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男性用パンツの〝窓〟は本当に必要?最も使っていなかったのは40代だった

2022.09.17

ボクサーパンツの登場でパンツの窓の使用率が減少!?

突然だが皆さんは“パンツの窓”を使っているだろうか?トランクスでもボクサーパンツでもさらにはブリーフでも、多くの男性用下着には前開きの窓が存在している。トイレで用を足す際に活躍してくれる便利システムだが、あれってどれだけの人が使っているのだろうか。

下着メーカー大手のグンゼが2021年、20〜60代を対象に「下着の前開きを使用していますか?」との調査を行なったところ、普段から使用している割合は全体で52%だったのだが、40代の43%は「全く使用しない」と回答した。

意外にも30代や50代以降の使用率は高いのに40代だけあまり使っていないという事実。

たしかに数年前、某テレビ番組で40代のタレントと芸人が「男性用パンツの窓は無駄!いらない!」と提唱して話題になっていた。

パンツの窓は、もう要らないのか?パンツの窓が可哀想なのでパンツの窓に寄り添う記事を書こうと、ぼくは思った。

今回お話を伺ったのはグンゼのインナーウエア事業本部 マネージャー 武安秀俊さん。

ーーなぜ40代だけパンツの窓を使っていないんでしょうか?

「まだ十分な検証ができていないのであくまで推測ですが、現在40代の方が自分で下着を買い始めるようになった20代の頃にボクサーパンツが登場し、窓のない前閉じタイプの割合が徐々に増えてきたことも要因の一つかもしれません」

なるほど。筆者も20代の頃にボクサーパンツを穿き始めた記憶がある。窓のあるトランクスも愛用していたが、窓のないボクサーパンツに不便を感じることは全くなかった。なぜなら、窓のあるパンツを穿いていた頃も「窓」を一切使ったことがなかったから。

そんなパンツの窓は一体どのような経緯で誕生したのか?今回はグンゼにご協力頂き、パンツの窓の変遷を紹介しよう。

グンゼのパンツ&パンツの窓の変遷

◆1949年(昭和24年)ひも付申又【前閉じ】

グンゼ初の前閉じ商品は1949(昭和24)年発売の「ひも付申又」。

◆1953年(昭和28年)ブリーフ【前開き】

初の前開きは1953(昭和28)年発売の「ブリーフ」。

「あくまでも推測ですが、ふんどしや申又など前あきのない下着文化だった日本(着物文化)に、欧米から前あきのあるブリーフやトランクスが流入してきた背景があります」(武安さん)

◆1998年(平成10年)「ボディワイルド」ブランドのボクサーパンツ

日本中にボクサーパンツを広めた「ボディワイルド」。発売当初は「前開き」が主流だったが、一部「前閉じ」も展開していた。

パンツの窓はなぜあの大きさになったのか? 

ブリーフからトランクス、ボクサーパンツと、日本におけるパンツの歴史を振り返ると進化を遂げながら欧米の文化を取り入れ、いくつかの新種が誕生している。

そもそもブリーフはアメリカ発祥らしい。1935年にクーパーズ社が発売した「ジョッキー」という下着が原点と言われ日本でも流行した。80年代になると若者たちの間で「ブリーフってなんかダサくね?」という風潮が拡がり、人気も下火になっていく。

その後、ブリーフに代わってトランクスがパンツ界の覇権を握るようになり、2022年最新のグンゼ調査ではボクサータイプパンツが王座を奪取。割合を調べるとボクサー46%、トランクス26%、ブリーフ14%だったという。

パンツが時代と共に移り変わる中、「パンツの窓」も様々な形状が誕生している。

前あき、前とじ、シークレット前あき。ちなみに「シークレット前あき」とは便利な前あきの機能はそのままに開く部分が目立ちにくいスッキリとした形状のことだ。

ここで、一つ気になったことがある。「パンツの窓の大きさはどうやって決めているのか?」。

人それぞれ、大事な部分の大きさは絶対に違うはず。ならば、あの窓の大きさは誰を基準に作られたものなのか?武安さんにお聞きした。

「特に大きさの基準はありません。大きさの基準については、もともと舶来のものであったため、まずは見様見真似で作ったのではないかと推測します(勿論パンツ全体のサイズ感は日本人向けに更新していますが)」

