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次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」が大ヒットしているパナソニックの研究開発拠点に潜入

2022.09.08

建物や交通機関などを利用する際の〝空間除菌〟は、家族の健康を考えると気になるものです。

そんな中、パナソニックの次亜塩素酸(じあえんそさん) 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」が人気を集め、〝爆売れ〟といって過言ではない状況です。

一般的な空気清浄機は「HEPAフィルター」などを利用して浮遊する菌を本体に吸い込んで捕集・制菌しますが、ジアイーノはHEPAフィルターに加えて除菌フィルターも活用。さらに、本体内部で作る次亜塩素酸のチカラで空気中を浮遊する菌を吸引・抑制します。

そして、キレイになった空気といっしょに気体状の次亜塩素酸を放出して、部屋に付着した菌まで抑制するのです。

そんなジアイーノは社会のニーズにより事業を拡大。パナソニックは2022年現在の年100億円規模の売上から、2025年には500億円規模へと進展する予定です。

ジアイーノの説明をするパナソニック株式会社 空質空調社 副社長
パナソニック エコシステムズ株式会社 代表取締役社長 小笠原 卓さん

急成長するジアイーノですが、なぜそこまで人気なのでしょうか? その秘密を探りにパナソニック エコシステムズの「IAQ検証センター」へ潜入したのでご覧下さい。

次亜塩素酸の効果はどれくらい? その実証実験が進む

次亜塩素酸の効果を検証するために、IAQ検証センターは愛知県春日井市に設立され、2022年4月から稼働しました。ちなみにIAQ(Indoor Air Quality)とは「室内空気質」の意味です。

IAQ検証センターは3階建て延べ床面積3422平方メートルの施設です。1階には「実空間除菌試験室」と「空質空調検証室」を設置。2階には「ジア環境BSL2試験室」と「体感型デザインルーム」を、3階には社員が実際に業務をしながら空質空調機器の実空間検証ができる、「空間価値創造オフィス」があります。

まずは、1階の実空間除菌試験室に潜入します。

実空間除菌試験室は6~80畳(10~132平方メートル)に広さを変えることができる広々とした空間。最小の約6畳のスペースから、

壁と天井部分のスペーサーを収納し、手動で壁を移動させると最大で80畳まで広さを変えられます。

ここでは、付着菌の除菌、付着ウイルスの抑制効果、空間臭・付着臭の脱臭といった除菌脱臭試験ができます。

温度は0℃から40℃まで、湿度は10%から95%まで自在にコントロールができ、実際の室内に近い環境での試験ができるそうです。

パナソニックでは従来、限られた広さの実験室や会議室を改造した空間で次亜塩素酸の効果検証を行っていたそうですが、実空間除菌試験室は実際にユーザーが利用する広さで、より正確な検証が可能になったとのこと。次亜塩素酸のエビデンス強化に役立ちます。

家具や生活用品も搬入できるので、住宅・オフィスなどの環境に近づけた実証を今後は増やしていくそうです。

今回は残念ながら潜入できなかったのですが、同じく1階にある空質空調検証室は、戸建て・マンション・非住宅など、自由に間取りを設定できる試験住宅を、恒温恒湿室の中に設置。様々な外気温度・湿度条件でIAQに関する評価が行えるそうです。

続いて2階のジア環境BSL2試験室に潜入です。

BSL2とはBiosafety Level 2の略です。Biosafety Levelとは細菌やウイルスなどを取り扱う実験施設の分類を意味し、ウイルス・細菌の危険度に応じて1から4の4段階で分類され、4が最も厳しい基準となっています。

同施設のレベル2とは、一般医療・診断・検査・研究用途として、麻疹(はしか)ウイルスやインフルエンザウイルスなど、レベル2のウイルス・細菌を取り扱えるレベルの安全性を備えています。

新型コロナウイルスの感染経路の一つは、麻疹の原因である麻疹ウイルスと同じ空気感染と言われているため、研究が進むことに期待したいところです。

ジア環境BSL2試験室は、温湿度と気体状次亜塩素酸濃度が制御できる、業界初の試験室です。エアロゾル(浮遊菌)への除菌効果の測定や実環境影響の基礎評価などができるそうで、写真をご覧いただくとわかると思いますが、まるで冷蔵庫のように密閉された空間となっています。

ここには次亜塩素酸ガスを発生する装置が試験室外に備えられ、管により試験室内に導かれます。同時に菌噴霧装置=ネブライザーから試験室に菌を放出。菌回収装置=インピンジャーで菌の量を測定することで、除菌効果の実証が可能となります。

また、同じ設備が2室用意されているため、試験条件を変えた比較試験や、次亜塩素酸の有無による同時試験も可能になっています。

同じく2階には体感型デザインルームも設置されています。広さ65平方メートル、26平方メートル、20平方メートルの部屋に区切られており、気体状の次亜塩素酸をそれらの部屋へ同時に放出できる空間です。

