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タイで廃墟探訪がSNS映えするとブームになっている理由

2022.09.23

チャオプラヤー川に近い昔の税関跡©Dax Ward

経済発展を続けるタイ。日本の高度経済成長期を思わせる建設ラッシュが続いています。一方、資金繰りに困るなどで頓挫して建設が中断したり、様々な理由で廃墟となった場所があります。そんな廃墟が今、タイでは大人気なのです!

老舗伝統ホテルのすぐ近くにある廃墟

運河貿易で栄えた時代を偲ばせる場所©Dax Ward

近代的な高層ビル群と川の間に突如現れた歴史的建造物。まるでこれだけが100年以上前からタイムスリップしてきたようです。

夜には訪れたくない雰囲気©Dax Ward

中に入ればご覧のとおり。ちょっと不気味な雰囲気を醸し出しています。まるでゾンビや幽霊が出てきそう。でもこんな廃墟を背景に、オシャレな格好でクールな表情の写真を撮影すると、コントラストがついて雰囲気たっぷりの一枚に仕上がるのです。

ジャンボジェットの夢の跡

バンコク中心部から外れたバンカピ地区にあった。©Dax Ward

タイには有名なアメリカ人廃墟スポットカメラマンがいます。ダックス・ワードさんは地元バンコクの大学でITやロボット工学について教えていますが、2016年から廃墟をテーマにした写真を撮り続け、タイ各地の50か所以上を巡ってきました。その作品はCNN やデイリーメール、ロンリープラネットなど欧米の有名メディアで使用されているほどですます。

ワードさんを有名にした作品が、ボーイング747などが廃棄されていた“飛行機の墓場”です。バンコク中心部から東に約15キロのバーンカピ地区にあります。土地のオーナーは解体業を営んでいて、それで使用済み機が置かれていたのです。人気のスポットになり、あまりに訪問者が増えたことから残念ながら飛行機は撤去されてしまいました。先日(9月11日)に筆者が訪れた時ときには、機の一部のみが残されていました。

残念ながら今はこういった部品が残るのみ

火災が起きてそのままとなったナイトクラブ

廃墟マニアの人々の最近の注目はバンコク郊外とそれ以外の場所です。

6階建ての大型エンターテイメント施設だった©Dax Ward

例えば、バンコクから東に約150キロの場所にあるパタヤ。世界的に有名なビーチリゾートです。そこにあるバットマン・ナイトクラブは1990年代にオープンし賑わいを見せていました。しかし火災が発生し、そのままになっています。現在はグラフィティのアーティストのお気に入りの場所となり、たくさんの作品が敷地の至る所に描かれています。

グラフィティがあちらこちらに描かれている©Dax Ward

「グラフィティと床にたまった雨水とのコラボレーションがまた独特の雰囲気を醸し出しているんですよ」とワードさんは説明してくれました。なるほど廃墟撮影にもコツがあるのですね。

また映画『戦場にかける橋』の舞台となったタイ中西部のカンチャナブリ県にあるキャッスルモール。1995年にオープンし人気を呼んだものの、その後、巨大チェーン店の進出に対抗できず2005年に廃業しました。現在は廃墟マニアたちの撮影スポットとしてだけでなく、サバイバルゲームの舞台としてもよく使われたりしているそうです。

お城がテーマの巨大施設©Dax Ward

「城をモチーフにしているので外観も中も面白いです。建物の外に広がる森や庭園も良い撮影スポットです」

タイでの廃墟探訪のコツと危険性

そんなワードさんは廃墟探訪のコツを教えてくれました。

「廃墟に入る際、もし警備員の人がいたら必ず許可を取りましょう。必要があれば少しのチップ(200~300バーツ=約780~1,170円)を渡して。笑顔で接すれば、うまくいくことが多いです」

また、同時に危険性についても語ってくれました。

「こういった廃墟にはホームレスの人たちが住んでいるのがしばしばです。普通だと、お互いに関わりを持たないで済むのですが、ある元ショッピングモールでは廃墟探検で初めてトラブルを経験しました」

事件が起きた現場©Dax Ward

事件が起きたのはバンコクの東の外れにあるラートクラバン区にあるスケッチーマーケットでした。警備員の許可を取り撮影をしていたワードさん。暗い廊下を歩いているとき、ホームレスと対峙しました。タイ語で挨拶の言葉をかけましたが、何と相手は石を投げつけてきました!

こんなことも起きますから、廃墟を訪れるときは絶対に一人ではなく言葉の通じるタイ人を連れて行って欲しいとワードさんはアドバイスしています。

タイ人が廃墟に惹かれる理由

さて、ではなぜ、タイの人たちはこういった怪しい雰囲気の場所に惹かれるのでしょうか?

「ご存じのようにタイは仏教国です。そしてブッダだけでなく、土地神や一部のヒンズー教の神々も信じています。彼らにとってスピリチュアルな世界はとても身近で現実的なのです。霊が漂っている雰囲気をとても敏感に感じられるのでしょう」

最後になりますが、タイはグレイゾーンが多い国なので潜入撮影する人も多いのですが、日本人にはお勧めしません。また上記のような状況から、今回紹介した場所もいつ立ち入り禁止になるのか分かりません。ご了承下さい。

今回話を聞かせてくれたダックス・ワードさんのサイトはこちらたくさんの幻想的な廃墟写真が掲載されているのでぜひチェックを!

梅本昌男
フリーライター。タイや東南アジア諸国の記事をJAL機内誌などの媒体に書く。単行本『タイとビジネスをするための鉄則55(アルク)』。NHKラジオへの出演や写真ACのモデルの仕事なども行っている。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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