結婚式でスピーチや手紙などを読むときに気を付けたいのが「忌み言葉(いみことば)」です。言葉は聞いたことがあっても、どのような言葉が該当するのか、またどのような意味があるのかまで理解するのは難しいものです。改めて忌み言葉を解説するので理解を深めておきましょう。
忌み言葉とは
結婚式ではなぜ忌み言葉が避けられているのでしょうか。忌み言葉の意味、避けるべき理由について確認しておきましょう。
縁起が悪いといわれる言葉
忌み言葉とは、結婚式や葬儀において使用を避けるべき言葉を指します。日常で使うにはまったく問題がない言葉ですが、冠婚葬祭などでは読み方によって縁起が悪いことを想像させるため、使うことが避けられています。
もちろん、忌み言葉を使うことで本当に縁起の悪いことが起きるわけではありません。しかし、結婚式でのスピーチや余興ムービー、手紙などを新郎新婦に喜んでもらいたいなら、忌み言葉をなるべく使わないように配慮することが大切です。
当事者や親族に悪い印象を与えてしまう
結婚式で忌み言葉を使わないようにするのは、マナーとなっています。
披露宴では、新郎新婦の友人だけでなく、親族や会社の上司など、幅広い年齢層の人が参加しており、なかには忌み言葉を気にする人もいるかもしれません。忌み言葉のことを知らずに何度も使ってしまうと、常識がないと思われるだけでなく、故意に使っていると思われて不快感を与えてしまうおそれがあるため注意が必要です。
結婚式で避けるべき忌み言葉
結婚式では、再婚や結婚生活の短さなど、ネガティブなイメージを与える表現が忌み言葉に該当するケースが多いです。具体的にどのようなものが忌み言葉になるのか確認しておきましょう。
再婚を連想させる重ね言葉は使わない
結婚式では、同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」は再婚や出戻りを連想させることから、忌み言葉になります。
重ね言葉には次のようなものがあります。
- いろいろ
- くれぐれも
- たびたび
- いよいよ
- たまたま
- ますます
- だんだん
- どんどん
- 次々
- 日々
- 徐々に
- 重ね重ね
ただし、重ね言葉を絶対に使ってはいけないわけではありません。新郎新婦との楽しかった思い出や2人の今後を祝福するようなポジティブな話題を話すときなどは、多少使っても問題ないでしょう。
結婚式のスピーチでは、忌み言葉を避けることを心がけておきたいですが、それよりも自分の思いが相手にきちんと伝わることの方が大切ともいえます。
重ね言葉を言い換える方法
スピーチの原稿を書いていて、重ね言葉を使わないと前後の流れがおかしくなる、重ね言葉を避けることに意識が集中してスピーチで上手く話せる自信がないという場合もあります。その場合は、重ね言葉の言い換えを検討してみるのも一手です。
代表的な重ね言葉と言い換えについては次の通りです。
- いろいろ:多く、盛りだくさん、バラエティに富んだ
- くれぐれも:どうか、十分に、ぜひ、どうぞ
- ますます:加えて、更に、一段と、もっと、末永く
- 次々:休み無しに、息つく暇もなく、たくさん
- 重ね重ね:あわせて、深く
重ね言葉を言い換えることができれば、内容を変えずに思いを伝えられる可能性が高くなります。言い換えによって内容が具体的になり、よりよくなることもあるので適切な表現を探してみましょう。
離婚や結婚生活の短さを連想させる「別れる」「短い」はNG
結婚式では、新郎新婦の今後の結婚生活に関して縁起の悪い表現は忌み言葉になります。日常会話でよく使われる言葉も多く含まれるため、確認しておきましょう。
- 失う
- 終わる
- 離れる
- 短い
- 消える
- 切る
- 捨てる
- 逃げる
- 別れる
- 忙しい
- 流れる
また、離婚や結婚生活の短さを連想させる言葉のほかにも、夫婦関係の悪化を連想させる言葉も忌み言葉になるため注意が必要です。
- 寂しい
- 嫌い
- 耐える
- 冷たい
- 疎遠
- もめる
