食堂に集まる常連の姿もいい。背中に「大垣サウナ」のロゴのついたジャージーを着て、思い思いに過ごす様子は、ローカルコミュニティの理想の姿だ。お爺さん、おじさんたちの楽しそうな姿はまさに男の楽園!!
極めつけは帰りに大垣サウナの生みの親・岡田昌子ママと雑談になり、駅から歩いてきたと話したら、「送っていきましょう」と見ず知らずの僕をクルマで駅まで送ってくれたことだ。これまでにたくさんの施設を回ったが、オーナー自ら送迎してくれる施設は聞いたことがない。そんなママの人柄はサウナよりも温かく感じられた。
それ以来、大垣サウナの感動をいろんな人に話すほどファンになってしまった。今回1年近くたって、改めて伺い、やっぱり大垣サウナが紛れもない1番だったと思い知らされた。例えば僕が心を動かされたのはこんなところだ。
◎サウナ室内の絨毯
前回行った際も驚いたが、サウナ室内に絨毯が敷かれている。これは関西で「ニュージャパン」がサウナ室を豪華に見せるために赤い絨毯を敷いたことから端を発した関西風サウナの名残だが、110℃を超える高温なサウナ室内の空気を柔らかくする一助となっている。ママと話していると「板が熱くてツラいだろうと、絨毯を敷いたんですよ」とのこと。ここにも気遣いが。絨毯職人が営業終了後、夜通しで張り替えるサウナ遺産だ。
◎狛犬スタイル外気浴
常連の外気浴スタイルが、館内着に着替えて外に出るやり方だ。店先の駐車場を心地いい風が抜ける。カメラマンさんが「Kotiharjun Sauna(コティハルユ サウナ)みたいですね」と言ったが、まさに! フィンランドにあるコティハルユは、玄関前に大勢のバスタオル姿の男女が外気浴する姿が有名な景色だが、大垣サウナも同じなのだ。
外気浴して「ああ、何てすごい施設だ」と痛感していると、上半身裸のまま若い子が外に出ようとしていた。ママがすぐに「あら、裸なんて恥ずかしいでしょう。上に何か羽織りなさい」と声をかけた。仮に僕が施設側なら「服を着てください!」とそのまま注意して相手に嫌われてしまうだろうが、ママはお客に対して自分の子供のようにやさしく諭し、言葉を選ぶ。そんなところが居心地のよさにつながっているのだろう。
大垣サウナがすごいところは無数にあるが、帰ってきて自分の写った写真を見るとどれも見たことがないくらいの笑顔だということに尽きる。
たくさん笑って、ととのえる。こんな施設は日本でも珍しい。
食堂の名物は生姜焼き定食(1400円)だ。分厚いお肉と一緒にてんこ盛りのご飯を頬張りたい。
休憩室にはソファがズラッと並ぶ。以前、シアタールームだった時期もあるそうだ。
ポップな看板がサウナへと誘う
館内のロッカーとカウンター内の下駄箱には「4」と「9」の数字がない。「少しでも嫌な気分になったら申し訳ないですから」と、こんな細部にも気遣いが!
美しく並んだロッカー上のタオルは従業員が手作業でたたみ、並べられていく。高級ホテルにも負けないほど、清掃が行き届いている証しだ。
水の都の天然水はキンキンに冷たく、やさしく身体に染み込んでくる
日が暮れればノスタルジックなネオンが照らす
大垣サウナ
2022年で56周年を迎える老舗サウナ。常連はもちろん全国のサウナーたちからも愛され続けている。
【住】岐阜県大垣市三塚町1222 【電】0584・78・4000 【営】AM11:00~PM24:00、土曜日はオールナイト営業(翌AM9:00まで)、日曜日は朝風呂あり(AM6:00~9:00) 【休】無休 【料】入泉料1700円(夜9時以降は1100円)、回数券(8枚)1万1500円、オールナイト料800円、朝風呂1100円
たくさん笑って、ととのえる名物サウナ「大垣サウナ」の生みの親に聞く創業秘話
1966年の7月に夫(先代社長・故岡田正国さん)が大垣サウナを開業。翌年2月に結婚し夫婦二人三脚で切り盛りする。2012年、正国さんががんにて逝去後に社長となる。
夫婦で営んできた奇跡のサウナを守り続ける
最近は若いお客さんが遠方から来ることも増えました。サウナへ来るお客さんが、まさか新幹線に乗って訪れるなんて思いもよらなかったもんで、びっくりしています。新幹線代やタクシー代のほうがサウナ代より高いもんね。それで、お客さんをクルマで送ることもあります。東京まで送らんで、せめて大垣駅まで送ろうかなと(笑)。主人の正国が死んで10年たったと思えないですね。生きていたら、現在のサウナブームをよろこんだでしょう。
