つみたてNISAで買う銘柄を悩んでいるなら、S&P500をチェックするのがおすすめです。概要やメリットを理解しておけば、スムーズに投資を始められるでしょう。S&P500に関する投資を始める前に知っておきたいポイントについて解説します。
S&P500とは
米国株式市場の動向を把握する上で重要な指標がS&P500です。まずは基本的な情報と構成銘柄について解説します。
米国株式市場の株価指数の一つ
S&P500は、米国株式市場における株価指数の一つです。米国の上場企業から代表的な500社をピックアップし、それぞれの時価総額を元に株価を指数化しています。
S&P500における全銘柄の時価総額の合計は、市場全体の時価総額の約80%です。米国の市場動向を分析する上で重要な指標であり、S&P500の動きを見れば市場全体の動きをおおむね把握できます。
米国の有名な株価指数にはほかに、ダウ平均株価があります。日本の代表的な株価指数は、日経平均株価やTOPIXです。
S&P500の構成銘柄
S&P500の銘柄として採用されるためには、厳しい条件をクリアしなければなりません。2022年8月時点での主な条件には、以下のようなものがあります。
- 米国企業である
- 合計時価総額が53億ドル以上
- 直近の4四半期連続で利益の合計が黒字
- 浮動株が発行済株式総数の50%以上
組入上位10銘柄も以下の表で確認しましょう。名だたる大企業が名を連ねていることが分かります。
順位 | 銘柄 | セクター |
1 | アップル | 情報技術 |
2 | マイクロソフト | 情報技術 |
3 | アマゾン・ドット・コム | 一般消費財 |
4 | テスラ | 一般消費財 |
5 | アルファベット クラスA | コミュニケーション・サービス |
6 | アルファベット クラスC | コミュニケーション・サービス |
7 | バークシャー・ハサウェイ クラスB | 金融 |
8 | ユナイテッドヘルス・グループ | ヘルスケア |
9 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | ヘルスケア |
10 | エヌビディア | 情報技術 |
※2022年7月29日現在
参考:S&P 500 _ S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
S&P500に投資するメリット
S&P500はあくまでも株価指数に過ぎないため、投資するためには指数に連動する投資信託を購入する必要があります。S&P500に連動する投資信託で資産運用するメリットを確認しましょう。
投資初心者でも気軽に資産運用が可能
初心者が個人で金融取引を行う場合、基本的には時間と知識が必要です。投資の経験がない人にとって、株式やFXといった投資にいきなり取り組むのは、少々ハードルが高いでしょう。
しかし投資信託ならば、投資のプロが代わりに運用してくれるため、投資判断や取引を自分で行う必要がありません。初心者でも気軽に資産運用を行えます。
S&P500に連動した投資信託ならば、米国経済の力強い成長を味方にできる点もメリットです。幾多の金融危機も乗り越え成長を続けているため、長期運用を意識すれば手堅い利益を見込めるでしょう。
運用コストが低い
投資信託では、資金の運用を委託するための『信託報酬』という手数料が発生します。株価指数に連動する設計の投資信託は『インデックスファンド』と呼ばれ、一般的な投資信託によく見られる、独自の方針に従い指数を上回るリターンを目指す『アクティブファンド』よりも手数料が安い点がメリットです。
例えば三菱UFJ国際投信が運用する『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』という投資信託は、2022年8月時点で信託報酬の年率は0.0968%です。アクティブファンドの手数料率は2%を超えるケースも多いため、大幅にコストを抑えられることが分かるでしょう。
株価指数と連動した投資信託の手数料が安い理由は、指数と連動するように機械的な運用が行われるためです。細かい調査や分析を必要とするアクティブファンドに比べ、手間や時間がかからないスタイルになっています。
参考:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) _ eMAXIS
分散投資ができる
投資信託は複数の投資先を一つにまとめた金融商品です。一定のテーマで選んだ複数の投資対象に対し、投資のプロが資金配分を考えながら分散投資を行って運用します。
投資におけるさまざまなリスクを軽減できるのが、分散投資のメリットです。一つの銘柄で大きな損失が発生しても、他の銘柄の利益でカバーできるため、全体の損失を最小限に抑えられます。
S&P500と連動した投資信託への投資は、500もの企業に分散投資している状態ともいえます。仮に一つの企業が倒産したとしても、S&P500の長期的な値動きに与える影響は大きくないでしょう。
S&P500に投資する方法
S&P500の動きを利用して投資する方法を紹介します。連動する投資信託やETFを購入するのが一般的です。
S&P500と連動する「投資信託」「ETF」を購入
S&P500に投資したい場合は、S&P500に連動する投資信託やETFを購入しましょう。ETFとは、株式投資と同様にリアルタイムの売買が可能な、上場している投資信託のことです。
例えばS&P500と連動した投資信託には、以下のようなものがあります。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)
- iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
これらの商品は多くの証券会社を通して購入可能なので、確認しましょう。
参考:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) _ eMAXIS
参考:ファンド詳細│投資信託│SBIアセットマネジメント
参考:iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
つみたてNISAで投資を行う際の注意点
つみたてNISAではS&P500関連商品以外にも、さまざまな金融商品への投資が可能です。S&P500以外にも投資すべきかどうか、考え方について解説します。
S&P500一つで問題ないか?
投資を行う際はリスクを考慮し、資金を分散するのが基本です。投資信託自体が分散投資の形になっていても、S&P500にのみ資金を投入する場合、資金の投資先は一つになります。
S&P500と連動する投資信託はメリットが大きいとはいえ、全くリスクがないわけではありません。投資に回せる資金の全額を投入してしまうと、損失が発生した場合にカバーできなくなります。
ある程度のリスクを許容できるなら一つに絞っても問題ありませんが、リスクを許容できない場合は他の商品にも分散する必要があるでしょう。
構成/編集部