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【深層心理の謎】不安を抱くという行為が人間が獲得してきた素晴らしい能力である理由

2022.09.22

 今の時代、先行きに何の不安も感じずに過ごせる人のほうが少数派なのではないだろうか。代わり映えのない退屈しきっていた日々は遠い過去のものになってしまった今日、本当に明日何が起こるかわからない時代になってしまった――。

1年先の不安について考えながら大山の商店街を歩く

 1年先、自分と世の中がどうなっているのか、確実なことは何一つ言えないような気がしている。何も定まっていないからこその未来なのだが、昨今の見通しの不透明さはそれなりに生きてきた中で最も著しいように思える。平凡な日々に飽き飽きしていた頃が、むしろポジティブな意味で懐かしく感じられてくるというものだ。

 東武東上線・大山駅に来ていた。夜8時を過ぎたところだ。もう今日は店じまいということにして、軽くどこかで「ちょっと一杯」もいいだろう。駅北口に接している通りを商店街の方へと進む。

※筆者撮影

 続くコロナ禍はもちろんのこと、ロシアのウクライナ侵攻も長期化の様相を見せ、ここのところの円安もまだ続いている。いずれにしてもまったく先行きは不透明といった感が強い。

 わからないからこその未来なのだが、少し考えてみればインターネットとSNSが普及していなかった時代には目に入る情報も少なく、一般の人々が近い未来について懸念することなど少なかったように思える。

 しかし歴史を振り返れば、たとえばキューバ危機のように一寸先がどちらに転ぶかわからないといった緊迫した状況はいくつかあったのだが、一般に情報が伝わるのも遅く、渦中にあっても多くは普段と特に変わらない生活を送っていたのだろう。知りようのないことを心配しても仕方がなかったのだ。

 通りを進む。パチンコ店の自動ドアが開くと少し中の様子が見えるがなかなか賑わっているようだ。どうであれ街に人が戻ってきているのはいいことだ。

 主にビジネスの世界では「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」のことを「VUCA(ブーカ)」と呼んでその対策に余念がないのだが、やはりここ数年のSNSの急激な普及やAI(人工知能)の登場が、将来の予測をますます困難にしていることは間違いないようだ。

 先行きが見通せないことからくる不安を、今に生きる我々はこれまで以上に抱きやすくなっているともいえる。変化の多い時代であるだけにストレスの発生源も増えているのだ。

 はたして1年先、自分と世の中の状況はどうなっているのだろうか。そこには仕事や健康といった具体的な不安もあれば、よくわからない漠然とした不安もあるだろう。

 だがとりあえず目先の仕事と生活には否応なく取り組んでいかなければならないし、1年先の未来に不安を感じたところで5分後に命を落とす確率だってゼロではないのだ。

見逃されている不安のメリットとは?

 通りの突き当りは左右に伸びる商店街だ。その名も「遊座大山商店街」を左折する。

※筆者撮影

 不安を感じることが増えたともいえるのだが、逆に何の不安も心配事もない生活というのも考え難いことではある。不安感とはすぐにでも払拭しなければならないネガティブな感情なのだろうか。

 不安障害の専門家によれば、我々の多くは不安を誤解しており不安から受けられるメリットを見逃していると指摘している。不安とは望む未来を実現するための行動を起こす原動力であるというのだ。


 注意を払う必要がある情報としての不安について考えるとき、それはあなたがまだその未来に希望を持っていることを意味することにも気づきます。

 起きる可能性があることについての感情は動機でありエネルギーであるため、そのエネルギーはどこかへ向かう必要があります。

 不安は偶然に活性化する感情です。闘うか逃げるかを引き起こすだけでなく、“社会的結合ホルモン”であるオキシトシンも増加させます。

 特に本格的なパニックにはならない中等度レベルの不安は、オキシトシンのレベルが実際に上昇し、社会的つながりとサポートを求めるようになります。つまり不安の中には独自の解決策がいくつか含まれているフラクタルの美しさがあります。

