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納棺用ドレス、インナーウェア、棺に寄せ書き…家族葬の増加で生まれた故人に寄り添うラストサービス

2022.09.22

今後、さらに超高齢社会になるにつれて、「死」はより身近なものになってくると考えられる。そうした中、葬儀や供養の形も、より故人に寄り添うものに進化している。最近生まれてきている、新しいラストサービスを4つ紹介する。

「ラストドレス」アトリエemu

https://www.emu5010.biz/

納棺時に着せる衣装に注目が集まっている。大切なあの人の最後のお別れのときに着せて送り出したい。そんな遺族の思いを叶える。故人にとっても喜ばしいことだろう。

宮崎県にあるアトリエemuの「ラストドレス」は、厳選された素材を使用し、特殊縫製によって仕立てした、着用がスムーズに行える納棺用ドレス。人生最期を華やかに、美しく、故人の新たな旅立ちを彩る。体型に合わせ、セミオーダー・フルオーダーにてひとつひとつ制作を行っている。

アトリエemu代表である三隅裕子氏は、開発の背景、遺族にもたらされる変化、今後の展望について次のように答える。

●開発の背景

「きっかけとなったのは、友人のお葬式に参列したときのこと。その方が望んでいないような衣装を身に付けられていて強い違和感を覚えたことからでした。故人になるとメイクや衣装を選ぶことはできません。友人が棺の中から『違うんだよね』と言っているような気がしました。大切な人と別れなくてはならない終焉のときに、最後の瞬間を自分らしい綺麗な姿で迎えたいと考えたとすると、元気なうちに準備しておかないと間に合いません。

『ドレスを着たことがない』『もう一度ドレス を着てみたい』というお客様の声に応えて製品化できたらと、当時、ブライダル業界にいた姉と、ドレスを製作した経験がある私は、2人、心躍るような気持ちで話が弾む毎日でした。

しかしドレス作りを始めた矢先に、姉が肺の病で余命宣告を受け、臓器移植を待つ状況に。姉は一言だけ『私のラストドレスが第1号だから作って』と言いました。しかし葬儀衣装はこの世を去る人のために作るものです。

考えただけでも涙があふれ出てどうしても作ることができず、医療機械の管につながれている状態の姉のために、楽に着脱ができるようなパジャマを考案して、夜中泣きながら縫い上げてドレスの代わりに渡しましたが、姉は残念そうに『これじゃない』と言って喜んではくれませんでした。そして、姉はラストドレスを着ることがないまま、帰らぬ人となってしまいました。姉の思いを叶えてあげることができなかったことが何年経っても悔やまれました。

それから9年が過ぎたある日、私がアトリエemuを創業した記念に、姉が自宅の庭に植えてくれた桜の木へ語りかけていると、『もうそろそろ作ったら』と姉の声が聞こえた気がして、そこから待っていてくださっている方のために、再びドレス制作を始めました。最初に制作したドレスはもちろん、姉が心に抱いていたドレスです。

『人生の最期を自分らしい姿でいることを考えることで、その瞬間から日々を活き活きと過ごしていただきたい』という見えないところに大きなこだわりを持って製品開発に臨んでいます」

第1号となったフルオーダードレス「水」

●遺族にもたらされる変化

「みなさんに共通することは『不安から安心へ』この一言に尽きます。長患いで終末期医療を受けながら死を待つだけのご家族の方が、一筋の光を見るように『最後にしてあげることがあってよかった』と感謝の気持ちを衣装に込めて見送られる姿に責任の重さも感じます。

生前に準備できていなかったとしても、納棺から火葬までの限られた時間しかないからこそ、故人の尊厳を守る意味も含め、衣装を美しく最高の姿に感謝を込めて見送ることで、家族の方は『よかった』と明るく清々しい気持ちになっていらっしゃいます」

●今後の展望

「平成24年に経営革新認定企業として認定を受け、専門的な支援を受けながら、商標・意匠・実用新案製品として責任ある製品作りに努めてまいりました。ラストドレスは肌着・ドレス・シャツ・タキシード・和装と、全アイテムが、硬直していても着脱可能な特殊縫製という特徴があることから、障害者施設や病院などから相談をいただくようになり、ストレスフリーで高品質な衣服の製品開発も進んでいます。

一度しかない人生を華やかに、より美しい姿で旅立っていただくため 、ラストドレスは長い歳月をかけて形にしてきました。これからも変わらない思いで愛のあるものづくりに励んでまいります」

「ラストランジェリー」ETOE

https://etoe.co.jp/2021/02/19/last-lingerie/

納棺用の衣服は、ドレスのような衣装だけではなく、下着もある。

東京都足立区でインナーウェアを企画生産する株式会社ETOEによる「ラストランジェリー」は、女性用と男性用の納棺用下着だ。

女性用には、レースをふんだんに使ったデザインのトップと、フレアパンツ型のボトムの上下セットタイプ。身生地には肌触りがなめらかなサテン生地を使用している。遺体に短時間で着せやすいパターンやサイズ、仕様を検討したという。

