「縫い包み」は多くの人が一度は聞いたことがある言葉です。何を指す言葉であるかも知っていると思います。しかし、漢字だと読めない人もいるかもしれません。縫い包みの読み方や意味だけでなく、ためになる豆知識も紹介します。
縫い包みの読み方
縫い包みの読み方は「ぬいぐるみ」です。縫い包みは、平仮名で表記されることが多いですが、実は漢字の読み方もあります。では、なぜこのような漢字が使われるのでしょうか。意味や由来について確認していきましょう。
縫い包みの意味
「縫い包み(ぬいぐるみ)」は広い意味では「芯材を布地でくるみ、縫い合わせて成形したもの」となっていますが、一般的には「綿などを芯にして、動物や人などをモデルにして布を縫った玩具」というイメージの方が浸透しているといえます。
似たような言葉では「着ぐるみ」もあります。こちらは「キャラクターや動物をモチーフにして、演者がその中に入って演じるもの」という意味が定着しています。
読み方からも分かるように「包」は「つつむ」のほかに「くるむ」とも読みます。どちらの場合も「巻くようにして物をつつむ」という意味で使われます。
縫い包みに使われる素材
縫い包みに使われるのは、外側の布と形状を作るための中綿、そして顔を作るためのパーツです。縫い包みに使われる素材はさまざまで、質感やデザインだけでなく大きさによっても素材を使い分けられています。 実際に縫い包みに使われる代表的な素材は次のとおりです。
<生地>
- アクリルボア
- フェルト
- ビニルレザー
- ポリエステル
<中綿>
- ポリエステル綿
- 絹
- 発砲ビーズ
- 羊毛
このほかにも、目や口など顔のもとになるプラスチックのパーツや、おなかの部分を押すと鳴き声に似た音が鳴る押し笛など、必要に応じて用意が必要です。
縫い包みを制作するにあたり、大きさやコストによって相性の悪い生地があります。たとえば、大きな縫い包みを作る場合に強度の低い生地を使うと、持った時の重さで生地が破れてしまうおそれがあります。そのため、縫い包みを作るには、色や形だけでなく用途に合った素材を選べる知識が求められるのです。
縫い包みの豆知識
ホビーショップや、ゲームセンターのクレーンゲームなどでは、大小さまざまな縫い包みを見かけますが、最初に縫い包みが発売されたのはいつなのでしょうか。また、世界で最も大きな縫い包みはどれくらいの大きさがあるのか、歴史や世界の縫い包みも確認してみましょう。
世界で最初の縫い包み
世界で最初に販売された縫い包みは、ドイツのマルガレーテ・シュタイフ氏が1880年に制作したゾウの縫い包みだといわれています。シュタイフの公式サイトによると、マルガレーテ・シュタイフ氏は、ゾウの縫い包みが評判となったことがきっかけで、シュタイフを創業しました。
現在、シュタイフは最高級のテディベアを制作するトップブランドです。 シュタイフのテディベアが高価な理由の一つに素材があります。
シュタイフでは、子供のときにもらったテディベアが大人になっても安全に使えるように、モヘアやアルパカなどの自然素材や耐久性のある素材を採用しています。
モヘアは、アンゴラヤギの毛を原料としており、カシミアや羊毛よりも光沢があり軽くて柔らかい高級素材です。そのような材料を使い職人がすべて手作業で制作するため、高価になっています。
世界最大の縫い包み
メキシコの「ショニータ」は、世界最大のテディベアとして2019年にギネス世界記録に認定された縫い包みです。ショニータの全長は約20mで重さは4t以上あります。制作はサッカー場を使って行われ、日数はおよそ3カ月かかり、メキシコのこどもの日のイベントとして大きさが測定されました。
一方、世界最小のテディベアは、0.8mmの大きさでギネス世界記録に認定されています。展示されているのは、長野県の『白樺湖畔 蓼科テディベア美術館』です。 世界最大のテディベアを見るには日本から遠く離れたメキシコまで行く必要がありますが、世界最小のテディベアであれば、見られる機会があるかもしれません。
参考:Largest teddy bear | ギネス世界記録
参考:蓼科テディベア美術館|世界最大規模を誇る11,000体のベアに会える
人形と縫い包みの違い
縫い包みと似ている玩具に人形がありますが、どのような部分が違うのでしょうか。
人形にはもともと「木や紙・土などを材料にして、人間の形をまねて作ったもの」という意味があります。人形はかつては宗教的な色彩が強い信仰対象でしたが、中世以降は愛玩・観賞用として発達してきたという経緯があるとされています。
広くは人の形を模したものであれば素材や用途に関係なくすべてが「人形」になるので、縫い包みも人の形をしていれば「人形の仲間」に含まれることになります。
縫い包みの市場規模と処分方法
縫い包みを所有しているという人も多いと思います。では、縫い包みはどれくらいの市場規模があるのでしょうか。また、それらの縫い包みが使われなくなったらどのように処分すればよいのでしょうか。
国内の縫い包み流通状況
一般社団法人日本玩具協会の調査によれば、2021年における国内の玩具市場は8,946億円となり、調査を始めた2001年以来過去最高を記録しています。
なかでも、縫い包みの売上は279億7,800万円となり、2020年度の263億1,400万円から106.3%上昇しているのです。キャラクターでは、任天堂のキャラクターである「スーパーマリオ」や「ポケットモンスター」、それ以外にも「ミッフィー」や「スヌーピー」、「BT21」などが人気を集めています。
そのため、縫い包み市場は今後も伸びていく可能性があります。
参考:2021年度国内玩具市場規模|一般社団法人日本玩具協会
処分の際は寄付や供養の利用も
縫い包みで問題になるのが処分です。長い時間を一緒に過ごした縫い包みを、ただゴミとして捨てるのは忍びないものです。
その場合は、寄付や供養という方法があります。インターネットで検索してみると、多くのNPO法人が国内外に向けて縫い包みの寄付活動を行っています。まだ状態がきれいなので、捨てるにはもったいないから誰かに使ってほしいという縫い包みがあれば、寄付することも検討してみましょう。
また、縫い包みを処分するもう一つの方法が供養です。たとえば、東京都渋谷区にある明治神宮では「明治神宮人形感謝祭」として古くなったり壊れたりした人形を供養する儀式を行っています。 明治神宮人形感謝祭は、毎年秋に実施されているため、詳細情報については公式サイトを確認してみましょう。
構成/編集部