※「University of California」より引用


 心理学および神経科学の教授で作家のトレーシー・デニス・ティワリー氏は新著『Future Tense: Why Anxiety Is Good For You (Even but It Feels Bad)』の出版に際して、ダッチャー・ケルトナー氏のポッドキャスト番組に出演して自説を展開している。人々は不安からもたらされるメリットをあまりにも見逃しているというのだ。我々は不安を感じると神経伝達物質であるドーパミンや、別名“幸せホルモン”であるオキシトシンが放出され、より良い未来を実現するための行動を起こす引き金になるというのである。

 人類の進化の偉大な成果の1つは、まだ起こっていない未来をシミュレートする能力を獲得したことであり、この素晴らしい能力があるがゆえに不安を感じることができるということだ。不安を感じるということは、未来に対して希望を抱いていることの証なのである。

 不安こそが未来をシミュレーションする能力を向上させる滋養であり、望まない未来を回避するために現在何が必要とされているのかを気づかせてくれる原動力になっているという。不安を抱くことは人類が進化人類学的に獲得してきた素晴らしい能力なのである。

 その証拠に不安を感じると脳内ではドーパミンの分泌が増加し、報酬を求めて望ましい未来のための行動に拍車がかかる。不安とは不確実性を乗り越え、災を回避し、ポジティブな可能性を現実のものにするための刺激として作用しているのだ。

 問題に対処するためには、何が問題であるのかに敏感に気づかなければならない。問題に気づき不安を感じることのメリットをよく理解しなければならないといえそうだ。

やきとんとビールでひと息つく

 商店街を進む。右手にある天丼チェーン店を過ぎると右に伸びる路地がある。ここには立ち飲み屋や居酒屋が並んでいて呑兵衛は思わず吸い込まれてしまう一帯だ。例にもれず自分もまた右折して路地に足を踏み入れる。

※筆者撮影

 路地を進むと右側には何度も来ている立ち飲み屋があるのだが、今日はその向かいにあるやきとん居酒屋に入ってみたい。ここは池袋発祥のローカルチェーンで、この店にも何度か入ったことはあるがかなり久しぶりである。店頭には焼きたてのやきとんで一杯やってる立ち飲み客もいる。

 サッシ戸を開けて店内に入る。お店の人に促されて奥のほうのカウンター席に着く。ともあれ最初は生ビールだ。

 コロナ禍前は大山に来て少し時間がある時には飲む前にこの近くにあるカプセルホテル併設のサウナに行くこともあったが、気づけばもう何年も行っていないことになる。今日は時間的に無理だったが、タイミングが合えばサウナ入浴の習慣も再開したいものだ。

 ビールが届けられたタイミングで、味噌キュウリとやきとんをいろいろと計6本お願いした。このお店での初回の注文はだいたい決まっている。ともあれひとまずジョッキを傾けてひと息つく。

 そういえばビールをはじめとするアルコール飲料の値上げが発表されていて10月から実施されるようだ。店舗での1杯がどの程度上がるのか、それは店の経営方針によりけりだろうが、全体的なアルコールの消費量がますます減る方向に振れてしまいそうだ。

 それでも酒は欠かせないという呑兵衛は家飲みが増えることになるので、小売りの販売量は値上げ後もあまり変わらないような気もするが、飲食店でのアルコール消費量は確実に減ってきそうである。食材が軒並み高騰し、光熱費も上昇している中にあって、追い打ちをかける値上げだ。

※筆者撮影

 キュウリに続いてやきとんがやって来た。右からカシラ、ハツ、ハラミが各2本だ。さっそくいただこう。

 カシラを頬張る。噛み応えがあって肉を食べているという臨場感が楽しめる。串を持ったまま咀嚼してじっくり味わい、1串を2口くらいで食べきりたい。

 ご存知のように今年に入ってから牛肉の高騰が続き「ミートショック」などとも言われているが、その影響が少なそうなのが今、目の前の串に刺さっている国産豚のホルモンなのだろう。

 やきとんやもつ焼きはまだこの先も当分は気軽に食べられそうで、何かと先行きが不安な昨今の中にあって、酒好きにとっては安心材料の1つになりそうだ。コロナ禍に戦争、インフレと年内は先行き不透明な状況が続きそうだが、不安を感じた時にはこうしてやきとんで一杯やりながらひと息ついてみてもいいのだろう。リラックスできれば何が問題であるのかに気づきやすくもなるというものだ。

文/仲田しんじ


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