主人はよそのサウナに、あまり行きませんでしたが、「大垣サウナ」を始める時にいろいろとサウナを見に行きました。名古屋の駅前に「ニューグランド(※1)」というサウナがあって見に行ったり、東京駅にあった「東京温泉(※2)」に行ってみたり、大阪の「ニュージャパン」を見て、その規模の大きさにビックリしたり。
名古屋の産業会館で開催されていた展示会でサウナをたまたま見て、働いていた名鉄を辞め、サウナを開業したんです。日本人はお風呂が好きだから、絶対サウナが流行ると思ったんでしょうね。
昭和41年(1966年)7月に主人は「大垣サウナ」を作るんですね。その年の秋にお見合いをして、翌年の2月に私と結婚したんですよ。おそらく主人は手伝ってくれるパートナーが欲しかったんでしょうね(笑)。私も私で、お嫁に行くつもりはなかったんです。でも「どうしても」と言うので、根負けしたのもあるし、サウナという商売もおもしろそうだなと。だから旦那と結婚したのか、サウナと結婚したのか、わからんですね(笑)。
一番最初のお店は木造平屋建て。サウナ室と水風呂とシャワーがあっただけで、お湯のお風呂もなかった。お客さんもサウナの入り方を誰もご存じないし、ひとつひとつ説明して、入ってもらっていました。
現在の施設は昭和53年(1978年)に建てられました。当時、サウナは大変にぎわって、あれよあれよと大垣だけで8施設もありました。でも残ったのは結局うちだけですね。
常連さんも毎日来てるような人が多いです。自分の家と思っているかもしれません。我々もお客さんを親戚のように思っています。この前、コロナになって創業以来初めて1か月休んだのですが、勝手にサウナの電源を入れようとする常連さんがいたりしました(笑)。
主人が几帳面な人で、机の裏まできれいに拭きあげる人だったんですよ。タオルもきちんとたたむ。私たちはそれを「正国イズム」と呼んで、主人が守ってきた大垣サウナを続けていきたいですね。
1978年の写真でも、ロッカー上のタオルスタイルは変わっていない。当時の社長・故正国さんの几帳面さが伝わってくる。
故正国さん(左)と昌子さん(右)。当時はふたりで旅行に行くことも少なくなかったそう。
今のお食事処は、以前スナックルームだった。常連でにぎわっている様子は今も昔も変わらない。
※1:ニューグランド名古屋駅前店:1963年に名古屋に初めてできたサウナ施設。現在は閉業。 ※2:東京温泉:1951年から1993年まで運営されていた日本初のサウナ施設。
取材・文/草彅洋平 撮影/小倉雄一郎
ドラえもんの激レアサウナグッズも登場!初心者にもガチ勢にもおすすめのサウナーバイブル「Saunner2022」発売中
2014年3月に日本初のサウナ専門誌として誕生した伝説のバイブル『Saunner』。最新刊『Saunner 2022』が好評発売中です。今回は前回以上に編集部による偏愛たっぷりの特集企画が満載! その注目企画をピックアップした。
定価1320円(税込)
発売日2022.06.30
判型/頁B5判/128頁
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104258
【注目ポイント1】
サウナをもっと好きになる!大特集は「サウナー深化論」
「ととのう」だけでは満足できなくなったサウナーたちへ、サウナをもっと深く楽しむためのヒントや新しい視点を施設や識者たちへの取材をもとにまとめました! サウナって、まだまだ奥が深いんです。
どこかで見たような施設紹介でなく、サウナの楽しみ方や固定観念を変える新しい視点にこだわって取材しました!
事務所社長、元付き人に聞く、往年の名俳優・梅宮辰夫さんのサウナ道では自身のものまねをするロバート秋山さんに遺したサウナーならではの言葉に着目。また、サウナ好きなら前から何となく気づいていたであろう、ビーナス像のあるサウナにハズレがない理由を追究したほか、サウナでゆで卵はできるのかを本気で検証した企画も。サウナ店主たちに聞く座談会では、ブームの舞台裏、原油高などの忍び寄る危機、サウナの未来、粋なサウナーになるためのヒントなどを伺いました!
[Phase1]まだ見ぬ世界へ!常識を変えるネクストサウナ
[Phase2]還ってきたくなる老舗サウナの秘密
[Phase3]サウナーの夢!自宅サウナの作り方
【注目ポイント2】
サウナ歴38年のアニキから人気声優、レジェンドまで
サウナーたちからのアツいメッセージに刮目せよ!
