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ガソリン車もハイレベル!走行フィールも格段にレベルアップしたトヨタの新型「シエンタ」

2022.09.18

日本の道にジャストなサイズを持ち、リヤスライドドアによって乗降性に優れ、いざというときには7人乗車が可能となる、コンパクトな5ナンバーサイズにして万能に使えるのが、コンパクトミニバンだ。その代表格の1台がトヨタ・シエンタ。初代はミニバンブーム全盛の2003年にデビュー。そして2015年に発売された2代目はシリーズ途中の2018年11月に待望の2列シート、大容量ワゴンと呼べるFUNBASEを追加。より落ち着いたエクステリアデザインを採用もあって、翌年の2019年8月、9月には国産乗用車販売台数NO.1の座についたほどの人気モデルとなった。

そして2022年8月、シエンタは3代目に進化。5ナンバーサイズを守りつつ、先代の”個性的すぎる”エクステリアは一転、クロスオーバー感あるテイストに変貌。スライドドア部分の素晴らしく低いステップ高330mmはそのままに、さらに全高と室内高を20mm、スライドドアの開口部高を60mm高めたほか、1-2列目席のカップルディスタンス=間隔を80mm広げ、2列シートモデルのチルトダウン方式の見直しによる後席格納時の荷室高を50mmも高めたことで、さらなる大容量ワゴンとしての使いやすさを加速させている。

プラットフォームは先代で使われていたヴィッツベースから、ヤリスにも使われているトヨタ最新のTNGA GA-Bに刷新。1.5Lのダイナミックフォースガソリンエンジン(WLTCモード最高18.4km/L 5人乗り)と、これまたヤリス譲りの1.5Lエンジン+モーターのシリーズパラレル式ハイブリッド(WLTCモード最高28.8km/L 5人乗り)を用意。CVTはファイナルを下げて、ヤリスに対する車重増に対処しているという。

クロスオーバー感ある、しかし一目でシエンタと分かる、しかし、ギア感を増したエクステリアには、ボディサイド下のシトロエンのベルランゴを思わせるプロテクションモール、前後ホイールアーチ部分の樹脂プロテクションを配置。これはデザイン性だけでなく、ぶつけたときの補修費用低減にも効果がある(交換のみでOK)。

エクステリア以上に進化したのがインテリア。インパネ上部やドア内張りの一部を布張りにし、上質感あるシートファブリックとともに、上品なリビング感覚を醸し出している。ドライビングポジションにしても先代のインパネを見下ろすような不自然さを一掃。ごく自然な運転姿勢が取れるようになっている(TNGAのおかげでもある)。

パッケージングは先に触れたように、ミニバンの特等席となる2列目席の居住性の向上がポイント。具体的には、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、2列目席頭上に220mm(先代200mm)、膝周りに最大260mm(先代220mm)が確保され、フラットフロアもあって、より広々とした空間となった。ただし、シートスライド位置が上記の寸法となる後端では足を引くことはできない(立ち上がり性で不利)。また、2列シート車とクッション構造が異なる3列シート車の2列目席は、かけ心地がどうにも落ち着かない印象だった。そのひとつの要因が、フロアからシート座面前端までの高さ=ヒール段差で、先代が340mmのところ、新型は325mmと低まっているからだと思える。ヒール段差が小さいと、膝を立てた体育座り的な着座姿勢になりやすいのである。合わせて、シートバック部分の背中との当たり方も微妙に感じられた(複数の乗員の意見)。

3列目席はどうか。先代ユーザーの調査によると、ほとんどが格納したまま使っていたそうで、あくまで緊急席的なシートと言っていいが、実は先代シエンタの3列目席は、筆者でも無理なく座れた”使える”3列目席だった。が、新型は1-3列目席間距離が縮まっていて、なおかつ2列目席の膝周り空間を重視しているため、3列目席の膝周り空間はやや狭まっている印象だ。筆者の実測では頭上に70mm(先代140mm)、膝周りに0-40mm(先代30-75mm)という具合だ。とはいえ、めったに使わない3列目席より特等席である2列目席の居住性を重視したパッケージングは決して間違いではないと思える。

大容量ワゴンとしても使えるシエンタの荷室の開口部地上高は3列シートの場合505mm(先代490mm)とかなり低く(4WDのE-Fourは+20mm)、重い荷物の出し入れは楽々と言っていい。が、2列シートになると荷室開口部地上高は565mm(+60mm)に高まってしまうのだ。これいかに? 理由は3列シート車とは異なる、ワンタッチで倒せるチルトダウン機構の格納方式により、倒した時に荷室フロアと面一、フラットにするためで、あえて荷室フロアを60mm高めているのである。もし3列シート車と同じ開口部地上高505mmのままだと、60mmの段差ができてしまうというわけだ。

3列シート車の3列目席使用時のフロア奥行きは310mm。3列目席格納時で990mm(フロア幅1265mm、天井高1105mm)。3列目席を格納すると凸凹や隙間ができてしまうのだが、オプションで不要なときは二つ折りに畳める、凸凹や隙間を埋めるラゲージボード(11000円)が用意されているから、フラットなフロアが実現できる。一方、2列シート車の荷室は後席使用時で奥行き840mm(フロア幅1265mm、天井高1155mm)、後席格納による最大荷室長2045mmとなる。2045mmはフロア長ではないものの、工夫次第で大人が真っすぐに横になれるフロア=ベッドスペースを出現させられるのだから、アウトドアや車中泊にもってこいである。

