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代替肉に続くか?続々登場する「代替魚」の最新事情

2022.09.20

最新のテクノロジーを駆使し、ぞくぞくと開発されているフードテック。中でも動物性食品の「代替」フードは「代替肉」を中心に広がりを見せている。近年は「代替魚」について日本でも登場し始めている。まだまだ発展の余地のある「代替魚」の分野。日本企業が開発を手がけた注目の3商品を紹介する。

1.あづまフーズ「まるで魚」シリーズ

「まるで魚シリーズ」

生鮮加工食品メーカーあづまフーズより、2021年11月より販売開始された「まるでサーモン」「まるでマグロ」「まるでイカ」の「まるで魚」シリーズは、主にこんにゃく粉を原材料としたで造られた次世代シーフード。現在、公式通販サイト「AZUMARCHE2.0」で手に入る。

見た目はまさに刺身の「冊(さく)」のようで、包丁で切って刺身や寿司ネタにしたくなってくる。マグロやサーモンの筋はなかなかリアルだ。

2022年4月5日付けでNPO法人ベジプロジェクトジャパンよりヴィーガン認証を取得した。

この商品ついて、あづまフーズ 営業サポート 藤堂氏に開発背景や苦労話、反響、今後の展望について聞いた。

●開発の背景

「元祖たこわさびをはじめ、多くの水産資源の恩恵を受けてきた当社ですが、近年漁獲不良や原料の高騰など海の資源に対してかなりの危機感を覚えておりました。『このままではいけない』と思い、水産資源にとってかわるものではなく、共存する食品としてプラントベースの代替水産品に着手しました。まるで魚シリーズについては、菜食の国・台湾にもともとあったプロトタイプを原材料や食感を改良して開発。白いすじの再現などは国内ではまだない、協力会社の唯一無二の技術であると自負しております」

●開発中にはこんな苦労が!

「ちょうど開発に着手したのがコロナ直前であったため、台湾の工場との行き来ができなくなり、サンプルを送ってもらうのも一苦労の時期がありました。また台湾では認められていても、日本では使用NGの添加物などもあり、試行錯誤を重ねました。見た目は驚くほど似ているのに食感はこんにゃく、という感想から脱却させるべく、配合比なども検討しました」

●晴れてリリース!お客様からの反響は?

「ありがたいことに、見た目はかなり褒めていただけます。味・食感に至っては『こんにゃくじゃん!』という方と、『新しい食べ物だね!』『(魚の味がしないので)食べやすいね!』という方もおられます。また病気や体質などにより、たんぱく質制限の必要な方、リン・カリウム・フェニルアラニンのコントロールの必要な方には喜んでいただいております。『生魚の苦手な子どもも、これならパクパク食べます!』という嬉しいお声もいただいております。魚エキスは入っていないのに『マグロ・サーモンの味がした!』という方も。視覚からの情報はあなどれません」

●今後の展望

「あえて魚の味を入れていないまるで魚シリーズですが、料理の仕方によっては『本当に魚を食べているかのようだ!』との感想もいただいています。現在は冊(さく)の形での販売ですが、ゆくゆくは漬けやお寿司などの加工品にもチャレンジしたいです。

まるで魚シリーズは、当社のグリーンサーフというブランドの一つですが、そのブランド第二弾として限定発売した『プラントうなぎ』や『プラントいかわさび』も様々なお声をいただいていますので、まだまだこれから改良の余地はあると考えています」

「プラントうなぎ」

2.グリーンカルチャー「Green Meat Model F」

まるでウニやツナの軍艦巻きのような見た目だが、実は魚ではない。これはフードテックベンチャー企業のグリーンカルチャーが開発した「Green Meat Model F」と呼ばれるもので、植物性たん白などを主原料とした魚肉食品。2021年7月2日から東京・浅草の「Vege-Sushi Japan 浅草本店」が数量限定で提供した。

この商品ついて、グリーンカルチャー株式会社 CXデザイン室 室長 宮澤亮氏に開発背景や苦労話、反響、今後の展望について聞いた。

●開発の背景は?