名物企画「Saunner Interview」ではそれぞれの視点からサウナについて惜しみなく語って頂きました。〝ととのう〟とはまた違った視点のサウナの楽しみ方から生き方まで深~いお話が満載です!
俳優 高橋克典さん
「サウナ歴38年!高橋さんが語るサウナの後輩たちへのメッセージ」
声優 石川界人さん
「人気声優が語るいい仕事をするためのサウナ活用法」
漫画家 髙橋ツトムさん
「東京ドームサウナの石けんは立っていた」
楽天地スパ 背中流し歴32年 若杉とし子さん
「気持ちよくなるためには、努力が必要」
「IZBA」オーナー アルビナ・マキナさん
「火災で施設がなくなっても、私さえいればもう一度新しいIZBAを作れると信じていました」
【注目ポイント3】
サウナに行ったらドラえもん!?ドラえもんとのスペシャルコラボ企画!
サウナとドラえもん、一見すると関連性がないように思える両者がついに邂逅! スペシャルコラボが実現しました!
1. サウナーの心に響く名言も!
実はサウナにはまんが『ドラえもん』がよく合う!? その理由をドラえもんの大ファンであるサウナーのおふたりに直撃!
2. 書店キャンペーン 実施中!
購入者にオリジナル「ドラえもん缶バッヂ」をプレゼント
※1冊購入につき1つもらえます。
※数に限りがございます。なくなり次第終了となりますので、ご了承ください。
※商品入荷スケジュールは店舗によって異なります。
※配布方法は購入前に書店店頭でご確認ください。
※お渡しはランダムとなります。絵柄は選べませんので、ご注意ください。
3. ココでしか買えないアイテムも! 激レア「ドラえもんサウナグッズ」誌上通販
ドラえもんサウナグッズをご紹介!DIMEオリジナルアイテムも! 大人気につき、品切れ御免!
キャンプ、防災、ジム、サウナ、エコバッグ、DIME最新号の付録「ドラえもん DRY BAG」の超便利な使い方
「ドラえもんDRY BAG」はIPX6相当の防水性能を誇り、大事な荷物が雨や水しぶきで濡れるのを防いでくれる優れもの。密封性が高いので、湿ったり汚れたりした衣類などを入れても安心だ。キャンプやサウナといった今どきの趣味に重宝するほか、水の備蓄や停電時のランタンとしても使えるなど、ドラえもんの”ひみつ道具”みたいに便利! 以下の使い方を参考に、様々なシーンで活用してほしい。
たっぷり入る10ℓの大容量!明かりに照らされて光るドラえもんの反射プリント
ヴィヒタを手に持ったドラえもんのオリジナルデザイン!
白樺の枝葉を束ねて体を叩いたりサウナ室に吊るしたりする〝ヴィヒタ〟を持ったドラえもんは『ドラえもん』サウナウエアシリーズを展開するブランド「TETERA(テテラ)」のオリジナルデザイン。反射プリントにより、夜道ではリフレクターとして機能する。
IPX6相当の防水性能!中身が漏れない!!中身が濡れない!!
口をしっかり閉じられる!
中身を入れた後、真っすぐに揃えた開口部を3回以上しっかりと折りたたむ。あとは、開口部の両端にあるバックルを閉めればOKだ。バックルを閉めた部分をグリップにして持ち歩けるほか、付属のストラップを取り付けてショルダーバッグとしても使える。
おすすめ①[キャンプ]
飲み物の冷却や水辺の散策にピッタリ!
氷水を張ればクーラーボックスに早変わり。飲み物をキンキンに冷やせる。10ℓまでの重さに耐えられるので、グリップ部分を木などに引っ掛けておけるのも便利だ。散策時に活用すれば荷物が濡れるのを気にせずに水辺を歩けるほか、汚れたテントのフライシートを撤収時にドサッと入れるのもいいだろう。
おすすめ②[サウナ]
湿ったタオルや衣類などをひとまとめに!
大容量の10ℓタイプなので、厚手のサウナローブやボディーソープなどをまとめて収納可能だ。入浴後の体を拭いたタオルや、サウナの発汗でビショビショになったハットを、気兼ねなく入れられるのも防水仕様ならでは。洗濯物を干す時にも便利で、洗濯後の湿った衣類をドサッと入れてベランダや庭に持ち運べる。
おすすめ③[防災]
スマホのライトでランタンに!水もためられる
水を張った本品の上に、点灯したライトを下に向けたスマホを置くと、光が周囲に拡散。停電時にはランタンとしても役立つ。最大10ℓの水をためられるので、災害などに伴う断水時の備えとして本品を保管しておくのもいいだろう。開口部を外側に折り返せばバケツとしても活用できるなど、使い道は実に幅広い。
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