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広島大学×ジョンソン・エンド・ジョンソンが口腔ケアで全身疾患を予防するセルフ口腔ケアプログラムを国内初導入

2022.09.08

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

130年近い歴史を持つ口内洗浄液「リステリン」を使ったセルフ口腔ケア

医科・歯科連携を推進している広島大学が、「リステリン」を展開するジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)と共同で、米国発の「セルフ口腔ケア」プログラムを国内で初めて導入する。このプログラムは、医科・歯科連携をさらに進めるため広島大学内に新設された「革新的病院オーラルケアプロジェクトセンター」のメインプロジェクトとなる。

昨今、口腔ケアと全身疾患の関連性が注目されているが、広島大学病院は2010年より医科・歯科連携をスタート。職員・外部医師への口腔ケアセミナーの開催や、全身疾患に関して医科から歯科に講義をしてもらうなど、医科・歯科連携を深めてきた。連携以前は医科から歯科への新患紹介は月に10名以下だったが、現在では月300名を超える。

セルフ口腔ケアの重要性について後押しとなったのが、6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込まれた「国民皆歯科健診」。年代を問わず歯科検診が受けられる制度の実現を目指すもので、早期の歯科治療で健康増進を推進し、健康寿命を延ばすことで医療費削減が期待されている。

しかし、定期的に歯科健診を受けている割合はスウェーデン90%、米国80%に対し日本はたった2%。この制度を実現するには、欧米諸国のような予防歯科に対する意識を変える必要があり、口への意識を改革していくために口腔が関わる病気や健康との関係を、科学的根拠(エビデンス)を用いて国民にわかりやすく示す事が求められる。

広島大学が得意とする医科・歯科連携に加え、細菌学、医療データ分析などを扱う基礎研究部門も連携して、口腔と全身の健康を包括的に研究する拠点「革新的病院口腔ケアプロジェクト研究センター」を設立。センター最初の大型研究プロジェクトが、オーラルヘルスに関して先進的な研究を行っているJ&Jの協力を得た「セルフ口腔ケアプログラム」で、今年7月から開始した。

このプログラムは、米国発の「セルフ口腔ケア」プログラムを日本に初めて導入したもので、本プログラムは米国において院内肺炎発症率を40~60%抑えたという結果が出ており、1人あたり5万8000ドル以上の医療費削減につながると報告されている。

日本でのプログラム内容は、広島大学病院に1週間以上入院する入院患者に対して、歯ブラシやマウスウォッシュなどのオーラルケアセットを配布し毎日の口腔ケアを促進するほか、広島大学病院の希望する全医師に向けた口腔ケアと全身疾患に関するセミナーなどを行う。

「広島大学病院提供」

患者に渡したオーラルケアセットで1日3回、歯みがきの前に30秒程度マウスウォッシュで口の中をすすぎ、歯みがきの際は歯だけでなく、舌、内ほほもブラシで触れて口の隅々までみがく。

入院中に体験した口腔ケアは退院後も自宅にて継続的に行えるように、日常で入手できる製品をJ&Jは寄贈という形でプログラムに提供している。

「広島大学では、入院中の歯科受診が医療の質向上に繋がる科学的根拠を数多く発表し、治療を医科と歯科の双方で行うことで、入院中の発熱、疾患予防の改善につながる新たな科学的根拠を発信してきました。

例えば脳卒中を発症した患者534名を解析した結果、予後不良に影響する3つの因子が出て、中でも歯周病菌であるFusobacterium が多い群は、脳卒中発症後の身体機能の自立度が悪いということが判明しました。口腔衛生の悪さは疾患の予後にも影響を与えるという、口腔管理の重要性を認識する根拠を示したものです。

入院中の口腔管理を実践していく中で、入院中の質の高い口腔管理が、退院後には継続できないというケースを多く経験しています。国民の多くは口の健康がもたらす重要性への認識が低く、歯科検診への意識も低いという背景があるのではないかと思われます。

