「佐田のホビー」製作秘話と大人のモノ遊びの極意について
YouTube「SATAbuilder’s」が人気のお笑い芸人・バッドボーイズの佐田正樹さんの趣味を集めた「佐田のホビー」(KADOKAWA発刊、定価1800円+税)が発刊されました。自動車、バイク、D.I.Y.、プラモ、ソフビ、インテリア、植物、ヴィンテージ、ファッション、アートなど、多彩な佐田さんの趣味をぎゅっと凝縮したこのスタイルブック。「大人が本気でモノで遊ぶのはこういうことだ」と教えてくれます。
まるごと一冊、モノへの情熱がぎっしり詰められていて、ページを開くたびにワクワクさせられます。一見、脈絡のないたくさんのモノなのに、佐田さんにかかると一本、筋が通った高尚な道楽に見えるから不思議です。
自分が好きで集めたモノを愛でる幸せ
仕事をしていると、自分の我儘を通すことは難しく、自由もありません。でも、モノ相手ならば、いくらでも我儘を通せるし、何を集めようと自由です。
自分の理想や思い通りのモノを、セレクトして買う。自分の思う様に、自由に色を付けてカスタマイズしてしまう。飽きたら放置して、気が向いたらまた手に取る……そんな我儘で自由な楽しみ方が、たくさん紹介されていました。
好きなモノを愛でる幸せを教えてくれる「佐田のホビー」。今回は出版に合わせて記念のイベントも開催されました。
会場には約100名のファンが集い、加えてオンラインで全国から大勢のファンが参加。「佐田のホビー」発刊までの裏話などが紹介されました。本の作成は楽しい中にもさまざまな苦労があったとか。たとえば植物を撮影し終えた後で、すぐに別の植物が増えていたり、地下の作業部屋のレイアウトが撮影後に変更になるなど、佐田さんの物欲やアクティブさにスタッフが追われていた様です。
「ソフビだけでも一冊、作りたいぐらいたくさんあって、全部は載らなかった。厳選しているが、本当にページ数が足りなかった」と「佐田のホビー」がいかに凝縮された一冊であるかを教えてくれました。
担当編集からは、佐田さんが趣味に打ち込む熱量に心を打たれ、また、それを支持しているファンの人々の熱量を強く感じたというエピソードが紹介されました。
イベントでは司会にキクチウソツカナイ。さん、ラフ・コントロールの重岡謙作さんと、武井ドンゲバビーさんが登場して会場を盛り上げてくれました。武井さんは、佐田さんのアドバイスでカスタマイズした自家用車・ドンゲバビー号が有名になって「運転していると、いろんな人に声を掛けてもらえるようになった」と嬉しそうでした。
書籍には特典として、ステッカーとペーパークラフトが付いていますが、佐田さんと編集者で何度も打ち合わせを重ねて完成したと言い、こだわり抜く姿勢が伝わってきます。
重岡謙作さんのギャグで盛り上がった後、佐田さんがファンからの質問に答えてくれました。「特に見て欲しいページは?」の問いに対し、佐田さんは「全部だけど、芸人の先輩からは歴代免許証のページが良かったと言われました。こういうのは『ものもちよしお』じゃないとダメだから、持っていて良かった」と答えています。
また、これからやりたいホビーについては、1)前にバイクのサスで間接照明を作ったが、そういう廃材を使った作品で個展も開きたい。2)ソフビが熱い。同じ趣味の先輩芸人と盛り上がっている。などと答えた後、「今はソフビと川遊びだけど、この前、川でヘビ出て来よんねん!なんやの!」と蛇嫌いも暴露してくれました。
これだけ広範囲のホビーを楽しむ佐田さんですが、「好きにならないと極められない」と言います。釣りやゴルフもやってみましたが、やはり極めるところまでは行かなかったとか。好きになる理由はいろいろありますが、ともかく自分の心の赴くまま、愛するモノに浸って遊ぶ姿勢は、徹底していました。「好き」がパワーなのです。
「真剣にモノで遊ぶ」という、忘れていたその楽しさをもう一度思い出させてくれた佐田正樹さん。大人のホビーへの想いに共感した人々は多く、着実にファンを増やしています。佐田さんのホビー愛から目が離せません。
著者紹介
佐田 正樹さん
1978年福岡県生まれ。お笑いコンビ「バッドボーイズ」のツッコミ担当。吉本興業所属。自伝的小説『デメキン』が映画化やコミカライズされるなどロングヒット。YouTubeチャンネル「SATAbuilder’s」で趣味やD.I.Y.を楽しむ動画が人気を博し、そのホビースタイルやライフスタイルにも注目が集まっている。
YouTube:SATAbuilder’s
Twitter:@kisamakono
Instagram:@satakisama
書籍撮影:渡辺昌彦
会場撮影:DAN NOGUCHI
取材・文/柿川鮎子
編集/inox.