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じつは森保監督の次男だった!登録者数20万人を突破した「LISEM」がYouTuberになったきっかけ

2022.09.15

若者の支持を得るYouTubeのLISEMけーご。実は森保監督の次男だ(撮影=六川則夫)

 2022年カタールワールドカップ(W杯)開幕まで約2カ月余り。那須大亮、鈴木啓太(Aub代表取締役)ら元JリーガーのYouTube(ユーチューブ)参入が相次ぎ、競争が一段と激化している。

 そんな中、彼ら元有名選手以上に若いファンの支持を集めているのが、「サッカー系ユーチューバー」の代表格と言われるLISEM(リゼム)だ。コロナ禍直前の2000年1月から配信をスタートさせた「LISEM CHAMNNEL」は目下、登録者数23万人。本田圭佑、長友佑都(FC東京)と同レベルの支持を獲得しているのだ。

 リゼムはけーご(森保圭悟)、しげ(重行拓也)、たか(藤井貴行)の3人によって結成されるユニット。彼らはサンフレッチェ広島ユースの同期で、1つ下に野津田岳人(広島)、2つ下に川辺駿(グラスホッパー)がいるというハイレベルな環境でプレーしていた経歴を持つ。

 彼らはそれぞれ大学へ進み、卒業後もプレーヤーとして挑戦を続けていた。発起人のけーごも流通経済大学からオーストラリアへ赴き、フィリピン、ドイツを足掛け4年間、渡り歩いた。そして、同国5部相当のコブレンツに在籍していた2019年に現役引退を決断。ユーチューバーの道に踏み出すことを決意したという。

「映像を通して面白いことを発信したい」と2020年1月にスタート

「僕は海外でいろんなことを経験したので、島国で外国に行ったことのない日本の人たちに映像を通して面白いことを発信できたらいいなと自分なりに考えていました。

 そこで当時、オーストラリアにいたシゲに連絡を取ったら、同じタイミングで帰国するというんです。『何するの?』と聞かれ、『ユーチューバー』と答えたら、『それって面白そう』と乗ってきた。それで一緒にやることになったんです。

 となれば、エンタメ要素をもたらせる明るいキャラクターのたかにもぜひ入ってほしいと思った。彼はJFLの奈良クラブでプレーしていたんですが、『一緒にやる』と二つ返事でOKし、いきなり現役引退を発表した。これには周りもビックリしたと思います」とけーごはユニット結成の経緯を説明する。

 3人は「Life is short enjoy more(人生は短いから楽しもう)」の頭文字を取ってLISEMというグループ名を付け、活動を開始した。とはいえ、動画撮影や編集のスキルもなければ、どんなコンテンツを作ればいいか分からない。全てがゼロからのスタートだった。

「とりあえず、Macブックを買って、動画を撮って必要な部分をカットして、i-padのアプリを調べて文字を入れるという作業を独学で学びました。編集作業自体は慣れたらすぐできるようになったんですが、難しいのはコンテンツの企画。僕らは元日本代表選手みたいに知名度がないので、配信したところで見てもらえない。

 そこで、何が強みかを考えた時、一番は広島ユースで高円宮杯プレミアリーグU-18を制覇したことだと思い至った。サッカーをやってる人は沢山いますけど、全国優勝はそうそう達成できることじゃない。ユースレベルでトップだった経験を生かして、一般の人に身近な存在だと感じてもらえるような親近感を前面に出していこうとしたんです」

 しかし、最初から順風満帆というわけにはいかなかった。スタート時は登録者数も再生回数もパッとせず、登録者1000人を越えたのは4ケ月後だった。

LISEMのメンバー。右からしげ、けーご、たか、カメラマンのしょーへい(写真提供=Luaaz)

「親父の七光りにはなりたくない」と自分の力で勝負

 実を言うと、けーごは日本代表・森保一監督の次男。その絶対的武器はあったが、「親父の七光りにはなりたくない。自分の力で成功するんだ」とあえて情報を表に出さず、試行錯誤を繰り返したという。

「そんな時、素人2人を入れたフットサル大会の動画がバズって、一気に1万人くらい登録者が急増したんです。これがLISEMの大きな転機になりました。

 サッカーとエンタメの中間地点を扱っているユーチューバーには『MAKIHIKA』さんや『AJ UNITED』さんがいますけど、サッカーの質の部分では僕らの方が上回れる。そのストロングをうまく生かしたことで、徐々に認知度が高まっていったんだと思います」

 もう1つ、大きなターニングポイントだったのが、2021年に本格稼働し始めた『WINNER’S(ヴィナーズ゙)』のメンバーに入ったこと。「ユーチューブ界最強のサッカーチームを作る」というコンセプトの下に結成されたグループに参戦。高校サッカー最強の青森山田とガチで試合をするという動画が2021年8月に配信されたところ、再生回数は100万回をゆうに越えたのだ。

