スマートフォンやパソコンを使っていると、Cookieという言葉を目にする機会が多いでしょう。Cookieとは何なのか、仕組みや目的を解説します。利用するメリット・デメリットも知っておきましょう。利用時にはセキュリティ面での注意も必要です。
Cookieとは
インターネットを使っていると、『Cookieの許可』を求めるサイトを見かけることがあります。Cookieとは、何を意味しているのでしょうか?基本的な仕組みや目的を解説します。
Cookieの仕組み
Cookieとは、Webサイトを閲覧したときに情報を保存しておくファイルのことです。保存されるデータには、閲覧データや入力したユーザー情報があります。
Cookieは、初めてWebサイトを訪問したときに作成されます。接続したWebサーバーがCookieを作成し、ユーザーのスマートフォンやパソコンといった端末にファイルが送信されます。 ユーザー情報は端末に保存され、次回以降に同じWebサイトに接続すると情報が読み出される仕組みです。情報を再利用できるので、アクセスの利便性が上がります。
Cookieの目的
Cookieを有効にしておくと、同じWebサイトを訪れたときの煩わしい作業がなくなります。ID・パスワードが保存されると、ログイン情報を再入力する手間がかかりません。通販サイトではカート内の情報を維持し、時間を空けてアクセスしても続けて買い物ができます。
Cookieは、ユーザーの利便性を高めることが主な目的です。サイト管理者側も、訪れたユーザーの行動から興味・関心を知り、マーケティングに活用できます。
Cookieのメリット
Cookieを利用すると、ユーザー・企業どちらにもメリットがあります。Cookieを許可すると、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。利便性を重視する人は、Cookieによってさまざまな恩恵を受けられます。
情報入力を簡略化できる
Cookieには、WebサイトのID・パスワードが記録されます。次回以降のアクセスでは、ログイン情報を入力する手間が省けるのがメリットです。ログイン情報の入力を簡略化できると、大幅な時間短縮につながります。面倒な作業がなくなることで、サイト閲覧時のストレスが軽減されます。
頻繁に訪れる通販サイトや趣味のサイト、個人的に利用するツールはCookieの活用でスムーズにログイン・作業が進むでしょう。定期的に利用するサイトでは、Cookieを使う方が利便性が上がります。
パーソナライズド広告を利用できる
パーソナライズド広告はユーザーのCookie情報を活用し、好みに合った広告を表示させる仕組みです。過去のアクセス履歴に応じて広告がカスタマイズされるため、ユーザーにとっては興味関心を持ちやすい広告が配信されます。
Cookieを有効にしていると多くの情報が保存され、役立つ広告が表示される頻度も高くなるでしょう。広告から好みの商品・サービスを見つけたい場合は、Cookieを活用してみましょう。
過去のアクセス履歴に左右されるため、興味のないサイトにアクセスする機会が多いと役に立たないケースもあります。煩わしい場合はオフ機能が設けられていることも多いため、端末側から設定しましょう。
企業のマーケティングに役立つ
企業側のメリットとして、データ収集によるマーケティングに役立つ面が挙げられます。Cookieの情報により、ユーザーがサイト内のどのページを閲覧しているのか把握でき、行動とも結びつけられるでしょう。
Webサイト内での動向からターゲットを導き出し、効果的な施策を発見・展開できます。ターゲットが絞られると必要な広告を判断でき、広告にかけるコストを削減できるのも大きな利点です。Cookieの情報は個人情報と判断されるケースもあり慎重な取り扱いが必要なものの、自社内のデータ分析には活用できるでしょう。
Cookieのデメリット
Cookieには、デメリットもあります。端末の使い方や企業の利用方法によっては、リスクにもつながるでしょう。Cookieを利用した場合、デメリットになるケースを紹介します。
端末紛失時のリスクが増える
スマホ・タブレットなどの外出時に持ち歩く端末でCookieを設定していると、紛失時のリスクが増えます。ログイン情報が記録されているサイトでは、第三者による不正使用の可能性が高まるためです。電子マネーや銀行系のアプリなど、スマホにはお金を扱うアプリ・サイトが多数あります。
Cookieの利用にかかわらず、Googleのパスワードマネージャーやその他のパスワード管理ツールもリスクは同様です。端末自体に生体認証やパスワードを設定する・推測されにくいパスワードを使うなど、第三者の不正利用を防ぐ対策も必要でしょう。
プライバシーの侵害の問題
Cookieの収集・提供は、プライバシーの侵害に当たる可能性があります。2022年4月1日に施行された改正個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)でCookieは「個人関連情報」と解釈され、規制の対象になっています。企業は、Cookieの収集や第三者への提供を慎重に行わなければなりません。
ユーザーの同意を得ず、他のデータと紐付けて活用するのは個人特定につながり、プライバシーの侵害に該当するおそれがあります。万が一、他のデータを紐付けるときはCookieの取得時にユーザーの同意を取りましょう。
例えば、アクセス履歴と購入者の情報を紐付け、個人を特定した上で情報を扱うようなケースが挙げられます。自社内で情報を扱う場合でも、個人を特定しない範囲で扱うことが重要です。
パーソナライズが逆効果になる場合もある
パーソナライズド広告は、本人しか知らないCookieの履歴を元にカスタマイズされます。自分の行動を監視されているような印象を持つ人もいるでしょう。
興味や関心のある分野に偏ると、同じ広告ばかりが表示されるケースもあります。一度見て興味を惹かれなかった広告が、何度も表示されると不快感を与えるかもしれません。
表示の頻度やカテゴリーを見極め、適切に扱うことが大切です。過度な表示を避け、適度な表示にとどめることで効果を得やすくなるでしょう。
Cookieを利用するときの注意点
Cookieを使うときは、周囲の環境や端末の設定にも気を配りましょう。使っている環境によっては、第三者に個人情報が渡ってしまいます。Cookieを許可する前に、注意しておきたいポイントを見ていきましょう。
共用のパソコンでCookieを記憶させない
会社・ネットカフェ・公共施設で共用のパソコンを使うときは、なるべくCookieを使うのは避けましょう。Cookieの履歴が残らないよう配慮されている施設もありますが、状況によっては次に使用した人がアクセス履歴やCookieのログイン情報を使える可能性があります。
もしCookieを使ったとしても、使用後に削除するようにしましょう。画像やWebサイトにアクセスした履歴も残さないよう、データとキャッシュ情報の消去は必須です。個人で使う端末以外では、できるだけID・パスワードが必要な作業をしないよう心掛けるのもよいでしょう。
端末のパスワードやロックを必ず設定する
紛失のリスクがあるパソコンやスマホには、生体認証やパスコードによるロックをかけておきましょう。万が一紛失・盗難が起きた際も、画面を開けない場合は悪用のリスクが下がります。
どの端末も最終的にはパスコードが求められ、一定回数間違えると初期化・使用不可になるものが一般的です。端末が初期化されると、Cookieの設定も消去されます。
パスコードを設定するときは、容易に推測できない番号を設定するのが基本です。端末の紛失・盗難と同時に他の書類も第三者の手に渡る可能性が高いため、誕生日や電話番号などの分かりやすいパスコードは避けるよう心掛けましょう。
端末によっては、遠隔ロックに対応しているものもあります。事前の設定で紛失時にロックをかけられるため、リスクに備えて確認しておくことを推奨します。
構成/編集部