2022年4月から販売が始まった「天井埋込形ジアイーノ」や

熱交換気ユニットがスケルトンでわかりやすく設置されていて、次亜塩素酸の効果の検証と体感ができるようになっています。

熱交換気ユニットは室内の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると、弱運転から強運転で換気されるように設定しています。例えば会議などで狭い空間にいて、眠気を感じたりあくびが出る二酸化炭素濃度は2000ppm程度と目されていて、1000ppmはかなり厳しめの換気設定です。なぜ二酸化炭素濃度を測定するかというと、室内の換気ができているかの目安にするため。ちなみに外気の二酸化炭素濃度は400ppm程度とされています。

効率だけで考えると、暑かったり寒かったりする外気を取り入れるのは冷房・暖房にとってはマイナス要素。ですが、浮遊菌など空質を考えると換気は必須なので、熱交換気ユニットを通すことで換気により捨てられる空調エネルギーを回収して、省エネを実現するそうです。

最後に3階の空間価値創造オフィスに潜入です。ここは実際に社員が勤務するオフィスで、天井にはAIカメラと次亜塩素酸の吹き出し口(ジア吹出)が各所に設置されています。

同室はAIカメラを通じて働く人の密度をモニタリング。さらに温湿度、CO2、PM2.5を常時センシング、計測して、次亜塩素酸の吹出量を制御するなど空質をコントロールしています。

【参考】IAQ検証センター|パナソニック空質空調社

数々の検証を経て、新しいジアイーノが誕生

IAQ検証センターに潜入し、次亜塩素酸の効果をどのように検証するか、その秘密を見てきました。そんな中、これまでの検証結果を反映して、パナソニックは新たにジアイーノの新製品を導入しました。

まずは、「ジアイーノ」F-MV5400をご紹介します。

次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」F-MV5400は、本体サイズを従来機と変えることなく約21畳まで対応。広めのリビングにも使えるモデルとなっています。

新製品を説明するパナソニック エコシステムズ株式会社 常務取締役/IAQ ビジネスユニット長 山内 進さん

同機は新たに「集中クリーンモード」を採用。最大6時間まで次亜塩素酸の濃度を上げる設定になっており、部屋に付着した菌やニオイを通常運転時より集中的に除菌・脱臭します。例えば外出中に集中クリーンモードに設定しておけば、帰宅時には室内の空質が整っている、そんな使い方ができるようになりました。

また、花粉やハウスダストを除去したいというユーザーのニーズに応えるため、HEPAフィルターを搭載。さらに、次亜塩素酸水溶液がトレー内の菌を抑制することで、清潔に加湿ができるようになっています。

F-MV5400は2022年10月上旬に発売を予定。オープン価格(実勢価格17万8000円前後)での販売となります。

【参考】次亜塩素酸 空間除菌脱臭機(ジアイーノ)|パナソニック

さらに、業務用として2機種のジアイーノが新登場。

「F-JDU75」44万8000円(税別)

「F-JDU55」35万7000円(税別)

両機は電解生成エリアと除菌エリアを分離。あらかじめ作られた高濃度の次亜塩素酸水溶液を除菌エリアへ注ぎ足す、新機構「ジアチャージ方式」を採用し、清潔で高濃度な次亜塩素酸の安定生成・即時補充を実現しています。

また、HEPAフィルターを搭載し、空気中の花粉・ウイルスなどの除去も可能になり、塩タブレット自動投入機能の採用で毎日の排水作業を月1回程度に大幅削減。自動運転モードと併せて、使い勝手を大幅に向上しました。

ジアイーノはどんな進化をするの?

空間除菌脱臭に優れたジアイーノですが、今回の新製品はHEPAフィルターを搭載することで空気清浄機能も充実させました。一方、パナソニックといえば人気なのが〝ナノイー〟。こちらは花粉・PM2.5などアレルゲンに効果的です。

従来、ジアイーノは空間除菌脱臭機として、ナノイーは空気清浄機などに利用されることが多かったのですが、今後は両機能を上手に使い分けながらも、より機能が充実した空間除菌脱臭機が登場するかもしれません。

また、ジアイーノはサブスクリプションやリースでの利用も可能。今後はサービス拡大を図っていくそうです。

【参考】
ジアイーノ定額利用サービス【パナソニック公式通販】
業務用 ジアイーノ リースのご案内|パナソニック

コロナ禍などにより世界中で今、空気に対する関心が高まっています。パナソニックの次亜塩素酸による除菌・脱臭の検証が進めば、さらに私たちの生活空間が整っていくかもしれません。これからの技術の進化が待たれます。

取材・文/中馬幹弘

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