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最高出力864HP!AMG製6.0ℓ V12ツインターボエンジンを搭載したパガーニのスーパースポーツ「Utopia」衝撃の中身

2022.09.15

2022年9月12日(現地時間)、パガーニは、新型のスーパーカー「Utopia(ユートピア)」をイタリア・ミラノで公開した。そして、その発表会をミラノ音楽院のシンフォニック・オーケストラの演奏をバックに、創業者のオラシオ・パガーニ氏が見守る中、盛大に行われた。

https://youtu.be/bfcT8PbF0F8

カーボンファイバーや軽量素材が多用され、重量1,280kgを実現

この「Utopia」は、Huayra(ウアイラ)と同じV型12気筒ツインターボを搭載し、パワーアップしている。オートマチックトランスミッションのオプションはなく、マニュアルギアボックスのみを使用。この新モデルのディテールは、これまでのパガーニのスーパーカーから明らかに影響を受けている部分が多くある。

「Utopia」の全体的な外観は、確かにこれまでのパガーニよりもアグレッシヴではないが、ここには巧みなエアロダイナミクスワークがふんだんに盛り込まれている。

カーボンとチタンを組み合わせたモノコックボディ(パガーニはこれをカーボタニウムと呼ぶ)の下には、AMG製6.0リッター・V型12気筒ツインターボが収まっており、メルセデスAMGから供給されるエンジンのパワーは、エクストラック7速自動マニュアルトランスミッションまたは「エレクトロメカニカルディファレンシャル」付きの純粋なマニュアルを経由してリアに送られる。

カーボンファイバーや軽量素材を多用した「Utopia」は、軽量で、重量はわずか1,280kg。製造は99台数が予定されているが、いずれにせよ、名誉ある愛好家たちに割り当てられすでに完売している。パガーニは、「Utopia」を「クーペ」モデルと呼んでいる。

パガーニ・アウトモビリは、アルゼンチン生まれのオラチオ・パガーニ氏がイタリアに設立した。1999年に『ゾンダC12』と呼ばれるスーパーカーを発売。パガーニ・アウトモビリはその後、『ロードスター』、『ゾンダF』、『ゾンダR』など、絶えず進化の手を加えてきた。

「Utopia」はフロントグリルの巨大なラジエーター前方には、空力的な補助となりそうなウィングレットがある。ルーフとリアには大きなエアインテークがあり、エンジンルームに空気を取り込でいる。全体的なデザインはウアイラに似ているが、ゾンタFを彷彿とさせる縦置きのリアライトが特徴的だ。

ボディパネルのすべて、あるいはほとんどにカーボンファイバー製が採用される。フロントセクションは、カナードやウイングレットの代わりに大型エアインテークや様々な空力エレメントが一体化されており、洗練されたデザインが導入された。

フロントホイール後方、ドアにはエアスクープが設けられており、これ以外にもエンジンベイにフレッシュエアを導くベント類が設置されている。

パガーニの特徴であるサイドミラーは健在で、丸型4灯式テールライトの形状はカモフラージュだろう。象徴的なクワッド・テールパイプの下、リヤバンパーには珍しい形状のディフューザー処理が採用されている。

高い目標と志で開発

享楽の錬金術、美の方程式…パガーニの次なるハイパーカーにとって、大切なことはなんだろうか。オラシオ・パガーニ氏は自身のアイデアを持ちつつも、新たな作品を心待ちにしている顧客たちに望みを訊ねた。すでに並はずれて速く、美しい車を手にしている彼らに不足しているものは何か。

この問いかけに対する答えは、シンプルであること、軽量であること、そして、運転する喜びの3つだった。C10プロジェクトは、時代の流れに逆らう形で開発された。重いバッテリーもハイブリッドも使用せず、素晴らしいV12エンジンのみを搭載した。

V12エンジンは、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)も使わず、純粋な7速MT(マニュアルトランスミッション)またはAT(オートマチックトランスミッション)が採用されている。すべては、この車がドライバーのあらゆる操作にこれまで以上に反応し、最高に純粋なドライビング、新しい方法で定義された「クラシック」な体験を保証するために開発された。

このような構想と高い志のもと、理念を具現化するためそのモデル名が「Utopia」と名付けられた。1516年の哲学者トマス・モアにとって、この名は私たちが夢見る“ユートピア”に与えられてきたもの。しかし、自らの未来を切り開く者たち、つまり「Utopia」のクリエイターにとって、「Utopia」は確かに存在する。

