■連載/阿部純子のトレンド探検隊
世界で人気のコンパクトノンフライオーブンに日本企画モデルが登場
Cuisine(料理)+art(芸術)=Cuisinartのブランド名を持つクイジナートは、1973年にアメリカで生まれたキッチン家電ブランド。1985年に国内向けに販売を開始、フードプロセッサーを中心に商品展開している。
2019年から発売を開始した、コンパクトでノンフライ(=エアフライ)調理ができる「ノンフライ オーブントースター(TOA)」シリーズは世界で販売されているが、昨今の高級食パン人気から、トーストへのこだわりを反映したトースト機能と、ノンフライ調理にグリルパンを加えた日本企画の上位モデル「TOA38 エアフライ オーブントースター」(オープン価格/想定売価は2万9700円)を9月下旬に発売する。
TOAシリーズは大型ファンによるパワフルな熱風を活用した調理が大きな特長で、コンベクションオーブン最大クラスの大型ファンを天面に搭載している。
食材に真上からパワフルな熱風を送り出して庫内を循環することより、トーストはすばやくムラの無い仕上がりになり、から揚げやフライドポテトなど、油で揚げないのに衣サクサクでヘルシーな仕上がりで、庫内の熱が一定になるためグリルコンテナを使った料理も美味しく仕上がる。
オート操作の機能はないが、体感的な操作で使いやすい4ダイヤルになっており、調理モード→温度→時間(トーストはトースト機能を使用)の順序で操作する。アナログな感覚のデザインも逆にスタイリッシュで、英語表記ではあるが日本企画ということで日本人でも想像しやすいモードの設定をしている。
調理モード(FUNCTION)は、WARMが料理の保温機能、GRILLがオーブン料理で特に焼き目をつけたい料理に、BAKEはオーブン料理全般でグリルコンテナを使用した料理に、AIR FRYはエアフライ料理や揚げ物惣菜の温めなおしに、TOAST+FANは冷凍食パンのトーストやアレンジトーストに、TOASTは食パンのトーストに使用する。
本モデルではトーストの焼き上がりの速さを重視し、石英管ヒーターを採用。上3本、下2本の5本を設置し、熱風も効率よく循環するように設計した。
24cmのピザが焼ける広々とした庫内で、食パンは一度に4 枚焼ける。ラックの設置場所は上段と下段に変えられる構造で、調理によって使い分けできる。下段設置時は庫内高さが9cmあるので高さのあるオーブン調理も可能。
カラーはシルバーとオンライン限定のホワイトの2色展開。
専用レシピを開発した料理研究家の沙希穂波さんが機能を実演
製品に付属している2冊レシピ本の考案・監修を担当したのは、料理研究家の沙希穂波さん。雑誌・テレビ媒体等を中心に、企業向けレシピ提案、飲食店のメニュー・商品開発を多数手がけ、ジャンルの枠にとらわれない自由な発想と独自の感性を活かしたレシピ・フードスタイリングに定評がある。
「エアフライ オーブントースターが家に届くと『新しい友達が来た!活躍してね!』という感覚になります。手の込んだ、背伸びして作る料理ではなく、普通のものだけど、なんかこれすごくいいねと思ってもらえる、日本の家庭で使いやすいレシピにしています」(沙希さん)
沙希さんが考案したレシピを実演してもらいながら、エアフライ オーブントースターの実力を検証してみた。
○トースト~「冷凍バタートースト」
パンの種類に合わせて使い分けができる4通りのトースト機能。取り外しが可能なスチーム用トレーを付属し、冷凍食パンや生食パン、アレンジトーストなどでファンとスチームのあり・なしを組み合わせて最適な調理を行う。
トースト&エアフライ用のレシピ本の最初に登場するのが「冷凍バタートースト」。
「美味しいトーストに仕上げるにはパンの水分を蒸発させないことが重要です。高級食パンブームで食パンを冷凍保存する人が増えていますが、冷凍食パンをおいしく焼くには2つのポイントがあります。
ひとつめは食べないものに関しては買ってからすぐに冷凍するということ。時間が経つとパンが乾燥してしまうのですぐに冷凍すれば、パンの中に水分を保ったまま冷凍できます。もうひとつは焼くときは水分を補いながら強力な熱で速く焼き上げるということ。スチーム機能を活用し、スチームで水分を補って焼き上げることで、外はカリッと、中はモチッとした絶品トーストに仕上がります」(沙希さん)
冷凍の状態でバターを塗り、スチーム用トレーに5mlの水か40度程度のぬるま湯を入れる。水だと庫内の温度が下がり、スチームとして蒸発するまで時間がかかってしまい、パンの乾燥が進んでしまうため、よりおいしく食べるにはぬるま湯がおすすめ。トースト+ファンのモードで、230度、加熱時間は4分。
○エアフライ調理~「おいしい鶏から揚げ」
大型ファンによって真上から熱風が送り出され庫内を循環するので、食材にムラなく熱を通し、ダイレクトで風をあてるので余分な油も落とし、揚げ物の衣はサクサクの食感に。から揚げは油で揚げた時と比べ、カロリー約27% カット、脂質約43%カット。
