム・クルーズ演じるマーヴェリック大佐の戦闘機に同乗したような異次元の体験ができるわけだ。

【参考】4DX – シネマサンシャイン

【ScreenX/4DX Screen導入シアター】

ポストコロナへ向けた取り組みやサブスクリプション対策の一面も

 「ScreenX」をはじめ、これまでとは違ったフォーマットで上映する背景には、ポストコロナ禍へ向けたシネコンや配給会社の思いがあるだろう。

 コロナ禍では飲食業はじめ、様々な業種が大きな影響を受けたが、シネコンや配給会社など、映画業界も同様で、当初はほとんどのシアターが休業を強いられ、多くの作品が公開スケジュールを延期せざるを得ない状況が続いた。コロナ禍で遠のいた客足を取り戻すため、シネコンや配給会社も様々な取り組みをしている。たとえば、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)では、学術機関の協力のもと、実証実験を行ない、シアター内の空気が20分程度で入れ替わることを確認し、その様子をYouTubeで公開することで、安全性をアピールしている。

 通常フォーマットと違う上映としては、前述の「IMAX」が挙げられるが、「IMAX」はシアターの規模が大きく、ある程度、集客が見込める作品でなければ、上映できない。これに対し、「ScreenX」はまだシアターや作品数が限られているものの、通常のスクリーンと変わらない100〜200席クラスのシアターで上映できる。

 また、「ScreenX」や「IMAX」など、これまでと違ったフォーマットでの上映は、通常の鑑賞料金に加え、追加料金が発生するが、これも消費者の負担を抑え、集客を増やそうとしている。たとえば、NTTドコモやau、ソフトバンクといった携帯電話会社とタイアップしたキャンペーンでは、各社の契約ユーザーなら、一部の劇場では割安な料金で楽しむことができるため、「ScreenX」や「IMAX」などで発生する追加料金をほぼ相殺できる。少し変わったところでは映像配信サービスのU-NEXTが同社サービスのポイントを使い、各シアターで利用できる「映画館クーポン」を購入できるサービスを提供している。

 さらに、シアターでしか得られない体験を提供したいという狙いもある。コロナ禍で外出を控えるようになったことで、NetflixやAmazonプライムなどの映像配信サービスを家庭用テレビで楽しむ人が増えたとされる。その影響もあってか、作品によっては劇場公開から早いタイミングで映像配信サービスに展開されるケースが増えており、「少し待てば、配信で見られる」と、シアターでの鑑賞を躊躇する人も居るが、「ScreenX」「4DX Screen」「IMAX」のように、シアターでしか楽しめないフォーマットの上映を充実させることで、もっとシアターに鑑賞してもらおう、体験してもらおうというわけだ。

〝追いトップガン〟を新たなフォーマットを体験

 2022年5月27日に公開された「トップガン マーヴェリック」は、36年ぶりのストーリーを継ぐ内容と完成度の高さから、くり返し視聴する人が増え、SNSなどでは〝追いトップガン〟なるキーワードも生まれている。こうした人たちにとって、「ScreenX」はまさに打ってつけのシステムというわけだ。

 たとえば、最初は「IMAX」の巨大スクリーンで迫力ある映像を鑑賞し、2回目は「ScreenX」の三画面ワイドスクリーンで大空を飛び、3回目は「4DX Screen」でドッグファイトを体感する、といった具合いに、フォーマットを変えながら鑑賞してみるのも楽しそうだ。音響にも優れた「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」や「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」などで再鑑賞するのもおすすめだ。新しいフォーマットの映像体験を楽しむために、ぜひ、シアターに足を運んでいただきたい。

文/法林岳之

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