シンプルで洗練されたフォルム

Paganiのすべては、美の衝撃から始まる。「Utopia」はシンプルであることが追求されている。「Utopia」らしいラインを持ちながら、過去の作品と一線を画す存在感を放つのだ。流れるような、より曲線的なシェイプ。丸みを帯びたアッパーエッジを持つフロントガラスから、ウィングやボンネットのディテールまで、その柔らかな輪郭は新しい表情、新しいアウトラインを生み出す。

長い時間をかけて滑らかにし、洗練されたフォルムは、一度見たら忘れられないことでだろう。「Utopia」にとって最も大きな挑戦は、その時代の流行に左右されることなく、時を超えたデザインオブジェクトを創り出すという、当初の意図に可能な限り忠実に表現することだった。

「Utopia」は空力アドオン装置がほとんどないにもかかわらず、これまで以上に効率的だ。ハイパーカーの中には、多数のスポイラーを備えているものもあるが、「Utopia」はこれらの付属物の機能を全体の形状に組み込んでおり、デザインのみによってより大きなダウンフォースと空気抵抗の低減を実現している。

スタイリングのディテールは、数こそ少ないものの、それだけで賞賛に値するほど緻密に仕上げられている。技術的にも先進的なシェイプは、スクーター「Vespa(ベスパ)」の無駄がないデザインのヘッドランプやスピードボート「Riva(リーヴァ)」の部品など、1950年代のものに着想を得た。

鍛造ホイールには、タービン状のカーボンファイバーのエクストラクターが装着され、ブレーキからの熱気を逃がし、車体下部の乱気流を低減する。カーボンセラミックディスクに装着されるブレーキキャリパーは、軽量化されたニューデザインとなる。

ピレリのタイヤは、強大なトルクを効率よく路面に伝え、フロント21インチ、リア22インチという異例の大径ホイールにより、車体周辺のデザインに新しい創造性を生むとともに、卓越した走行感覚を実現する。サイドウォールには「Utopia」のシルエットが刻まれ、この作品のために開発されたことを物語っている。

まるで宙に浮いているようなサイドミラーは、エアフォイル形状によりボディから離され、空力的な透過性を高めており、風洞実験による綿密な最適化が施されていることがわかる。リアライトはリアウィングの脇に浮かび、エアエクストラクターにセットされ、その一つひとつのパーツは、宝飾店のウィンドウに飾られていてもおかしくないほど美しく仕上げられている。

パーソナルモニュメントでもあり、ブランドのシグニチャーでもあるチタン製クワッドエキゾーストは、熱を効率よく逃がすためにセラミックコーティングを施しながらも、システム全体の6キログラムをわずかに超える程度の重量を実現させた。

インテリアはタイムレスなデザイン

車は彫刻に例えられるが、ドアを開くとすべてが変わる。彫刻でありながら座ることができる、「Utopia」の内装は外観よりもさらに独創的となっている。

モダンでもレトロでもない、タイムレスなデザイン。ドライバーの前にある最小限のディスプレイ以外には、スクリーンが存在しない。大きなスクリーンは、設置も簡単でデザインの手間も省けるが、美しさが損なわれてしまう。すべての計器は純粋なアナログで、読みやすいダイヤルの一つひとつが、まるで腕時計のスケルトンムーブメントのように、そのメカニズムの一部をさりげなく披露している。

パガーニにとって、自動車が機能するために必要なすべての部品は、創造性を発揮する機会となる。ステアリング・ホイールも スポークや中空構造のリムからステアリングコラム、ボスまで、すべてアルミの無垢材で作られてる。ペダルも金属のブロックから作られている。ギアレバーの構造もむき出しのままだが、より洗練されたものになっている。すべてにおいて、人間工学、効率性、快適性を追求している。

ロードユースを前提とした「UTOPIA」

「Utopia」の非常にシンプルなシェイプに到達するためのプロセスは、かつてないほどに複雑であった。最初のスケッチとコンピュータ計算から、カーボンファイバーの金型に最終的な形状が決まるまでに6年間もの月日を費やした。そして、風洞実験での果てしない研究と数え切れないほどの変更を経て、その内部の空力性能は完璧なものとなり、一度に一つずつ行う無数の修正を繰り返し完成した。