 同年12月26日には、WINNES監督・那須大亮主催による「JAPAN ALL STARS 2021」にも参戦。日産スタジアムに3万人近い大観衆が集まる中、キング・カズ(三浦知良=鈴鹿)らとも共演を果たした。けーごが父が森保監督であることを明かしたのも、ちょうどこの時期。それも含めて彼らへの注目度は一段とアップした。

この1年間で登録者数が6万から24万へ。恒常的に10万回再生突破も

 さらに、今年1月からは、けーごの2歳上の兄・しょうへい(森保翔平)もカメラマンとして参加。裏方として3人を支えるようになった。こうしてより強固な体制になったリゼムの勢いは加速し、この1年間で登録者数が6万人から24万人へと急上昇。最近の配信動画も10万回再生をほぼコンスタントに越えている。

「僕らを支持してくれるのは、20~30代の若い層中心。Jリーグのサポーター層とは少し違います。今は日本サッカーも日本代表も人気が停滞していると言われていますが、新たな層が興味関心を持ち、盛り上げてくれるようになれば、僕としても嬉しい。父を後方支援することにもつながると思っています」とけーごは前向きに言う。

 彼らがユーザーをつかむために工夫しているのは、まず毎回の配信時間を18時に設定し、視聴を習慣化させること。朝ドラが朝8時から放送されているように『リゼムと言えば18時』というのがインプットされれば、恒常的に見てくれるようになるからだ。

「加えて言うと、動画を10分程度のコンパクトな内容にまとめ、サムネイルとタイトルで関心を引くように仕向けています。それは僕の役割なんですが、『神〇〇』『最強の〇〇』といったタイトルは引きが強いかな。とんねるずさんの番組で人気コーナーだった『男気じゃんけん』も人気が高かった。僕ら3人の個性が際立つような作りにして、とにかく多くの人に喜んでもらえるような内容を心がけています」とけーごは作り手としてのモットーを口にする。

 八面六臂の活躍ぶりがJリーグからも認められ、この夏は横浜F・マリノスや名古屋グランパスなどのイベントにも呼ばれた。「古巣の広島からはまだ呼ばれていないんですよ」とけーごは苦笑するが、近い将来はそれも実現しそうな雲行き。「身近なサッカータレント」として活躍の場を広げる2人の息子を森保監督も頼もしく感じているようだ。

父・森保監督は当初「何だ、それ」という反応だったという(写真提供=日本サッカー協会)

「2年半前にユーチューブを始めると伝えた時は『何だ、それ』というのが親父の反応でした(苦笑)。『大丈夫か?』とも言いましたけど、僕らももう大人なんで、好きなことをやれというスタンスでした。

 父親から言われるのは『人に迷惑をかけるな』『楽しめ』の2つだけ。楽しむことの大切さを僕自身もサッカーや海外生活の中から痛感していたので、リゼムという名前に込めたつもりです。

 森保一の息子だと明かしてから、代表戦の前後の動画には『やめさせろ』『森保を何とかしろ』といったアンチの書き込みも見受けられるようになりましたけど、自分にはやめさせる権利はない(笑)。親父は親父、自分は自分ですし、今は『リゼムのけーご』として認知されたのかなと自分なりに感じています」とけーごはユーチューバーとして1人立ちしたことに自信を深めている様子だ。

カタールW杯を戦う森保監督を援護射撃

 間もなくカタールW杯が開幕するが、彼らが現地に行けるかどうかまだ未定だ。仙台に住んでいた小学生時代に2002年日韓W杯のトルコ戦を宮城スタジアムで観戦したという彼は「サッカーをやっていた人間なので、できればW杯は生で見たい」と熱望するが、日本で仕事をしつつ、父の率いる日本代表を遠くから応援する形になるかもしれないと語る。

「代表監督の父とはあまり関わらないようにしていますし、連絡も滅多に取りません。でも、今年3月の最終予選大一番・オーストラリア戦前に家族で食事をしたことがありました。当時は『日本代表は大丈夫か?』といった不穏な空気が流れていたけど、本人は普通過ぎるくらい普通だった。物凄いところで戦っているはずなのに、全くストレスがあるようには見えなかった。自然体でブレない強さを改めて痛感させられました。

 もちろん親父には成功してほしいですし、自分も今をただ全力で生きることに集中したい。これからは世界にも出て行って、より面白いコンテンツを配信していきたいと思ってます」

 けーご率いるリゼムの願いを森保監督、そして日本代表もしっかりと受け止めて、カタールの地で戦うはず。それぞれが別の道で大きな成果を得られるように祈りたい。(本文中敬称略)

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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