「強力熱風の利点が活かされるのがエアフライ調理。『おいしい鶏から揚げ』は下味を肉につけて調理します。エアフライ調理は油を使わないとおいしくならないため、から揚げレシピでは焼く前に少量の油を塗り、肉をコーティングすることで、だれでも失敗せずにジューシーさを残したまま美味しい食感を実現できます。
油をカットしたいからノンフライを選ぶのに、と不安になるかもしれませんが、皮目を上にすることで、皮が持っている油が揚げたような食感になる役割を作り、出来上がるまでに余分な油はメッシュバスケットの下に落ちているので、油で揚げるよりもカロリーや脂質をカットできます」(沙希さん)
コロッケやメンチカツなど買ってきた揚げ物総菜は、電子レンジで加熱すると水分の逃げ場がなくなるためべちゃっとなったり、トースターだとあたためムラが起こることがあるが、クイジナートは強力な熱風調理で揚げ物惣菜も衣サクサク、余分な油は落としてヘルシーに仕上がる。
エアフライ オーブントースターと電子レンジでのあたためを比較。下記画像右がエアフライ調理で、180度、8分加熱。箸で叩くとカンカンと音がするほどしっかりとした硬さで温め直しができている。揚げ直ししたようなからりとした食感で、メッシュバスケットに載せて調理するため余計な油も落ちるのでヘルシーに仕上がる。
○グリルコンテナ(トップ)~「鶏もも肉のパリパリ」
熱風で庫内の温度を均一に保つので、蒸し料理や煮込み料理が簡単に短時間で仕上がる。グリルコンテナはトップとボックスで構成されており、トップを蓋にしてボックスと組み合わせれば蒸し料理にも使える。トップだけならグリルプレートになるので、焼き目を付けたい、皮をパリッとさせたい料理に最適。ボックスはオーブン料理やスイーツに使用。ボックスはテーブルウエアとして使えるように色にもこだわり、そのまま食卓に出しても映える。
「『鶏もも肉のパリパリ』は強力熱風によってできあがる、北京ダックのようなパリパリとした皮の食感を味わっていただきたく作ったレシピ。鶏もも肉量の1%の塩と紹興酒だけで味付けして、グリルパンのトップに載せるだけのシンプル調理です。
日本酒でも美味しくできますが、紹興酒にすると“なんちゃって北京ダック”のような味わいで気分が上がります。加熱は15分が目安ですが、5分ごとに見ると焼き具合の表情が変わってくるので、様子を見ながら焼き上げます」(沙希さん)
グリルパンの溝に余分な油がしっかりと落ちて、こんがりとした美しい焼き上がりに。皮つきの肉は切るときに形が崩れたり、皮が剥がれたりすることがあるが、クイジナートの電動ナイフを使うと型くずれせずにきれいにカットできる。
○グリルコンテナ(ボックス)~「ふんわり煮込みハンバーグ」
ボックスを使った洋食定番メニュー。マッシュルームを入れると洋風だしの代わりになるのでシンプルな材料でもおいしくできる。ハンバーグと野菜をボックスに入れてトップで蓋をし、BAKEモードで200度、20分調理。
「このボックスの高さが絶妙で、あと5mm高いとキッチンツールになってしまいますが、テーブルウエアとして出しても違和感がないちょうどいい高さになっているのがポイントです。キッチンミトンやクロスを使った状態でもつかみやすくがっしりと持てます。長く使ってもらうため、人にとって心地よく感じることを重点に作られています」(沙希さん)
【AJの読み】簡単、時短で毎日フル活用できる“本当に使える”オーブントースター
高級オーブントースターは各社から様々な商品が展開されているが、メインはやはりトースターで、いかに絶品トーストに仕上がるかがキモになっている。
「TOA38 エアフライ オーブントースター」もトースト機能を追加して日本企画として発売されたモデルだけあって、大型ファンとスチームを活用したトーストの4種類の使い分けは大きな特長だ。
しかし、一主婦としてそれ以上に魅力を感じたのは、エアフライやグリルコンテナを使った調理。商品に付属するレシピ集は、日本の食卓に合わせた身近な食材でできるラインナップで、簡単、時短のレシピの数々は、毎日フル活用できること間違いなし。これはレシピ考案者の沙希穂波さんの功績によるものが大きい。今後、さらにラインナップを増やして、いっそのこと有料でも良いのでレシピブックを出して欲しいと思うほど。
沙希さんの周りでも、発表会でもとても評判が良かったのが「稲荷ずし餃子」。炭水化物とたんぱく質をひとつの料理で完結させるレシピを目指したとのことで、市販の稲荷ずしの皮に、ごはんと餃子のタネを入れてグリルパンに加熱するだけ。焼き目が良い具合に出ており、お肉が入って大葉があって肉汁がしっかりご飯に落ちるという計算で詰められている、ひとつでまさに完結してしまう、子どもから大人まで喜ばれそうなメニュー。
3万円未満の価格で毎日の料理にフル活用できる“本当に使える”オーブントースターだと実感。買い替えを検討している人にもおすすめの製品だ。
文/阿部純子