- 壊れる
- 飽きる
日頃よく使う言葉でも、結婚式では忌み言葉になってしまうものもあります。今後の結婚生活に関して縁起の悪い言葉をひとつも入れないでスピーチをするというのは難しいかもしれません。しかし、意識していないと、忌み言葉を多用してしまうおそれもあるため注意しましょう。
ポジティブな表現に言い換える方法
今後の結婚生活に関して縁起の悪い言葉は、ポジティブな表現に言い換えることで内容を変えずに思いを伝えられるようになります。
たとえば、「月日が流れるのは~」という言葉であれば「月日が経つのは~」という言い換えが可能です。また、「実家を離れてからは~」であれば「一人暮らしをしてからは~」などに言い換えることでネガティブな印象を無くすことができます。
そのほかにも次のような言い換えができます。
- 別れる:距離を置く、疎遠になる
- 負けた:勝てなかった、黒星がついた
- 短い:つかの間、ちょっとの間、瞬く間
- 嫌い:合わない、得意ではない
- 飽きる:切り替える、満足する
日常的によく使う言葉を言い換えるのは簡単ではありません。しかし、ポジティブな言い換えをすることで、話す内容も明るくなり聞いている人もうれしくなります。そのため、ぜひ例を参考にして言い換えをしてみてください。
新たな門出を祝うのに適さない言葉を使わない
結婚式は新郎新婦の新たな門出を祝福するために行うものです。そのため、人の不幸や不吉なこと、物事の終わりを連想させる言葉は避けましょう。
特に次のような直接的な表現は、使わないように注意が必要です。
- 死ぬ
- 亡くなる
- 滅びる
- 倒れる
- 散る
- 痛い
このような言葉をそのまま使うと、結婚式の参加者に不快感を与えるおそれがあります。「死ぬ」は「逝去」「旅立つ」などに言い換えましょう。
忌み言葉以外に結婚式で避ける言葉
結婚式で注意したいのが、ネガティブな言動を避けることです。結婚式の参加者に不快な思いをさせないために、忌み言葉を避ける以外にも注意すべきことがあります。
忌み言葉と合わせて注意することで、よりよいスピーチや手紙になる可能性が高いので確認しておきましょう。
聞いていて暗くなるような言葉は避ける
過去の辛い経験や苦い思い出などは、会場の空気が重くなる場合があります。話の内容によっては不快に思う人がいるおそれもあるため、結婚式のスピーチや手紙では避けた方がよいでしょう。
もし、そのエピソードが無ければ話の流れが合わないという場合なら、必要な部分だけをピックアップして全体のなかのボリュームを減らすことを心がけてください。
忌み言葉を避けるための事前準備
忌み言葉は種類が多すぎて、カバーするのは大変です。スピーチや手紙を読むときは、緊張もあり完璧に避けるのは難しいと思います。しかし、事前にある程度の準備をしておけば、リスクを減らすことは可能です。
第三者に原稿を確認してもらう
結婚式でスピーチや手紙を読む際に、忌み言葉を使わないための対策としては、原稿を見直すことや自分自身で録音をして聞き返すことが効果的です。そこまでできたら、第三者から原稿をチェックしてもらいます。
原稿を自分だけで確認すると、どうしても見落としがでてしまい忌み言葉を含んでいることに気付けないことがあります。
しかし、第三者には客観的な視点でチェックしてもらえるため、忌み言葉に気付くことができるのです。原稿は、新郎新婦を知らない人でも理解できる内容になっているかを確認するために、結婚式と関係の無い人にも見てもらうようにしましょう。
スピーチで忌み言葉を使ってしまったときは素直に謝る
結婚式でのスピーチや手紙を読むときは、大勢の人の前に立つことになります。原稿の準備が万全でも、緊張から読み間違いや違う内容を話してしまうこともあるでしょう。
もし本番でうっかり忌み言葉を使ってしまった場合は、素直に謝罪をしてから読み進めます。完璧に読むことにこだわらず、ミスはするものという心構えをすることも、忌み言葉を避ける対策になるので覚えておきましょう。
構成/編集部