不協和音は、音楽だけでなく、日常生活やビジネスなどさまざまな場所で使われる言葉です。とくにビジネスでは解決すべき課題として使われることもあり、適切に対応するには言葉の意味を正しく理解する必要があるので確認しておきましょう。
不協和音とは
不協和音は「ふきょうわおん」と読みます。和音がついているので音楽関連の言葉と思われるかもしれませんが、いろいろなシーンで使われる言葉です。不協和音とは、どのような意味で使われていて、どういった特徴がある言葉なのでしょうか。
不協和音の特徴
不協和音とは、不安定でまとまりがない和音のことをいいます。複数の音を同時に出したときに全体が調和せず、落ち着かず居心地の悪い印象があるのが特徴です。英語では不協和音のことを「dissonance(ディソナンス)」と表記します。
不協和音は、聴いている人によって不快感や不安感、さびしさなどネガティブなイメージを与える特徴があります。音楽ではその特徴を活かし、曲の盛り上がりのためにあえて不協和音を取り入れる方法もあるのです。
不協和音は、聴く人の感覚によって変わるため、「この音の組み合わせが不協和音」といったように明確に定められているわけではありません。音楽では便宜上、不協和音という言葉が使用されています。
ある関係に不和が生じている状態
不協和音は、音楽だけでなく人や物事に対して調和がとれておらず、関係性がよくない「不和」の状態を表すときにも使われます。そのため、人間関係をテーマにした楽曲やドラマではタイトルに不協和音やディソナンスという言葉が使われることが少なくありません。
たとえば、フジテレビのテレビドラマ「純愛ディソナンス」(2022年)や、欅坂46の楽曲「不協和音」(2017年)などが挙げられます。
不協和音は音楽だけで使われる言葉という認識だと、話の内容を正しく理解できないことがあります。音楽以外でも使われる言葉なので覚えておきましょう。
不協和音は人間関係でも使われる
不協和音は、ビジネスシーンでも使われる機会が多い言葉です。社内外など特定の人との関係だけでなく、チームや職場全体の関係で調和がとれていない状態に対しても不協和音が使われます。
不協和音が生じている状態のままだと、チームや組織に属する一人ひとりの意識や方向性がバラバラで目標の達成が難しくなるため、早急な解決が求められます。
管理職や上司から「不協和音を解決してほしい」と指示されたとき、適切な行動がとれるように、不協和音という言葉の意味を正しく把握することが重要です。
不協和音の類義語と対義語
不協和音という言葉には、音や人・物事の不和という意味がありますが、近い意味を持つ言葉や反対の意味を持つ言葉にはどのようなものがあるか確認しておきましょう。
不協和音と近い意味を持つ言葉
不協和音と意味の近い言葉には次のものがあります。
- 不和(ふわ)
- 軋轢(あつれき)
- 不仲(ふなか)
- 折り合いが悪い
- 摩擦(まさつ)
- 仲たがい
- 食い違い
- ギスギスする
- ほころびが出る
- 不一致(ふいっち)
人間関係がうまくいかない状態を表す言葉が多くなっています。会話のなかで不協和音を使ったときに相手が意味を理解できないようであれば、他の言葉に言い換えましょう。
なお、上記は四字熟語としての不調和音の類義語ではありません。
不協和音と反対の意味を持つ言葉
不協和音と反対の意味を持つ言葉は「協和音」です。協和音は不協和音と反対に、同時に発せられた複数の音が調和している和音のことをいいます。音がまとまっているので、聴いていると心地よく感じます。
ただし、協和音も感覚的な要素が強いため、不協和音と同様で同じ音でも聴く人によって判断が異なります。
なお、協和音は四字熟語の不協和音の対義語ではありません。
不協和音が悪いとは限らない
不協和音と聞くと、いい意味に捉えられることが少ないかもしれません。しかし、必ずしも不協和音だから悪いとは限らないのです。その理由について説明していきます。
新しい価値観に気付けるきっかけになることも
不協和音は単体で聴けばまとまりがないため、不快に感じる場合が多いです。しかし、楽曲のなかで部分的に使われることで、メリハリをつけるアクセントとなり全体を盛り上げることができます。
人間関係でも同じです。組織やチームに所属する全員が同じ考えで同じ方向を見ているからといって、ビジネスがうまくいくとは限りません。チーム内で異なる考えや価値観を持つ人がいるからこそ、新しいアイデアや課題を解決するヒントにつながる可能性があるのです。
そのため、人間関係で不協和音が生じたときは、少数派の考え方を多数派に強制的に合わせるのではなく、なぜ違う考え方を持つのかを掘り下げていくことが重要です。
和を重んじることは大切ですが、異なる価値観であっても排除せず、上手く取り入れることで楽曲と同じように全体をよくすることにつながります。
不協和音の使い方
不協和音という言葉は、具体的にどのような場面で使われるのでしょうか。使い方の例について確認しておきましょう。
不協和音という言葉を使った例文
不協和音を使った例文は次のとおりです。
- 〇〇さんとは価値観の違いから不協和音が生じてしまっている
- チーム内で不協和音が生じていてプロジェクトの進捗に遅れがでている
- 不協和音に新しい音を加えることで心地よい音に聴こえる
- 不協和音だけでは調和がとれなくても音を足すことで音がまとまることがある
不協和音は、音楽や人間関係など幅広い場面で使うことができる言葉です。しかし、不協和音と感じるかは感覚的な要素が強いため、相手も同じように思っているとは限りません。そのため、使うときには認識を合わせることが重要です。
構成/編集部