四字熟語の中には、字面から意味が分かりにくいものがあります。「四六時中」もその一つです。なんとなく聞いたことがあったり、意味をおぼろげに理解していたりするかもしれませんが、この機会に正しい意味と由来まで把握しておきましょう。
四六時中とは
四六時中は「しろくじちゅう」と読みます。四六時中にはどのような意味があるのか、どのような場面で使われるのか解説します。
四六時中という言葉の意味
四六時中は「一日中」「ずっと」「常に」「始終」「いつも」という意味を持つ四字熟語です。四と六でなぜ一日中となるのか、字面だけを見ても判断がつきません。
実は「四六」は掛け算が由来になっていて、4×6=24時間ということで一日中を表しているのです。ただし、四六時中には明確な時間が決まっているわけではなく、長時間ずっと何かをしている様子に対して使われます。
日常会話では硬いイメージがあり、使われる機会が多くないので、いざ使われたときに理解できるように言葉の意味を理解しておきましょう。
英語では「twenty-four seven」
英語には「twenty-four seven」といった、四六時中と似た意味の表現があります。文章では24/7と表されることがあり、店舗の営業時間が年中無休のときに使ったり、「いつも」「しょっちゅう」という意味で使われたりします。24時間×7日という意味なので、四六時中よりも時間のスケールが長いです。
また、「all the time(ずっと)」や「day and night(昼も夜も)」「always(いつも)」といった言葉も、四六時中と同じ意味で使われます。
「twenty-four seven」も四六時中と同じく直接的な表現ではないため、何を意味するのかを理解する必要があります。
どんな場面で使われるのか?
四六時中は「やるべきことをやらずに同じことをしている」「他のことに興味を示さない」など、否定的な表現で使われるイメージがあるかもしれません。しかし、四六時中は「集中して取り組む姿勢」など肯定的な表現でも使われます。
また、四六時中は、少々硬い表現になるため、日常会話だけでなくビジネスの場など幅広い場面で活用できる言葉です。
特にビジネスメールでは、「いつも」「ずっと」といった砕けた表現を四六時中に言い換えることで、相手に誠実な印象を与えられる可能性が高いです。
四六時中という言葉の類義語と対義語
四六時中という言葉と同じ意味や反対の意味を持つ言葉には、どのようなものがあるか確認しておきましょう。
四六時中の類義語
四六時中と似た意味を持つ言葉には次のものがあります。
- 常々
- 終日
- 日がな一日
- 明けても暮れても
- 常住坐臥(じょうじゅうざが)
- 日夜(ちゅうや)
- 延々(えんえん)
- ひっきりなし
常住坐臥は難しい言葉ですが、「座っているときも寝ているときも」「ふだん」「いつも」といった意味を持ち、四六時中と似た表現で使われます。
また、四六時中は一日ではなく年中という使い方もできるため次の言葉も類義語に該当します。
- 年がら年中
- 一年中
四六時中は、一日や一年など関係なく使えるため、便利な言葉です。しかし、四字熟語のため、文章で使うと全体が堅苦しい印象になることがあります。そのため、使う場面に応じて他の言葉に言い換える必要があります。
四六時中の対義語
四六時中と反対の意味を持つ言葉には、次のものがあります。
- 時々
- しばしば
- 時折(ときおり)
- 時偶(ときたま)
四六時中は、常に行っていることや長時間などを意味するため、反対の意味の言葉では、短時間や頻度が低い意味を持つ言葉が該当します。
「しばしば」は、頻度が高そうなイメージがありますが「四六時中」ほど頻繁ではないので類義語にはなりません。
二六時中との違い
四六時中と似ている言葉に「二六時中」がありますが、使い方や意味は同じです。昔の日本では十二時辰(じゅうにじしん)といって、一日を12の時辰(じしん)で分けていました。
一つの時辰がおよそ2時間になるため、合計するとおよそ24時間なのですが、この十二時辰から2×6=12ということで二六時中という言葉が使われています。
四六時中が使われるようになったのは、明治時代の初めころに24時間制が導入されたことがきっかけでした。
四六時中という言葉の使い方
四六時中という言葉はどのような場面で使えばよいのでしょうか。使い方を確認しておきましょう。
四六時中を使った例文
四六時中を使った例文には次のものがあります。
- 仕事のことを、四六時中考えている
- 平日も休みの日も関係なく四六時中ゲームばかりしている
- 四六時中、彼女のことを考えてしまうほど夢中になっている
- 彼は運動が好きなので、四六時中体を動かしている
四六時中を使うときは、「いつも」や「ずっと」を強調した使い方をする場合が多いです。また、自分自身のことだけでなく相手の状況についても使うことができます。
ただし、使い方によっては「同じことばかりしている」といった感じに嫌みに受け取られるおそれがあるため注意しましょう。
構成/編集部