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発表前に新型iPhoneをプチ体験!iOS 16のパブリックベータ版を徹底検証

2022.09.04

■連載/石野純也のガチレビュー

 例年通りであれば、新しいiPhoneとともに間もなく登場すると見られる「iOS 16」。一足先に利用したい人は、簡単な手続きでインストール可能な「パブリックベータ版」を試すこともできる。対象端末に一律で配布する製品版のOSとは異なり、バグなどが残っていたり、一部のアプリが動かなくなったりするため、仕事などに取り入れている端末に入れるのは控えた方がいいが、最新OSの世界観を先取りしたい人にとって、パブリックベータ版はうってつけの仕組みと言える。

 新たに登場するiOS 16は、ロック画面を刷新して、画面を点灯させるだけで得られる情報量を増やしているのが特徴。単に便利というだけでなく、自分で撮った写真を編集することでパーソナライズもできる。ロックを解除しただけだと、壁紙の違いぐらいでしか見分けがつかなかったiPhoneだが、iOS 16では、1台1台がより個性豊かになると言えるだろう。

 端末はある程度限定されるが、機械学習を活用した機能も進化している。撮った写真から人物などを切り抜いたり、日本語をテキスト化したりと、AIの力でより複雑な作業をこなせるようになる。そんなiOS 16のパブリックベータ版も、新しいiPhoneの登場に向け、完成に近づきつつある。その世界観の一端を紹介していきたい。なお、パブリックベータ版の画面は規約上、公開できないが、ここでは取材に基づく許可を得ている。

iOS 16のパブリックベータ版をチェックした

大きく変わったロック画面、実用性向上とパーソナライズが魅力

 iOS 16でもっとも大きく変わるのは、ロック画面だ。ディスプレイを点灯させるたびに目にする画面のため、ユーザー側が気づきやすいポイント。これまでは、通知のほかには壁紙を配置できるだけで、ショートカットはカメラとフラッシュライトに固定されていたが、iOS 16ではウィジェットを配置できるようになる。ウィジェットと言ってもホーム画面に配置できるものとは異なり、円形や横長の小さなもの。Apple Watchのユーザーなら、コンプリケーションに近いと言えば理解しやすいかもしれない。

ロック画面にウィジェットを配置できるようになった。形状は、Apple Watchのコンプリケーションに近い

 ここに情報を表示できるようになったおかげで、必要最小限の情報を見るだけなら画面ロックを解除する必要すらなくなった。次の予定や株価、天気など、標準アプリも一通り、ウィジェットとして設定できる。サードパーティアプリも対応していく予定。カスタマイズすればするほど、ロック画面が便利になる。

 逆に、通知は画面下に重なる「スタック」が標準になり、通知センターは上方向へのスワイプで呼び出すことができる。現行バージョンのiOSでは、不要な通知がズラリと並んでしまうケースも多々あるが、この位置なら壁紙やウィジェットの邪魔にならない。どちらかと言えば、目に留まりやすいのはウィジェットだ。その意味では、情報の取捨選択をより主体的にしていく必要がある。カスタマイズの重要性が増しているとも言えるだろう。

通知の表示形式は「スタック」が基本になった。通知は、画面下にまとめられる

 パーソナライズも、新しいロック画面のテーマの1つだ。iOS 16では、壁紙のカスタマイズがよりしやすくなっている。写真を選択したあと、表示する個所を決め、さらにフィルターをかけてウィジェットや時計などの文字とカラーリングをなじませることが可能。先に挙げたように、通知が画面下にまとまるようになったおかげで、写真がより見やすくなっているのはうれしいポイントだ。

撮影した写真には、4種類のエフェクトをかけることが可能。「スタイルのカラー」で、色味も変更できる

 ウィジェットや壁紙を配置したロック画面は、複数パターンを作っておき、フリック1つで簡単に切り替えることが可能。仕事中は無難な壁紙、プライベートの時には趣味全開のイラストや子どもの写真といったように、シーンに合わせてロック画面を切り替えられる。通知が届くなどして、ふいに見えてしまう画面なだけに、使い分けができるのはTPOを意識するうえでも重要なことと言える。

複数のロック画面を作っておき、シーンや状況に合わせて切り替えることが可能だ

進化した集中モード、機械学習の活用も進む

 さらに、複数作成したロック画面は、「集中モード」のそれぞれのモードと連動させることが可能だ。集中モードとは、iOS 15で導入された機能で、シーンごとに特定の通知の許可・不許可や、ホーム画面のページの表示・非表示を選択できる機能のこと。モードは、時間帯や場所などをトリガーに自動で変更することができる。集中モードと組み合わせれば、壁紙をシーンに合わせて自動で変更できて便利だ。

作成したロック画面は、集中モードと連動できる。シーンに合わせて、自動でロック画面を切り替えられるというわけだ

 集中モードそのものも、iOS 16で強化されている。ロック画面との連動はその1つだが、ほかにもSafariやカレンダー、メッセージ、メールといったアプリにフィルタをかけたりすることができるようになった。これにより、仕事中にはその情報に特化したSafariのタブグループを開いたり、カレンダーで仕事の予定だけを表示したりといった使い分けが可能になる。やや中途半端な制限しかかけられなかった集中モードだが、アプリの一部が対応することで価値が高まった格好だ。

