サウナ好きに愛されるホテルチェーン「ドーミーイン」。広々とした大浴場とサウナが出張などの疲れを癒してくれる。サウナ自慢のホテルが続々オープンする中でも根強い人気を誇るドーミーインの魅力とは?
ドーミーイン池袋
【住】東京都豊島区東池袋3-11-11 【電】03・5956・5489『天然温泉 豊穣の湯』利用時間15:00~翌朝10:00(サウナのみ1:00~5:00利用停止)。泉質/ナトリウム・炭酸水素塩泉チェックイン/チェックアウト15:00 /11:00 。
共立メンテナンス
ドーミーイン事業本部 東日本事業部 部長
水野貴史さん
ドーミーインチェーンを運営する共立メンテナンスに入社して10年。「私自身がサウナにハマったのは3年くらい前でして、それまでの7年間は本当にもったいないドーミーイン生活をしていました」と自嘲するが、現在のサウナ熱はとにかく熱い!
業界の常識を打ち破った大浴場とサウナ
ドーミーインの歴史は1993年。埼玉県の草加市に、現在は閉館した「ドーミーイン谷塚」をオープンしたことに始まる。
「当時、ビジネスホテルに大浴場を、ましてやサウナを作るということは、業界としてあり得ない話だったそうです」(以下・水野さん)
大浴場を作るスペースがあるなら、部屋数を増やし利益を上げる。それが常識で、この1号店には、サウナはもちろん、大浴場も併設されることはなかった。ドーミーインの歴史はサウナなしから始まっていた。
「ただその頃、銭湯ブームもあり、銭湯のような浴場・サウナ・水風呂をホテルに作りたいという思いは、社内にはあったそうで、早くも2号店の『ドーミーイン蘇我』(現・ドーミーイン千葉City Soga)で実現することになります」
その浴場にはサウナと水風呂が完備された。
「ただ、コンパクトな浴場で、当社HPを見ていただければわかるんですが、ほかのドーミーインが〝大浴場〟を名乗っているのに、蘇我は〝浴場〟としか明記してないんです」
しかし、この小さな浴場の誕生は、アポロ11号のアームストロング船長の「これはひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」という名言を彷彿とさせるモノがある。小さな浴場だが、ビジネスホテルにとっては偉大な飛躍だったのではないか。
事実、この浴場は利用客から好評を得る。その後ドーミーインはほぼすべてのホテルにサウナ、水風呂を備えた〝大〟浴場を併設。現在その数は国内88、海外1施設にも及ぶ。
【理由1】飽くなき工夫と改善
国内に80以上ものサウナと水風呂を併設した浴場を擁するドーミーインと「御宿 野乃」チェーン。
そのサウナ室の温度、水風呂の温度、内風呂の温度、露天風呂の温度、シャワーの水圧などの設定には統一されたチェーンルールが存在しているという。
さらにそのルールは、季節によって変化もする。
「チェーンルールの温度は、全て0.5℃刻みで細かく設定されてます」
何と0.5℃刻み!!
「ただし。地域ごとにお客様の層も違いますので、その地域に合わせたセッティングや特色も出せるようにしております。もちろん会議を経ての採用ということになりますが」
さらにサウナの設備自体も時代に合わせて進化を遂げている。
2017年オープンの「ドーミーインEXPRESS仙台シーサイド」ではオートロウリュを初めて導入。
2022年春にオープンしたばかりの「ドーミーインEXPRESS富士山御殿場」と「御宿 野乃 松本」「御宿 野乃 松江」ではセルフロウリュまでも可能だ。
2021年3月にオープンした「ドーミーイン池袋」は、今までのドーミーインのチェーンとしての蓄積はもちろん、無料ポカリやととのい椅にオットマン、よく冷えた水風呂と、池袋というサウナ激戦区でも見劣りしない特色を打ち出している。日々、工夫と改善と続ける水野氏もオススメの施設である。
『ドーミーイン池袋』ならではの特色として、浴室内にポカリスエットのウオータージャグを設置。風呂上がりにはアイスや、乳酸菌飲料が無料でいただける。
水風呂も温浴槽もサウナ室も、その温度は、0.5℃単位で細かく設定されている。浴室はもちろん、ホテル全館、コロナウイルス感染拡大防止対策も周到に施されている。
『ドーミーイン池袋』の露天風呂。ゆったりと外気浴ができるよう、ととのい椅子やオットマンも完備!
※写真は取材時のもので、備品などは現在と異なっています。
【理由2】あふれるサウナ愛
全国に88施設もあるドーミーイン、そして御宿 野乃の大浴場の中には、その地方の特色を出すために、12〜13℃の強冷水の水風呂があったり、最新のセルフロウリュ可能なサウナ室があったり、様々な工夫を凝らしている。
さらにそんなホテルごとの浴場の特徴が一目でわかる「ドーミーイン巡り ご当地お湯自慢」というサイトまで用意しているのだ。
そこには、男女浴室ごとの内湯の数、露天風呂の数、そしてサウナの種類(何とテレビがあるかないか?の情報も)。水風呂にチラーはあるのか? ないのか? さらに休憩用のイスの数といった基本情報だけにとどまらず、その浴場ならではのセールスポイントまでが詳細にわかるようになっている。
おかげで、例えば、東京など複数の施設があるエリアでは、自分好みのサウナはどの街のどのドーミーイン? なんていうチェーン内でのサウナ主導のホテル選びもできるのだ。
サウナ愛のある社員なしでは作れないこのサイト。予約する前にぜひチェックしてみよう。
ドーミーインホームページのトップページの中段。温泉マークの描かれたバナーが、「ご当地お湯自慢」への入り口。このサイトを見るだけで、全国のドーミーインを巡った気分になれる。
露天、内風呂の数はともかく、休憩できるイスの数までわかるとは……サウナ好きでなければ絶対に作れないサイトだ。