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ただ今、2022年産のワインを醸造中!東京下町にあるわずか10坪の都市型ワイナリー「ブックロード」を知ってるか?

2022.09.03

文化が香る上野の山、活気に満ちたアメ横……。ディープな魅力にあふれた上野~御徒町エリアにワイナリーがあることをご存知だろうか。2017年のオープンから実績を着実に積み上げ、まさに知る人ぞ知る存在となっている都市型ワイナリー「BookRoad~葡蔵人」の今をリポートする。

オープンから6年。アクセスがよい東京下町の路地裏に佇むワイナリー

 最寄駅はJRの御徒町駅か地下鉄日比谷線の仲御徒町駅。上野やアメ横の喧騒とは逆方向に少しだけ歩き、人通りの少ない路地裏に入ると、ワイナリー「BookRoad~葡蔵人」(以下、ブックロード)はある。ワイナリーといえば、たくさんの樽や巨大なステンレスのタンクが並ぶ広い蔵や工場をイメージするが、ここはわずか敷地10坪。原料となる国産ぶどうから果汁を出すための工程に始まり、醸し、圧搾、発酵、熟成、そして瓶詰めまで、ワイン醸造のフローの全てが、3階建ての小さなビルの1階と2階で行われている。

店舗も兼ねる1階の醸造スペースには、仕込みに使う巨大な発酵桶やステンレスタンクが並ぶ。

「ここでよくやってるね、って皆さんから言われます」と、醸造責任者の須合美智子さん。肩書きに“責任者”とあるが、実は工程の全てを彼女ひとりでこなしているというのだから驚き。それでも、折ごとに、別の部署のスタッフが手伝ってくれるというところは、下町の小さなファクトリーのような雰囲気があって温かい。

ワイン醸造の作業は、新鮮なぶどうの房から、実だけを取り出す除梗(じょこう)という工程から始まる。

瓶詰めも須合さんの手で、1本1本ていねいに行われる。

「飲食事業を展開している勤務先の会社がワインの醸造部門を立ち上げるというので立候補しました」。当時、須合さんは飲食店のスタッフではあったものの、ソムリエの資格を持つわけでも、ワイン醸造の知識もほとんどなかった。ただ、やりたい!という思いだけで手を挙げたという。

「2016年の8月から9ケ月間、醸造を学ぶために山梨のワイナリーに車で通うことになったのですが、久しくハンドルを握っていなかったので、まずは車の運転の練習から始めました」と笑う。そんなゼロからのスタートだったが、オープン1年目の2017年はフルボトル1万本相当のワインを製造。6年目となる今年は、昨年に続き2万本相当の生産を見込んでいるという。

 順調なのは生産量だけではない。昨年、今年と2年連続で、優れた品質のワインを生み出すワイナリーを表彰する日本唯一の賞「日本ワイナリーアワード」の三つ星を獲得。ワイン通からの注目も集まっている。うれしいことに、須合さんの願いのひとつも実現した。「百貨店のワイン売り場にブックロードのワインが並ぶことが夢で、銀座の百貨店の売り込みにトライしたことがあるのですが、一筋縄では行かず諦めかけていました。ところが、2年ほど前に伊勢丹新宿店のワイン担当バイヤーから声がかかり催事に出店する機会を得ることができました」。今では、伊勢丹新宿店、大丸東京駅店、銀座松屋のワイン売り場で取り扱われている。

ブックロードの醸造責任者、須合美智子さん。現在、日本で活躍中の女性醸造家のひとりとしても注目を集める。

目の前でスパークリングを瓶詰めに! などなど、さまざまなワインの愉しみ方を提案する

 現在、“Made in Tokyo”を謳う東京23区内のワイナリーは全部で6軒。それぞれが個性的なスタイルを持ち、切磋琢磨することで、都市型ワイナリー自体の話題性も高まっている。そんな中で、ブックロードは“下町のワイナリー”というイメージが強い。「仕事が日比谷で終わったので寄ってみました、というお客さまがいたりするのがとても嬉しい」という須合さん。ちなみに、「ブックロード=葡蔵人」の名前の由来は、「葡萄」と「蔵」と「人」が目に見えない道で繋がり、ともに繁栄するという願いを込めて付けたものだという。

 リピーターの呼び水として効果を上げているのがインパクトのあるラベルのデザイン。相性のいい料理や食材をイラストにしたものは、「名前は忘れたけど、イカの絵のあるあのワインがまた飲みたい」というような人が増えれば、という発想から生まれている。また、ラベルのデザインを募集するという試みも好評で、顧客との距離が縮まるのを実感しているという。 

ブックロードのワインは初めて、という人のために須合さんが選んでくれたお薦めワイン。
左/ソーヴィニヨンブランスパークリング レモングラスのような爽やかな印象が後味にあり、季節の野菜との相性がとてもいいスパークリングワイン。●長野県安曇野市産ソーヴィニヨンブラン100%。 ¥3,190 
中/醸し甲州 和食と一緒に楽しみたい、毎年人気の夏季限定ワイン。飲み始めは冷やして頂くのがオススメ、と須合さん。9月30日までクール便での発送。●山梨県勝沼町産甲州100%。¥3,190 
右/プチシラー みかんのような甘い香りが特徴の赤ワイン。ラベルは、一般募集したデザインを来店したお客様に投票してもらい決まったデザイン。●山梨県勝沼町プチベルドー、シラー。 ¥3,520

 新たな販売方式も話題になっている。ひとつは、ぶどうの収穫から醸造、瓶詰めまで、自分だけのワインを造ることができるタンク・オーナーシップによる『カスタムワイン』の展開。さらに、この夏から、スパークリング・ワインを目の前で専用のオリジナル・ボトルに詰めて販売する『タップ限定スパークリング』もスタートさせた。

「スパークリング・ワインは封を切ったその日に飲み切らないと、というイメージがあります。でも、フルボトル1本は飲み切れないという方のために 500mlともう少し小さめな360mlボトルも用意してありま」。瓶詰めしたばかりの、とびきり新鮮なスパークリング・ワインを自宅に持ち帰り楽しんでもらいたい、と須合さんは言う。

目の前でオリジナルボトルに瓶詰めしてくれるタップ限定スパークリングワイン。一般購入(ボトル預り金制)と月会員制度がある。詳細は→ https://www.bookroad.tokyo/blog/2022/07/10/134834

 オープンから6年、さまざまな試みを提案し続けてきたブックロード。その10坪のワイナリーでは、2022年産のワインの10月のお披露目に向けて、醸造責任者・須合さんの気の抜けない作業が日夜続けられている。新酒登場のニュースがブックロードのホームページに載るのを楽しみに待ちたい。

■関連情報
BookRoad~葡蔵人 https://www.bookroad.tokyo

取材・文/堀けいこ

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