集中モードに「フィルタ」が導入された。特定のシーンでのみ表示させたいメールや予定がある時に便利

 ロック画面や集中モード以外で、もう1つの大きな進化と言えるのが、機械学習を活用した新機能。特に注目したいのが、「写真」アプリに搭載された画像の切り抜きだ。これを使うと、写真の中から抜き出したい人物や物をロングタップするだけで、簡単に背景から分離できる。写真によっては、髪の毛など、細かなすき間にわずかながら背景が残ってしまうことはあるが、自動認識の割には精度が高くて実用的だ。

人物や物を、背景から簡単に切り取ることが可能だ

 こうした切り抜きは、以前ならPhotoshopなどの専用アプリを使い、手動で範囲を細かく選択していた。最近のバージョンにはAIが導入され、クリック一発で処理できるようになっているが、手のひらに収まるiPhoneでそれと同様のことができてしまうのは驚きだ。しかも認識が非常に速く、使い勝手がいい。iPhoneの採用するAシリーズのチップセットに、機械学習の処理に特化した「Neural Engine」を搭載してきた成果と言えるだろう。

 切り抜いた写真は、ドラッグ&ドロップでほかのアプリに移すことができる。Pagesで作成しているパンフレットに貼り付けたり、Keynoteのプレゼン資料に使ったりすると、レイアウトがダイナミックになり、こなれ感を演出可能。正面から撮った人物を白や青の背景の上にドロップすれば、証明写真としても活用できそうだ。本格的な合成にはやや手間はかかるが、サードパーティのアプリなしでこれができるのはiOS 16の利点だ。

切り取った写真をドラッグしたまま「写真」アプリを終了し、別のアプリを立ち上げると、ダイレクトに写真を張りつけられる

日本語のテキスト認識表示に対応、活躍の幅が広がる

 機械学習の応用範囲を拡大したことで、もう1つ注目しておきたいのが画像の文字認識だ。機能そのものはiOS 15でも搭載されていたが、日本語に未対応だった。英文を読み取って日本語に翻訳をかけたり、電話番号を認識させて直接電話を発信したりと、日本語未対応のままでもそれなりに活躍するシーンはあったが、やはり出番は限定的。読み取りが可能になったことで、できることは広がる。

テキスト認識表示が、日本語に対応した。カメラで読み取った文字を、テキストとして扱える

 利用方法は簡単で、カメラをかざすだけ。撮った写真や、Webサイトに表示されている文字の認識にも対応する。コンピューターで作成したフォントはもちろんのこと、手書きの文字まで読み取ることが可能だ。メモ書きをカメラで認識させ、メモ帳やメールの本文に貼り付けておくったり、画像としてアップロードされている文字をコピーしてSNSで引用したりと、応用の幅は広い。

Safari上でも画像内の文字を読み取れる。表示されているスクリーンショットは画像だが、文字を選択できていることがわかる

 さすがに手書きの文字は認識精度が落ちるものの、フォントであればほぼ完ぺきに読み取ることが可能だ。読み取った文字から、ダイレクトに翻訳アプリを呼び出したり、通貨を換算したりといったクイックアクションにも対応する。また、静止画だけでなく、一時停止中の動画でも文字が認識できるようになった。テキスト認識表示の機能そのものは英語や数字などで対応していたため、オフィシャルにはあまりフィーチャーされていないが、日本のユーザーにはうれしい合アップデートと言えるだろう。

 個人的にうれしいのは、ついにキーボードが触覚フィードバックに対応したこと。Androidでは初期のころから実装されていた機能だが、iPhoneは長い間未対応だった。サウンドでのフィードバックは、サウンドを消している時に役に立たない。また、ボタンを連続してタップした時などに、確実な振動でのフィードバックがあると、より正確に文字を打つことが可能になる。フィードバックは非常に弱いが、強すぎるとかえって打ちづらくなってしまうため、これで十分。設定で、オンにしておくことをお勧めしたい。

キーボードが触覚フィードバックに対応。「設定」アプリの「サウンドと触覚」に項目が追加されている

 ほかにも、「メモ」アプリがパスコードでロックできるようになったり、マップ上の検索結果からSuicaをチャージできたりと、実に細かな部分まで使い勝手が改善されている。一部モデルで横向きのFace IDに対応したのも、地味ながらうれしいアップデートだ。新機能や改善された機能の数は非常に多く、ここですべてを紹介することはできないが、気になった人はぜひ公式ページの一覧で、何が追加されるのかを確認してみよう。正式版の登場まであとわずか。その時が、今から楽しみだ。

メモをパスコードでロックできるようになった

【石野’s ジャッジメント】
UI         ★★★★
AI対応       ★★★★★
生体認証      ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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