これは患者が継続してセルフ口腔ケアを行うためのモチベーションを促す努力を、医療側が行っていなかったことも一因としてあります。

日常生活での口腔ケアを促すという意味でも、今回のような患者にJ&Jのハブラシセットとマウスウォッシュを渡すことで、日常でも継続するモチベーションになるのではないかと考えています。さらにエビデンスを構築、発信することで、口腔ケアと全身疾患の関係性を広くお知らせすることができれば、口腔ケアの習慣化につながるのではないかと期待しています」(革新的病院オーラルケアプロジェクトセンター センター長 河口浩之氏)

臨床の現場から本プロジェクトへの期待を、広島大学病院 循環器内科 中野由紀子教授はこう話す。

「私たちが専門としている循環器疾患は、狭心症などの動脈硬化疾患、心房細動などの不整脈、心不全など加齢とともに増える病気が非常に多く、高齢化が進む日本に置いて、健康の維持や医療対策を考えるうえで避けて通れない問題となっています。

原因としては食生活、運動といった生活習慣もありますが、口腔衛生の悪さも指摘されています。口腔ケアは退院してしまうと、なかなか維持できないという問題がありましたが、今回の取り組みでは、だれもが簡単にいつでも始められるもので退院後も持続可能なプロジェクトであると考えています。

広島大学が設立するセンターということで、循環器疾患だけでなく全身疾患の予防につながるのではないかと期待しており、プロジェクトの趣旨に賛同し、当科の入院患者にもプロジェクトに参加いただいています。日本が抱える医療課題の一つを解決する大きな可能性を秘めた研究と考えており、研究成果を臨床の面でも非常に楽しみにしています」

「広島大学病院提供」

【AJの読み】口の中には感染の原因となる細菌が多く、歯垢には便と同量の菌がいる!

「リステリン」は1895年に歯科医師向けに販売され、1914年には一般消費者向けにも販売を始めた世界初の口内洗浄液。130年近い歴史を持つリステリンを使った米国発の「セルフ口腔ケア」プログラムを、11年前から医科・歯科連携を進めている広島大学が共同で進めていく。

「今回の取り組みに弊社が強い想いを持っている背景に、弊社のリステリンが使用された最初の臨床研究が、1906年に肺炎の治療と予防における口腔内殺菌の役割を評価したものだったという歴史があるからです。

今プログラムのテーマであるセルフ口腔ケアによる、口腔内殺菌を通じて全身の健康に貢献するという内容は、リステリンブランドの原点でもあるのです」(ジョンソン・エンド・ジョンソン・コンシューマーヘルス・ジャパン・プレジデント 黒木昭彦氏)

J&Jは医療領域、消費者向け商品領域双方の知見を持ち、医療メーカーならではの科学的根拠に基づいた消費者向け製品を開発し、中でも口腔内殺菌に関する研究は世界で高い評価を受けている。

2018年に同社が外部エージェンシーと共同で、全世界にある口腔内菌と全身疾患の関係性が書かれている文献、エビデンスを集めて評価を行った。関係性があり得るとしてリストアップした疾患は、糖尿病といった代謝性疾患、肺炎といった呼吸器系疾患と口腔内菌との関係性が既に知られている疾患から、メンタルヘルス系、免疫系と今まで口腔内菌と関係性があることがあまり知られていなかった疾患もリストアップされている。

さらに科学的根拠と有病率の関わりを調べたものでは「高血圧症」が、科学的根拠が強く、なおかつ有病率が高いということがわかった。生活習慣病は食生活の改善や運動が有効と思われていたが、実は口腔内菌との関連性が大きなポイントになってくるということがわかってきた。

口の中には感染や誤嚥性肺炎の原因となる細菌が多く存在し、歯垢にはなんと、便と同量の菌がいるのだとか。入院患者は口内細菌が合併症の発症にも大きく関係するためセルフ口腔ケアが重要になるが、これは健康な人にとっても様々な疾患予防のため習慣化すべきもの。日々のマウスウォッシュ+歯みがきの口腔ケアを心掛けたい。

文/阿部純子

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