「古希」という言葉を聞いても、何歳で祝うか知らない人もいるでしょう。古希について、「何歳のことか」「どんなお祝いをするのか」を紹介します。プレゼントの選び方も知り、喜ばれる古希祝いの準備をしましょう。
古希とは満70歳の長寿祝い
古希とは、70歳の誕生日を迎えた人の長寿祝いです。以前の古希は、数え年の満69歳で祝う傾向がありました。数え年は生まれた時点を1歳とし、元日を迎えるたびに1歳年を取るという考え方です。
しかし、数え年は戸籍管理や教育制度との整合性取りづらく、第2次世界大戦後に政府によって満年齢への切り替えが推進されると、次第に満70歳を迎えてから古希を祝う人が増えています。
もちろん、古希を数え年で祝うのも間違いではありません。家族が集まれる日など、予定を合わせやすいタイミングで古希祝いを行いましょう。
古希祝いの由来は唐の詩人から
古希の由来は、唐の詩人「杜甫(とほ)」が詠んだ詩から来ています。
厚生労働省の調査によると、2021年の段階で男性81.47歳、女性87.57歳が日本人の平均寿命です。医療の発達やライフスタイルの変化から、平均寿命はどんどん延びています。しかし、杜甫の時代は今よりもずっと短命でした。杜甫が「人生七十古来稀なり」と詠み、人々に「70歳まで生きるのは稀(まれ)なことだ」と伝えたのが、古希の由来とされています。
杜甫の詩によれば「古稀」となるところ「古希」と表記されているのは、「稀」が常用漢字に含まれていないためです。常用漢字とは法令や行政文書、新聞雑誌など一般社会生活で使用が推奨される漢字の目安で「古稀」の場合は似たような意味を持つ「希」で代用されています。
参考:令和3年簡易生命表の概況-厚生労働省
常用漢字表|文化庁
還暦よりも主要になっている
古希の前の長寿祝いには、還暦があります。60歳という人生の節目の還暦は、長寿祝いとして家族や友人から盛大に行われていました。
しかし、近年の60歳は、働き続けている人も多くいます。労働政策研究・研究機構の調査(2019年実施)によると、60代の就業状況は59%と半数を超えていました。
厚生労働省の資料によると、平均寿命だけでなく、健康寿命(心身ともに健康で日常生活に支障がない状態の年齢)も延びています。
長寿の人が増えたことからも、還暦よりも70歳を祝う古希の方が節目のお祝いとして普及してきているといえるでしょう。
なお、古希と同じ70代の長寿祝いには、77歳の喜寿(きじゅ)もあります。70代のテーマカラーは紫のため、古希と喜寿では紫が長寿祝いの色です。
参考:「60代の雇用・生活調査」結果 |独立行政法人 労働政策研究・研究機構
図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省
古希のお祝い方法
「古希をお祝いする」というのは、実際にはどんな祝い方をするのでしょうか。古希で喜ばれるお祝い方法を解説します。
古希のお祝い方法【1】家族や友人と過ごす
古希は、家族や友人と過ごすのが一般的です。そのため、70歳の誕生日だけでなく、お正月やお盆・敬老の日など、遠方に住む人も集まりやすい日を選んでお祝いする傾向があります。
古希祝いだからといって、特別な贈り物がなくても問題ありません。普段、なかなか会えない孫と会えることで喜ぶおばあちゃんやおじいちゃんは多いでしょう。
食事会を開いて古希を祝う人や、兄弟姉妹で費用を出し合い家族旅行を計画する人もいます。長寿を祝う特別な日なので、家族や友人みんなでゆっくり語り合うのも楽しいひとときとなります。
古希のお祝い方法【2】プレゼントを贈る
古希の食事会や旅行のプレゼントとともに、お祝いの気持ちを込めたプレゼントを贈るのも、喜ばれるお祝い方法の一つです。
仕事の都合や遠方に住んでいるなどで、顔を合わせて古希祝いができない人もいるでしょう。そういった人は、古希のプレゼントを贈り、お祝いの気持ちを伝えるという方法もあります。
古希祝いで両親を祝う場合、1~10万円が相場です。食事会とプレゼントを合わせて、相場の費用にするのも一つです。
一人一人お祝いを贈るのもよし、家族で合わせて豪華なプレゼントを渡すお祝い方法など、喜ばれる祝い方を一緒に考えましょう。
古希祝いプレゼントの選び方
古希祝いのプレゼントを贈るときは、形の残らない消耗品ではなく、人生の区切りを過ごした記念が形に残る贈り物を選ぶのがおすすめです。
では、実際にどんなプレゼントがよいのでしょうか。古希祝いのプレゼントの選び方を男性と女性に分けて紹介します。
古希祝いプレゼントの選び方【男性】
お酒好きな父親や祖父に古希祝いを贈るなら、名入れのお酒や酒器がおすすめです。お酒は日本酒やワインなど、お祝いをする人が好きなお酒を選びましょう。
名入れの容器はずっと飾っておけるほか、特別感があるので記念になります。
お酒を飲まない人には、ルームウェアをプレゼントするのもおすすめです。退職後などは家で過ごすことが多くなるので、日常的に使えるものを選ぶと喜ばれます。
また、古希祝い用として、生まれた年の新聞がついたプレゼントもあります。普段から新聞を読むことが多い人や、活字が好きな人にぴったりなプレゼントです。
古希祝いプレゼントの選び方【女性】
古希祝いで母親や祖母にプレゼントを贈るときは、実用品はもちろんですが、自分では買わないような高級バッグやアクセサリーが喜ばれます。
普段から家で過ごすことの多い人には、家事が楽になるような日常生活で役立つ贈り物をするのもおすすめです。ゆったり座れるソファチェアやマッサージグッズなど、リフレッシュできるアイテムもよいでしょう。
美容に気を使っている人には、エステのプレゼントを贈るという方法もあります。普段の生活を見ながら、どんなものが喜ばれるか考えてみましょう。
カタログギフトで好みの品を選んでもらう
古希祝いのプレゼント選びに迷ったら、カタログギフトを贈るのもよいでしょう。70歳では、生活用品はすべてそろっていることが考えられます。また、終活の準備でできるだけ物を少なくしようと考えている人もいるかもしれません。
カタログギフトなら、自分の気に入ったものを選んでもらえます。物以外にも、体験型のギフトが選べるものもあります。
何を渡せばよいか分からないと悩んでいる人も選びやすく、受け取る側も贈り物の喜びに加えて選ぶ楽しみが増えるでしょう。新しい興味を持ち、生活をより楽しむアイテムが見つかることも考えられるので、おすすめです。
メッセージを添えて
古希祝いのプレゼントを贈るときは、メッセージを添えましょう。「おめでとう」と伝えるだけでも十分です。
普段は口に出さない言葉も、手紙なら書けることもあります。祝う相手が家族の場合、形式は気にする必要はありません。自分の気持ちを書いて伝えましょう。
会社の上司など、目上の人にメッセージを贈る場合は、丁寧な言葉遣いを意識するようにします。メッセージがあるだけで特別感が増すので、めでたい古希祝いにぴったりです。
構成/編集部