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依存症に陥るプレーヤーの特徴とは?ギャンブルに走った女性たちの心理

2022.09.30PR

【短期集中連載:Vol.9】カジノ&ギャンブルの深層『女性とギャンブル ギャンブルにおけるゾーンとスピード』

ナマステ。カジノライターのかじのみみです。

世間では、ギャンブルは「男性がハマるもの」、というイメージがあるかもしれませんが、多種多様なギャンブルが身近で行えるようになったので、女性もギャンブルに陥ってしまうケーズが見受けられます。シリーズ⑨では、海外の事例を紹介しながら、ギャンブルに走る女性たちの心理に光を当てたいと思います。タイトルは 「女性とギャンブル ギャンブルにおけるゾーンとスピード」 です。

「ギャンブルマシンの一例 2015年頃」

依存症に陥るプレーヤーの特徴

約3年前、国内外のギャンブル研究書を探していく過程で、海外にあるスロットマシンやビデオポーカーにのめり込んでしまった女性プレーヤーを多数インタビューし、その内容を独自の視点で考察した刺激的な一冊と出会うこととなった。

本の著者は、ナターシャ・ダウ・シュール氏(Natasha Dow Schull)で、タイトルは『デザインされたギャンブル依存症』(日暮雅通訳)である。訳者によると、同書は2012 年にプリンストン大学出版局から出版された「Addiction by Design: Machine Gambling in LasVegas」 の全訳なのだという。

この本の中で筆者が特に共感した言葉が2つあった。それは「ゾーン」「スピード」である。著者いわく、ギャンブルにはゾーンなる場所があり、依存症に陥るプレーヤーは、それに向かって「加速する」と同書で伝えている。これは興味深い考察だ。

「ギャンブルマシンの一例 2015年頃」

加速という表現は、本シリーズ⑥の「ギャンブルで走る」(ボーダーラインを超える)というギャンブル用語と非常に類似していると感じた。国が変わっても依存症的プレーヤーの行動に違いはないということなのか。

「ゾーン」という言葉に関しては、例えばスポーツ選手が他人を凌駕するほどのプレーを見せた際に、「あの選手はゾーンに入った」などとして使われているだろう。ゴルフの試合で5連続バーディーが出たとき、「ゾーンにいるプレー」と解説者がテレビで話しているのを耳にしたことがある。その他、音楽家や芸術家が作品の制作に一心不乱に取り組んだ場合、「ゾーンに入って創作されたもの」と評されることがあるかもしれない。

このゾーンという”場所”は、なにやら、アドレナリン、エストロゲン、ドーパミンといった脳内物質を放出させた人間の状態を表す言葉のようにも感じられる。ゾーンに入るとは脳がトランスしていることと同義なのだろうか。

下記に、同訳本の中のシュール氏の言葉とインタビューを受けた海外女性の証言をほんの少しだけご紹介させていただきたい。


「私が会ったャンブル依存症者たちは、自分自身の行動とその結果を非常に内省的な目で見ていた。自分の行動が無意味で有害だということに気づかないのが典型的依存症者かと思っていたら、みずからの苦境を明快かつ洞察たっぷりに語るのだ。モリーはこう述べていた。『お金の問題かって? 違います。楽しいから? いいえ(中略)』」。

(ナターシャ・ダウ・シュール・日暮雅通訳『デザインされたギャンブル依存症』)

「早いスピードでプレイしていると気持ちが安らく」と語るのは、食堂のウェイトレスで四人の子を持つローラだ。「それで興奮するわけじゃない。むしろ鎮静剤みたいに気持ちが落ち着くのよ。スピードが、私を〈ゾーン〉に連れて行ってくれるの」。

(ナターシャ・ダウ・シュール ・日暮雅通訳『デザインされたギャンブル依存症』)


数年ほど前、海外で繰り返しギャンブルを行っていた日本人女性に話を伺う機会があった。その女性はギャンブルを重ね生活が一変していたが、それでも尚、博打を辞める雰囲気は微塵もなかった。

シュール氏の訳本に登場する女性モリーのように過去の経験を淡々と語る一方で、自分をギャンブルに追い込んだと考える人や出来事を「握りしめている」ように思えた。怒りを手放せない様子だった。

ギャンブルのゾーンに入ってしまうことを選ぶ女性たちは、自分だけの世界を築き日々の物事と戦っているのか。過去のできごとを忘れるように、または将来への不安を飲み込むようにゲームに講じているのだろうか。

「ギャンブルマシンが設置された施設の一例」

耐えざるを得ない環境におかれてしまう女性たち

女性は総じて我慢をしやすい生物である。社会的に弱い立場に追い込まれやすいからか、神から授かった身体的な能力なのか、或いは出産の経験が可能なためか、我慢に耐え得る力を持ち合わせているという。

しかし、男性優位な現代社会では、背丈・腕力・筋肉の量・体力など、一部を除いて女性はほとんど男性にはかなわないだろう。パワハラ、セクハラ、モラハラを受け人に言えず、一定の時間をやり過ごすと「もう耐えられない、耐えたくない・・・」と自己の救済に向かう行動を模索するのだ。その一つにギャンブル行為があるのかもしれない。

朝日新聞デジタル【SGDsACTION!】によると、2022年の日本のジャンダーギャップ指数は146カ国中116位で、主要7カ国(G7)の中では最下位だったという。

出典:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)

我が国日本では、政治でも経済でも男女格差を生んでいることは間違いないようだ。

そのような社会構造のためか、自分の「本当の気持ち」を言葉にすることを恐れる女性たちは、月に1 回くる生理でお腹や背中が痛くても仕事を休めず我慢をして働いている場合がある。また「NO! ダメだ!」と上の立場から拒絶された過去を持っていると、その出来事を繊細に捉えてしまいギャンブル等に没頭することもあるだろう。

嫌なことは「いやです」と主張をすると、仲間外れにされ仕事のシフトから外されるなど金銭面での影響も受けやすい。だから耐えてしまう。耐えざるを得なくなる環境におかれてしまう事例がきっといくつもあるのだろう。

ゾーンとスピードを提供してくれるギャンブルは一時的にでも、そのゲームにハマる女性たちにとって、精神的な開放を覚える「安全な場所」の役割を担っているのかもしれない。

取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント

カジノIR・ゲーミング業歴31年。カジノディーラー歴25年。10歳から15歳までインドのボンベイで育つ。2001年、米ラスベガスのPCIディーラーズスクールにて日本人初としてブラックジャック・ルーレット・バカラのディーラーライセンス取得。国内カジノメーカーでの広報・カジノイベント企画運営責任者、米系大手カジノ事業主のVIPマーケティング業を得て、2013年8月フリーとなる。2012年  立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(MBA)修士課程修了。2019年 マカオ大学 グローバルリーダーシップ育成プログラム 国際統合型リゾート経営管理学(IIRM) 修了。

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