同社の代表、渡邊絵美氏は、開発の背景、遺族にもたらされる変化、今後の展望について次のように答える。

●開発の背景

「私が幼少期に祖父の葬儀に参列した際、自宅葬だったこともあり、興味本意で布団の中を覗いた際に、オムツをはいていた衝撃がきっかけです。子どもながら最期はオムツという衝撃を忘れられずに、今日に至りました。あれから30年以上経つ今も変わらずオムツで旅立っている現状を変えたいと思い、ラストランジェリーを開発いたしました。

また、故人様は衛生上の問題からドライアイスなどで凍ってしまいます。そのため通常の下着を着用するのが困難です。そこで故人様向けの美しさ、着用方法などを考えた設計で何度も試作を繰り返し開発しました」

●遺族にもたらされる変化

「コロナ禍の影響もあり、小さなお葬式、家族葬が増えている中、ご遺族が故人様にしてあげることの一つになります。下着は見えない力があります。素敵な姿で送る事で心に安らぎを与えてくれると思います。また、悲しみを乗り越えたときに、ご遺族の中に最期の姿は思い出として残ります。素敵な下着に着物や洋服をまとい、安らかなお顔で旅立たれた姿は一生忘れられない最期のメモリーとなると思っております」

●今後の展望

「葬儀関係者はオムツで旅立つことを知っていますが、一般の方は知らない方が大半です。まずはこの事実を知っていただき、ラストランジェリーという最期に着る下着があることを認知していただきたいと思っております。現時点では選択肢がなく、老若男女、オムツです。誰もが通る生と死の問題を悲しみだけではなく、美しい思い出に変えることができたらと思います」

「棺の蓋に寄せ書きができるサービス」西田葬儀社

https://www.gosougi.co.jp/

名古屋市の西田葬儀社は、2020年に棺の蓋の内側に遺族が寄せ書きできるサービスの提供を始めた。

棺の蓋に何かを書き込むなどは昔の厳粛な雰囲気のお葬式では考えられなかったサービスだった。しかし現代は家族葬がほとんどであることから、ニーズは変化しているという。

本サービスについて同社がTwitterで情報発信したところ、230「いいね」を超える反響があり、「素敵なサービス」「それやりたかった」「気持ちに寄り添う形」等の声が上がったという。

デジタルマーケティング事業部の蜷川顕太郎氏は、開発の背景、遺族にもたらされる変化、今後の展望について次のように答える。

●開発の背景

「あるご遺族のお話です。小さなお子様がご逝去され、たった一人で暗いお棺の中で眠っていらっしゃいました。『いつも抱っこや添い寝をしないと寝ない子だったのに…』お棺に手紙や写真を入れますが、目を開けたときにさみしくないように、そしてきっと目を開けたときに一番初めに目に入ってくるのはお棺の蓋の内側なので、そこに愛情を施したいと思い、お棺の蓋にメッセージを書いたり、写真を貼ったりしました。

このお葬式から着想を得て、別のお葬式でもお棺の蓋にメッセージを書き始めたのがきっかけです。『お棺の蓋に書く』ということで始めは少し戸惑う方もいらっしゃいますが、書き始めると一気に手が進んで、ご家族の温かなメッセージですぐにスペースいっぱいに埋まります。またお棺の蓋の内側に書くことによって、火葬場に行ったときに、参列した他の方にメッセージが見られることはありません」

●遺族にもたらされる変化

「以前から当社ではメッセージカードというサービスはありましたが、『故人様へお手紙を書いて差し上げてください、ここにカードやペンを置いておきますから』とお勧めしてもなかなか書いていただけませんでした。しかし集まっての寄せ書きとなると、その雰囲気があいまって、皆様が一斉に描き始めます。イラストや文章、故人様の似顔絵、ペンの色を変えてみたり、皆様が書いたものを見て思い出話に花が咲いたりと、故人様を思い出す良い時間になっています。そして必ず、書いた蓋の写真をスマホで撮られます。

お棺の蓋は、メッセージを書き込むことによって世界に一つだけの贈り物になり、ご遺族の皆様で協力して創り上げた一つの作品でもあり、最後の思い出にもなります」

●今後の展望

「現状はその場でメッセージを書いたり、写真を貼ったりするのがメインですが、ご自宅や思い出の場所、趣味の写真など、より故人様の個性や思い出が強い蓋を作れるようにできたらと思います。

