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コスメ、おむつ、食料品、経済的に困窮するシングルマザーを支援するサービス3選

2022.09.09

少子高齢化対策として、子育て女性を支えるための取り組みが進んでいる。とくにシングルマザーの就労支援や経済的困窮へのサポートは重要視されている。昨今はSDGsを背景に取り組みが増えているように見受けられる。

そこで今回は、シングルマザーを救う取り組みのうち、日常で役立つ化粧品、おむつ、食品支援についての取り組みを3つ紹介する。

1)【化粧品の支援】コスメバンク プロジェクト

コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営するアイスタイルの共同創業者である山田ユメミ氏が代表理事を務める一般社団法人バンクフォースマイルズによる「コスメバンク プロジェクト」は、化粧品メーカーが抱える行き場が決まっていないコスメを詰め合わせてギフトにし、シングルマザーを中心とした、経済的などの困難を抱える女性たちへ、無償で提供している。

パイロット版として、ハリウッド株式会社を含む化粧品メーカー17社、全国の女性支援団体、ココネット、WWDJAPAN、アイスタイルの協力のもと、15万点の行き先が決まっていない化粧品を、シングルマザー世帯、約2万2,000世帯へ届けた。価格にして約2億円分におよぶスキンケアからベース&カラーメイク、ヘアケアまで幅広い良品が集められ、1世帯につき6~8点、詰め合わせギフトにして送った。

2022年4月中旬には、本格的に始動し、シングルマザーを中心とした約33,000世帯へ、母の日に向けた「春夏ギフト」の配送を行い、すでに約3万3千世帯に配送している。

ハリウッド株式会社では、60周年を迎えたロングセラー商品の酵素パックをはじめ、フェイスマスク、目元パックなどの商品を150個ぐらい、アイゾーン商品を販売する子会社のアヴァンセ株式会社も600個近くのアイライナー商品を寄付した。

●支援の背景

コスメバンク プロジェクトにおけるシングルマザーへの化粧品提供の背景について、ハリウッド株式会社の取締役で、バンクフォースマイルズ理事である山名群氏は次のように述べる。

バンクフォースマイルズ理事・ハリウッド取締役 山名群氏

「『子どもの入学式や卒業式のようなハレの日にさえ、口紅のひとつも手元になくて、マスクで顔を隠して行くしかなかった』。これは、プロジェクト発起人の山田メユミが、女性支援団体を通じて聞いた、シングルマザーの方のお話です。これをきっかけとなり、山田にプロジェクト設立を決心させました」

シングルマザーに対して「化粧品」を提供することは、どのような意義があるだろうか。

「お届けするのは化粧品という品物ですが、それだけではなく、『応援しているよ』という愛のメッセージも込められています。そして、化粧品が持つ、人に自信を与え、表情や行動まで変える力によって、シングルマザーに自信と元気を与えることができたらと願っています。」

●受け取ったシングルマザーの声

受け取ったシングルマザーからは、どのような声があったのだろうか。

「子どもの食事や学費を優先して、化粧品にお金をかけられてないので、大変うれしいという声が多かったです。例えば『10年ぶりのクリスマスプレゼント。まさか自分にも届くなんて』『髪は石鹸で洗っていたので、シャンプーをもらえて嬉しい』『化粧下地もちょっとずつ使っていて、普段はプチプラや100円ショップのものばかりだったので嬉しい』などのお声をいただいております」

●化粧品提供へ思い

2022年4月中旬から届けられた「春夏ギフト」

山名氏自身、どのような思いでハリウッド化粧品の商品を含めた化粧品提供を行っているのだろうか。

「私はコスメバンク プロジェクトの『女性と地球にスマイルを』という言葉に強く惹かれています。より良い世界のためには、やっぱり女性と地球がキーになると思います。ハリウッド化粧品の創業者 メイ牛山は、『女性が美しい国は、戦争をしない』と説いています。外見だけでなくマインドまで、お母さんが美しくなって笑顔になれば、家庭やコミュニティ、社会にポジティブな影響を与えられます。この活動を通じて、一人でも多くのシングルマザーが笑顔になって、スマイルの輪を広げてもらえたらと強く願っています」

●今後の展望

今後は、どのような展望があるだろうか。

「この活動を通じて、女性にとって化粧品がいかに大切で特別な存在であり、日常生活に欠かせないものであるかということを、私を含めたコスメバンクのメンバーたちは、改めて強く実感しています。なかなかゼロにすることがむずかしい、行き先の決まっていない化粧品にその使命を果たさせること。そして同時に化粧品がないことで悲しい思いをされる女性のいない社会をめざすことは、業界に関わる私たちの責務だと思っています」

2)【おむつと悩み相談の提供】NPO法人 こどもの居場所づくり in かわぐち

埼玉県川口市のNPO法人 こどもの居場所づくり in かわぐちは、子ども食堂の展開などを中心に活動をしていた。コロナ禍で子ども食堂中止が続いたこともあり、生活に不安を抱える子育て家庭におむつを宅配しながら、同時に悩みを聞くなどして支援している。

この「おむつ宅配便」は、経済困窮や親の精神不安などで子育てが懸念される、乳児がいる家庭が対象。川口市保健センターや民間病院などを通じて支援が必要な家庭とつながり、おむつやミルクなど2,500円相当のベビー用品を月に一回、自宅に届けている。中にはシングルマザー世帯もある。