「Utopia」はエアロダイナミクスの神秘性を生かし、どんなに高速でも確実なハンドリングと安定性を最大限に発揮する。そのアクティブ・エアロダイナミクスは、電子制御ショックアブソーバーと相まって、あらゆる走行条件下で最適な動的挙動を確保する。

アルミニウム合金製のダブルウィッシュボー式サスペンションは、サーキット走行専用車である「R」の長期にわたる開発成果から生まれ、その開発で培われた技術が生かされている。しかしながら、ロードユースを前提とした「UTOPIA」は、日常的に使用する路面にも対応可能となっている。

歴代モデルに採用されてきたカーボンモノコックは、強度、軽さ、製造品質においてパガーニのスタンダードとなっている。既存の強みを強化し、繊維の織り方を改良し、カーボチタンやカーボトライアックスなどの新しい複合材料を発明することを選択。さらに、新しいタイプの Aクラスのカーボンファイバーは、ボディワークのような美しさの実現のために特別に開発され、同じ繊維密度で38%の強度を向上させた。

ハイパフォーマンスカーは所有者を喜ばせるだけでなく、要求したり心配したりすることなく求められるすべての安全性を提供し、サポートしなければならない。パガーニは安全性を始め、あらゆる面で世界で最も厳しいレギュレーションをクリアした車を作り、改めてその名誉を称えた。「Utopia」は、開発からプレテスト、ホモロゲーションモデルに至るまで、50以上の厳しい衝突テストをクリアし、グローバルな認証を受けている。

トランスミッションへのこだわり

メルセデスAMGがパガーニのために特別に製作した6リットルV12気筒ビターボエンジンは、膨大な開発作業の結果、864HPの出力と、とりわけ1100Nmという驚異的なトルクを発揮するようになった。カリフォルニア州を含む最も厳しい排ガス規制をクリアしながら、より高回転、柔軟、パワフルな走りを実現する。

トランスミッションの選択は哲学的なものであった。効率的ではあるが、重く、ドライバーが加速のペースを決めることができないDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)は採用せず、パガーニは、モータースポーツと高性能自動車用トランスミッションの分野で最も権威のあるメーカーである Xtrac(エクストラック)に依頼し、ヘリカルギアを用いた最も素早いシフトチェンジが可能なギアボックスを開発した。コンパクトで軽く、横置きのため重心が最適化されている。

さらに、パガーニの愛好家の希望に最も合致するように、バーチャルなマニュアルではない、本物の7速MT(マニュアルトランスミッション)が開発された。シンクロナイザーリングを備え、ピュアマニュアルとして十分な1100Nmのトルクを扱える機構を持つこのようなギアボックスを設計するのは容易ではないが、「Utopia」にとっては必須条件であった。

しかしながら、オートマチックトランスミッションがどんなに高性能になったとしても、ドライバー自身がギアチェンジを使いこなすことに代わることはない。優勢な論理であっても、その時々の状況、道路の状態、その瞬間の気分による個人の判断にかかっているのである。

【主要諸元】

乾燥重量:1.280Kg (2822lb)
パワー出力:864HP (635kW) /6000 回転/分 (18°Cにおける)
最大トルク:1100Nm from2800回転/分 to 5900回転/分
エンジン:AMG製6.0リッター・V型12気筒ツインターボ
総排気量:5,980cc
ギアボックス: Xtrac製の7速シーケンシャル、もしくは新開発の7速マニュアルトランスミッション ※自動ギアボックスまたは真のマニュアルを選択できる
ボディ構造:モノコック Carbo-Titanium HP62 G2、Carbo-Triax HP62
フロント&リア:CrMo合金銅製のチューブラーサブフレーム
ブレーキ:ブレンボ製 カーボンセラミック4ベンチレーテッドディスクブレーキ(
フロント:410x38mm、6ピストンモノリシックキャリパー、リア:390x34mm、4ピストンモノリシックキャリパー)
ホイール:APPモノリシック・アルミニウム合金鍛造 、フロント21インチ、リア22インチ
タイヤ:型式:フロント ピレリ Pゼロコルサ 265/35R21、リア:25/30R22
低温時の走行に適したピレリ・ソットゼロ

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

関連情報:https://www.pagani.com/pagani-utopia/

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