また自社にチェキがあるため、それを用いて手軽に撮影し、チェキにメッセージを書いてお棺の蓋に貼れるようにとも考えています。

現状ではメッセージを書くのは近しいご親族の方が多いですが、参列者の方々がさらに参加しやすいように、蓋を開けて書き込める時間の配慮も心掛けています。そして昨今のコロナ禍で参列できない方も、代筆などでお棺の蓋のメッセージに参加できるようにと考えています。

今後はスマホから簡単にメッセージや写真を送れたり、スマホの写真を手軽にプリントアウトしてお棺に入れられるようにと、さらに広げていきたいです」

「リゾートセレモニー家族旅行」メモリアホールディングス

https://resortceremony.jp/

「思い出に残る家族旅行」をコンセプトに、新形態のリゾート型葬儀式場が2021年5月に登場した。トレーラーハウスを三棟組み合わせることで、まるでリゾート地の別荘のような雰囲気の内装が、遺族控室。

ウッドデッキのハンモックで揺られながら、バーカウンターで少しお酒を楽しんで談笑、屋上テラスで星を眺めながら故⼈と過ごした⽇々を思い出すなど、ひとときの家族旅行のような体験ができる。

この「リゾートセレモニー家族旅行」を展開するのは岐阜県の株式会社メモリアホールディングス。同社の代表取締役代表兼社長 松岡泰正氏は、開発の背景、遺族にもたらされる変化、今後の展望について次のように答える。

●開発の背景

「コロナ禍で身内を亡くしたことをきっかけに、改めて葬儀という儀式のあり方そのものと向き合うことになりました。多くの方のご参列を想定した従来の葬儀は、生前の故人様の交友関係を再確認できる素晴らしい機会となります。一方で、訪問対応に追われてしまい、ゆっくり落ち着く時間も取れないため、気疲れされてしまうご遺族様も多くいらっしゃいました。

そこで、従来の宗教儀式にとらわれない『新しい選択肢』としての葬儀の形を考えたました。その結果、どのように送るのかではなく、大切な家族と最期のときを『どのように過ごすのか』が最も重要であることを再認識しました。そして、『最期の思い出が、最高の思い出になる。』というコンセプトのもと、リゾート施設のような空間で、まるでご遺族が故人様と最期の家族旅行に来たような体験をしていただきたいと考え、リゾートセレモニー家族旅行という式場ブランドが生まれました」

「家族葬が葬儀市場の主流となりつつある今、これからは故人様とゆっくりと最後の時間を家族で過ごす事が重要となります。そうなると、会葬者が来ることを前提とした既存の大規模な葬儀場よりも、家族でゆっくり過ごす小規模で落ち着いた空間が必要になります。また1970年代から全国的に葬儀場が建設されて久しく、老朽化した葬儀場の再利用も課題となっています。その上、葬儀式場のイメージから他の産業への転用はむずかしく、利用されずに放置される式場・建物が増えることは、業界だけでなく地域そのものの課題にもなりつつあります。

小規模で家族が心打ち溶け合え、持続的に再利用ができる葬儀式場が必要とされることから、おしゃれなカフェや、ヴィラのようなリゾート施設などにも利用され、移動も可能なトレーラーハウスを使ったリゾート葬儀会館の構想が生まれました」

●遺族にもたらされる変化

「家族で過ごすことに特化した式場ですので、従来の式場と比べて、故人様との想い出を振り返る時間がより多く作れるようになると思います。一見すると葬儀には不要に思える空間は、家族で語るきっかけを作っていただきたいという意図が組み込まれています。

当施設を利用された方からは『高級リゾートのようで、まるで家族で旅行に来たみたいだ』『10名ほどの葬儀でしたが、会場の大きさとしてもベストな状態で、参列者からも良かったと言っていただきました』とご満足いただくケースが増えています」

●今後の展望

「お葬式のスタイルは、今後も家族葬が主流になっていくと考えています。特に家族葬は亡くなった家族の過去を振り返り、これからの家族の在り方を決める大切な時間となります。その時間を過ごす空間に、想い出の意味を再構築することで、前向きな人生を歩んでいただくご家族を一つでも多く増やしていきたいと考えています。

そのためは、岐阜県を拠点としている自社だけでは限界があります。そこで、我々の想いに共感いただける全国の同業他社の葬儀会社様へ、当式場モデルを展開していく活動を推進しております。2022年9月時点で、石川県、静岡県の2社の葬儀社様がリゾートセレモニー家族旅行を使った親族控室を導入いただいています。当社が掲げる『感謝でおくるお葬式』を広めていくために、葬儀業界全体がより良くなるような働きかけも行っていきたいと考えています」

いずれもコロナ禍でより増えた家族葬を背景に、遺族がより故人との最期のお別れの気持ちを深く伝え、最期の時間を大切に過ごすことができるサービスといえそうだ。

取材・文/石原亜香利


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