「小芥子」の読み方を知っていますか?土産物や工芸品として見ることの多い小芥子ですが、名前の由来は知らない人という人が多いでしょう。実は、小芥子は生まれた地域や年代により種類が分かれます。小芥子の意味や歴史とともに見ていきましょう。
小芥子は縁起物として大事にされた
小芥子とは、昔から縁起物として大事にされてきた人形のことを指します。しかし、どうして小芥子と呼ばれるようになったのでしょうか?小芥子の名前の由来や、歴史について解説します。
名前の由来は諸説ある
小芥子は「こけし」と読みます。小芥子には元々決まった名前がなく、日本各地でさまざまな呼ばれ方をしていました。小芥子は木でできているから「きでこ」、芥子人形から取って「こげす」、魔除けの人形である這子(ほうこ)から取って「きぼこ」などが代表的な例です。
しかし、1940年に東京こけし会が開催した「第1回現地の集り・鳴子大会」で、呼び名が「こけし」に統一されました。それから小芥子の呼称が広がり、現在に至ります。
小芥子の歴史は奈良時代から
小芥子が使われるようになったのは、奈良時代からといわれています。称徳天皇は国の安泰祈願のため、仏教の呪文「陀羅尼経(だらにきょう)」を入れ、100万基の木で作られた小さな塔を寺院に奉納しました。塔は「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」と呼ばれ、現在で言う小芥子にあたると伝えられています。
また、これらの木製の塔を作ったのは、木地師(きじし)という職人でした。江戸時代に入ると、東北の温泉地で木地師と温泉客の交流が増え、小芥子が土産物として扱われるようになります。
温泉客は、小芥子を心身の回復や五穀豊穣などの縁起物と考えました。そして、土産物として持ち帰ったことで、日本全国で知られるようになったのです。
小芥子は3種類に分けられる
小芥子の種類は、伝統こけし・新型こけし・創作こけしの三つに大きく分かれます。三つの中でもさらに系統が分けられており、それぞれ異なる特徴を持っているのが小芥子のおもしろい点です。小芥子の種類について紹介します。
伝統こけし
伝統こけしは東北地方のみで作られる小芥子で、地域により主に以下の12の系統に分けられます。
- 津軽系
- 南部系
- 木地山系
- 鳴子系
- 作並系
- 遠刈田系
- 弥治郎系
- 肘折系
- 山形系
- 蔵王高湯系
- 土湯系
- 中ノ沢系
一般的に小芥子と言われて思い浮かべるのが、胴体が真っ直ぐな鳴子系の小芥子です。遠刈田系・土湯系とあわせて日本三大こけしと呼ばれています。
伝統こけしは、どれも職人によって一つ一つ手作りされているのが特徴です。ものによって模様や表情が異なるので、気に入ったものを選べます。
新型こけし
新型こけしは全国の観光地で見られ、分業により量産されている小芥子を指します。伝統こけしは一人の職人が形を作り色付けをしますが、新型こけしは「一人で作る」という概念をなくしたものです。
分業を行うことで一度にたくさんの小芥子が作れるため、昭和30年代には全国の土産物屋にあっという間に広がりました。時代に合わせた姿に変わっていくのも伝統こけしとの大きな違いとなっており、人型だけでなく猫や鳥の小芥子があるなど、形に決まりがありません。
創作こけし
創作こけしは系統にとらわれない自由な発想から生まれた、職人オリジナルの小芥子のことです。形が自由なため、顔と胴体が一緒になった丸い小芥子や、表情豊かな小芥子もいます。
キャラクターとコラボした小芥子など、現代の流行を取り入れることができるのも、創作こけしの特徴です。結婚や出産のお祝いやクリスマスなどのイベントで、プレゼントとして購入されています。無地の小芥子に自分で色付けできるタイプも人気です。
小芥子の処分方法
小芥子はお土産として購入したり、頂き物として手元に置いたりすることが多いですが、処分するときはどのように扱えばいいのでしょうか?小芥子の処分方法を解説します。
小芥子の処分方法【1】譲渡・売る
小芥子の処分するときは、学校や幼稚園などの公共施設に寄付したり、フリマサイトやリサイクルショップで売ったりする方法があります。小芥子を大切に扱ってくれる人へ、譲り渡すという方法です。この場合、小芥子を捨てるわけではないので、供養の必要はありません。
宮城県大崎市には、「日本こけし館」という小芥子の鑑賞や絵付けを楽しむ施設があります。多くの小芥子が集まっており、「処分したいとお考えなら、是非日本こけし館へお送り下さい」と呼びかけています。送料は自己負担になりますが、中古こけしとして利活用の道が用意されています。
参考:日本こけし館
小芥子の処分方法【2】人形供養
小芥子を人に譲らない場合は、人形供養を行いましょう。お寺や神社に奉納するのもいいですし、自宅で簡易的な供養をする方法もあります。
お寺や神社では、適切な供養を行い処分してもらえるのがメリットです。小芥子をそのまま捨てるのにはためらってしまう人に向いています。利用するお寺や神社で人形供養が行われていることを確認してから、小芥子の処分を依頼しましょう。
小芥子を自宅で供養する場合は、塩で清めた後に燃えるゴミとして処分します。普通ゴミとして捨てるのが不安な場合は、布やタオルで小芥子を巻き、自治体のルールに従って捨てましょう。
構成/編集部