「当製品は、植物肉『Green Meat TM』の応用研究から生まれたもので、魚特有の食感と味わいを再現しました。植物肉開発に特化した物理化学データの解析と蓄積。さらに既存食品の逆行解析により植物由来の魚を生み出しました。魚特有の細かい繊維感を残しながらも、程よいほぐれ感が特徴です」

●開発中にはこんな苦労が!

「魚の身には相当量の水分が含まれているため、みずみずしさを担保することが困難でした。また、魚特有の香りを残すことも技術でカバーしました。ただ、量産することは現状では困難なため、まず技術的なハードルを確認するためのあくまでプロトタイプとして開発を行いました」

●晴れてリリース!お客様からの反響は?

「植物から造った魚ということで驚かれる方が多かったです。しかし、召し上がっていただくと、鮭のほぐし身と遜色(そんしょく)ない美味しさを分かっていただけたかと思います。物珍しさもあってか、テレビをはじめ多くのメディアからも注目される製品となりました」

●今後の展望

「当社では開発するプラントベース食品について、動物性食品の『代替』という概念を超えて、新たな食材として価値を感じ手に取っていただくことを目指しています。様々な方に『美味しい食材』として価値を感じて手に取ってもらえるようプロトタイプから量産化を目指して取り組んでいきます。この魚タイプについては、寿司や丼物へ違和感なく取り入れられることから、プラントベース食品の新たな販路開拓ができるのではないかと期待しています」

3.ネクストミーツ「NEXTツナ」

代替肉といえばネクストミーツ。大豆などを原料とした植物性の次世代肉の研究開発を行い、創業7ヶ月でアメリカ上場を果たした日本発のフードテックベンチャーだ。その同社は肉だけでなく魚にも挑んでいる。それは「NEXTツナ」と呼ばれる植物性ツナだ。

植物性タンパクを主原料としたツナの代替食品で、2021年10月より公式オンラインショップで発売開始。大豆を主原料とした100%植物性商品で低脂質・コレステロールゼロなのが特徴だ。

この商品ついて、広報担当の牧野勇也氏に開発背景や苦労話、反響、今後の展望について聞いた。

●開発の背景は?

「ネクストミーツは『地球を終わらせない。』を理念として掲げ、地球温暖化と食料危機の解決に貢献すべく、環境負荷の大きい食肉に代わる代替肉を事業として開始しました。地球温暖化の影響が今後さらに深刻化していく中で海産物も手に入りにくくなることが予測されており、新たな選択肢として『代替シーフード』の必要性を感じました」

●開発中にはこんな苦労が!

「当社では自社商品には動物性の原料は一切使用せず、このNEXTツナも同じく100%植物性で再現しています。その中で食感と風味の再現に苦労しました。食感に関しては代替肉とはまた違ったツナ特有のほぐれを出すのに苦労しました。風味に関しては大豆臭さをいかに抑えツナらしい香りを再現するか、ということがむずかしい点でした」

●晴れてリリース!お客様からの反響は?

「2021年10月から発売開始して、現在まで安定的に売れています。普段、動物性食品を控えている方からは『食の選択肢が広がった』『本物のツナみたい』との声をいただくことがあります。そのまま食べるのはもちろん、マヨネーズと和えておにぎりやサンドイッチとして召し上がっていただくことでより違和感なく美味しく食べていただけています」

●今後の展望

「現時点では代替シーフード領域において新商品の開発・販売は予定しておりませんが、今後の会社の状況や地球環境の変化に応じて検討していきたいと考えています」

代替フードのフードテックはどんどん進化している。一方で、代替魚は、魚という独特の食感や見た目から、開発に苦労が伴うようだ。今後は、さらに見た目も味も本物そっくりの代替魚が登場する日を楽しみにしたい。

取材・文/石原亜香利 編集/廣 健吾(編集部)

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