3列シート車3列目席格納時

2列シート車の荷室

ライバルにない装備としてまず挙げられるのが、天井サーキュレーター。ノア&ヴォクシーのように後席エアコン吹き出し口を持たないシエンタだが、これなら2/3列シート仕様を問わず、後席の乗員も空調的に快適に乗車していられるに違いない。そしてHV車に限定すれば、AC100V/1500Wコンセントもライバルにない、アウトドアやキャンプ、車中泊、災害時に大活躍してくれる機能装備となる。

新型シエンタは先進運転支援機能の充実度にも注目だ。全車標準装備のトヨタセーフティセンスは比較的新しいもので、プリクラッシュセーフティは昼夜の歩行者、昼夜の自転車運転者、昼の自動二輪車を検知。交差点での対向車、歩行者、自転車運転者、出会い頭、自車直前の歩行者、自転車運転者に対する衝突回避、被害軽減などにまで対応。さらにリスクを先読みしサポートしてくれる、超先進のプロアクティブドライビングアシストも標準装備。歩行者の飛び出しの先読み、ACCなしで発揮される先行車に対する距離維持のための減速機能、カーブ手前減速支援といった機能は、あらゆる運転シーンで絶大なる安心・安全を可能にしてくれるものと言っていい。今回の試乗時を含め、一度体験すれば、もう手放せない機能になると確信している。さらに先代やライバルにないブラインドスポットモニターもZ・Gグレードに標準装備されるのだから、どんだけ先進運転支援機能を充実させているんだ!!と驚くしかない。

この時代に相応しいコネクテッド機能の充実度も見逃せないポイント。ヘルプネット(SOSコール)、車内WI-FI、センター通信型コネクテッドナビとセットで対応するエージェント機能などまでが用意されているのだ。ノア&ヴォクシーもそうだが、もはや走るスマホと言っていいかも知れない・・・。

さて、ここでまず試乗したのは1.5Lのダイナミックフォースガソリンエンジン、120ps、14.8kg-mを積むモデル(Z/FF/7人乗り)。HVのZグレードとはシフターが異なり、メーターの一部デザインも異なるのだが、上質な室内空間、デザインでまとめられているあたりは、HVモデルと一切変わらない。なお、パーキングブレーキはHVとともに足踏み式のままで(残念!!)、電子パーキングブレーキ、オートブレーキホールド機能は持たない。全車速域対応のACCも停止保持、渋滞追従機能なしの仕様となる(HV Zグレードのみ電制シフトで停止保持、渋滞追従機能あり)。

スペック的には大したことない・・・と思いながら走り始めれば、思わずおおっ!!と唸ってしまった(いい意味で)。というのは、すでに触れたごく自然になったドライビングポジション、前方、斜め前方の視界の良さ、車両感覚のつかみやすさ、そして扱いやすいパワーステアリングの軽さとともに、実にスムーズでトルキーな加速を見せてくれたからだ。

しかもTNGAによる乗り心地は、先代のふんわりしたタッチから、硬めながらしっかり感のあるものとなり、3気筒感など皆無に近いエンジンフィールもまた、硬質で質感の高いものだったのである(逆にHVは軽快感ある走りとなる)。大人3人で試乗しても、高速走行を含め、動力性能に不満はなかった(急な坂道は未体験だが)。

操縦性にしてもステアリング操作に対して素直に反応し、実に運転がしやすい。首都高速のカーブをそれなりの速度で侵入しても、適度なロールを伴いつつ、安心・安全、安定感抜群のままクリアできてしまうのだ。ちょっと大げさに言えば、意のままに走らせることができる。そして巡行時は意外なほど静か!! こうしたガソリン車の走行性能の進化は、まさに目からうろこ。先代なら圧倒的にHVモデルを推奨したくなったものだが、新型は199万円から買えるガソリン車もなかなかいいじゃん!!ということになる。ただし、アクセルペダルを一気に踏み込むシーンでは、一瞬だけ無反応になり、シャクるような挙動を示すところは要改善点だろう。

わずか30分(撮影含む)だけ試乗したHVのE-Four=4WDモデルは、たしかにHVらしいスムーズさある走りを見せるのだが、車重が50kg重くなることから、FF車に比べてクルマの動きがややゆったりするとともに、車内にザワザワしたノイズが届くようになる。FFのようなスッキリとしたドライブフィールではないと感じるかも知れない・・・。

よって、価格重視でガソリン車を手に入れても、大いに満足できそうなのが新型シエンタだ。とはいえ、真打ちはやはり電動車のHV。価格差は35万円ほどだが、装備、AC100V/1500Wコンセントを含む追加可能プションの充実度などもあって、それに見合う価値はあると思える。買いのグレードはHV、ガソリン車ともに最上級のZだろう。

トヨタ・シエンタ

文・写真/青山尚暉

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