●支援の背景

理事長 添田朋子氏は、おむつと悩み相談の提供における背景について次のように述べる。

「コロナ禍での子育て世帯の孤立への不安から始まった活動です。子ども食堂の立上げ当初から関わっていた、あるシングルマザー世帯で、第4子が生まれるとのお話を聞きました。家庭環境に不安があるにもかかわらず、本当に生活が成り立つのかといった懸念もあり、おむつの宅配を通して、その世帯と定期的につながり、コロナ禍でもつながりを絶やしたくないという思いから始まった活動です」

●「おむつ」提供の背景

なぜ提供する品におむつを選んだのだろうか。

「おむつの提供は、子どもの成長をいち早くキャッチできるバロメーターになるからです。おむつは、身体の成長に伴ってサイズが変わりますし、年齢が上がるにつれておむつから卒業します。乳幼児の成長を把握し、遅れや問題がないかなどのモニタリングを行うことができるということが選んだ理由です」

●おむつ提供と共に「悩み相談」を実施

おむつを届けると共に、母親からの悩み相談も受け付けているという。

「おむつの提供は、あくまでも子育て世帯とつながるための『きっかけづくり』です。本来は、お母さんたちの心の扉を開き、子育ての悩みを吐き出せる時間を共有したいと考えています。シングルマザー世帯や生活困窮世帯の子育ては、特に孤立化の傾向にあります。そこで本事業を通して、子育て世帯との悩みを共有しサポートすることで、虐待防止や地域の見守り支援を向上していきたいと考えています」

おむつの提供を通して、「家計が楽になった」などの感想のほか、「子どもの成長を家族以外の人と共有できることが嬉しい」という声もあるという。

●今後の展望

今後は、どのような展開を考えているだろうか。

「おむつからの卒業をした乳幼児がいる世帯に向けて、地域の民間支援団体のリソース例えば子ども食堂、フードパントリー、学習支援などにつなぐことを考えています。それにより、引き続き、その乳幼児が大人になるまで、地域全体で見守る、地域支援の輪をさらに強化していきたいと考えています」

3)【食品の提供】ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」

認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンはひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」を運営している。

ひとり親家庭を対象に食品を無料で配付する事業で、現在は首都圏と大阪で毎月800~1200世帯のひとり親家庭に配付している。食品は、企業や個人の寄付によって集まった米・調味料・レトルト食品・菓子など、約10,000円相当だ。

対象者は、ひとり親家庭等医療費受給者証を持ち、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭で、東京都近郊または大阪府の配付拠点に直接取りに来ることができる家庭としている。

コロナ禍により、「助けてください」「親子でどうやって生きていけばいいかわからない」「給料日まであと5日、もう家に食べるものが無い」といった声が寄せられ、昨年の利用登録は前年比で7倍に増加。その状況を受け、拠点を首都圏8ヶ所と大阪6ヶ所へ拡大した。

●支援の背景

広報・マーケティング部の部長、飯島史絵氏は、おむつと悩み相談の提供における背景について次のように述べる。

「10年ほど前から徐々に、日本国内の子どもの貧困がメディアで取り上げられるようになりました。日本の子どもの貧困率は7人に1人といわれていますが、ひとり親家庭に絞るとおよそ2人に1人です。

貧困が子どもの自己肯定感の低下を生み、教育や将来の選択肢を奪い、その子の持つ才能や能力が発揮できないとしたら、日本の未来にとっても大きな損失になります。何より今、十分に食べることさえできない子どもたちが日本にいることを見過ごすことはできない。それが私たちがフードバンク事業を始めたきっかけです」

●食品の種類の選定基準

グッドごはんで配布している食品は、どのような基準で選ばれているのだろうか。

「お配りしているお米や調味料、加工食品、お菓子、生鮮食品などの食品は、基本的に個人や企業から寄贈された食品で、子育て世帯の食卓を支えることを念頭に受け入れています。そのうち、賞味期限が切れていたり、期限が記載されていないもの、開封済みのものなど安全性が担保できないものはお断りしています。

企業やメーカーからいただく寄付には、賞味期限の近いもの、規格外・パッケージ破損・出荷期限切れ等で販売できない訳アリ品も多く、これらを受け入れることでフードロス削減にもつなげています」

●シングルマザーにとってのメリット

食品提供により、シングルマザーにとってはどのようなメリットがあるだろうか。

「グッドごはんで提供する食品は一回あたりおよそ10,000円相当。その分の食費が軽減されるのはもちろん、食品の支援はお腹だけでなく心も満たし、孤独の軽減や生きる力にもなっているようです。子どもにとっても、お腹が満たされることで勉強に身が入るようになったり、『親以外の誰かが自分を応援してくれている』と感じられることが力になっていたりして、食品支援の波及効果は無限にあると感じます」

●今後の展望

今後は、どのような展開を考えているだろうか。

「食品を希望するすべての方にお渡しするため、これまで東京・品川区と大阪の倉庫周辺を中心に20以上の配付拠点を設けてきましたが、利用希望者の利便性を考えると配付エリアの拡大が課題でした。持続可能な支援を実現するために、現在の倉庫に加えて、東京23区北西部に東京の第2の倉庫開設を計画しています。また、当事業を知らない多くの方に利用していただけるよう広報活動を強化していきます」

シングルマザー世帯は、経済的な困窮のケースが多いといわれる中、化粧品やおむつ、食品といった品が受け取れることは大きなメリットだ。そしてその支援には品物だけでない、支援メッセージや思いが込められていることが分かった。

【参考】
コスメバンク・プロジェクト
グッドごはん

取材・文/石原亜香利

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