大きさに基準はない。なんとなくホッとした自分がいた。窓の大きさで一喜一憂しなくてもいいということだ。

まあ、それはいいとして、ここで「男性のパンツについて女性はどう思っているのか?」、小学館の女性誌「CanCam」が以前、行なった調査では、

【男性の下着について気になることは?】

半数以上が「男性の下着について特に気になることはない」というご意見。その理由として「歴代の彼がパンツにこだわりを持っていなかったから」「女性は上下そろえたりするけど男性は下だけだから別に気にしてなさそう」「旦那さんのパンツは基本的に私が買うので」などなど。

次いで多かったのは「下着の趣味が悪いと思ったことがある」「同じような下着ばかり着けているのが気になる」との意見。我々はもっとパンツ選びにこだわりを持った方がいいのかもしれない。

【普段から感じている男性の下着の謎】

「前空きとそうでないのがあるがパンツごと下げてしているらしい!」
「兄弟間での貸し借り。自分ならば無理だなぁと思う」
「彼氏がボクサーやトランクスの穴が空いている部分のボタンをいつも開けっ放しにしているので、あのボタンの意味あるのかな?と感じる」

女性も男性のパンツの窓を不思議に思っているようだ。

最新パンツの窓はどうなっている?グンゼの新しいボクサーパンツに迫る! 

日本中にボクサーパンツを広めた「ボディワイルド」を経て、グンゼのパンツは今どんな進化を遂げているのか?そしてパンツの窓はどう変わっているのか?武安さんに聞いた。

「2018年に発売したBODY WILD『AIRZ』(エアーズ)は、それまで当たり前だった腰ゴムをなくしたボクサーパンツで、まるではいていないようなストレスフリーなはき心地の新しいボクサーパンツとして好評いただいております」

「ボクサーパンツの登場以降、約20年目立った動きはありませんでしたが、AIRZは男性下着において久しぶりに登場した新しいスタイルのボクサーパンツでした。翌年2019年にはAIRZ SEAM OFF(エアーズシームオフ)を発売。窓は前あきでウエストゴムだけではなく縫い目のゼロ化も実現した新感覚ボクサーパンツです」

そして2021年8月、窓が前閉じのEZX(イージーエックス)を発売。「今までにない軽さと薄さを実現した新素材を採用し伸縮性も高く肌に吸い付くようなフィット感」が特長のカッコよさと気持ちよさを両立した新しいコンセプトのボクサーパンツが誕生した。

「ブラトップ」や「ハーフトップ」などのストレスフリーな着用感の商品が女性市場で拡大していることもあり、同様の流れが男性下着にも反映されているという。

最新のメンズボトムは裾丈長めのニーズに対応した“前とじ”のボクサーパンツ「e-BOXER(イーボクサー)」。絶妙なフィット感を生み出す立体成型技術で締め付けの低減を実現した逸品だが、窓はない。

再生ナイロン糸使用で環境への配慮を強化。さらに持続抗菌防臭加工剤も採用し、清潔で快適な着心地を実現している……が、窓はない。

今後、もしかしたら「パンツの窓」は減少の一途をたどってしまうのか?

「着用時の快適性追求を行なっていく中、前とじ、前あき、それぞれの良さや特長があるので今後については特に大きな変化はないと考えています」(武安さん)

絶滅危惧種とまで言われた男性用パンツの窓だが、必要としている人は少なからず存在している。今後、パンツの前は「開くのか?」「開かないのか?」すべてはあなたの使い方次第。開けて欲しいなら、もっと窓を使え!

取材協力
グンゼ
https://www.gunze.co.jp/

文/太田ポーシャ

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