エッジの効いた山野楽器の企画「ご当地ギター」
銀座の一等地に本店を構える「山野楽器」。130年の歴史を誇る楽器店だけに音楽好きでなくても一度は聞いたことがあるはず。古くから日本の音楽文化を支え、楽器の魅力を全国に広めてきた偉大な企業だ。
そんな山野楽器が最近「ちょっとヘン」だという噂が飛び込んできた。イイ意味で“マジメにふざけている”らしい。一体どういうことなのか?調べてみるとこんな画像が出てきた。
どうした?山野楽器。
まるで大御所俳優が近所の定食屋にフラっと現れたかのような衝撃。神聖なギターをたこ焼き器と組み合わせたり、ギターのボディを餃子にしたりとやりたい放題。一体これはどういうことなのか?老舗とは思えないエッジの効いた企画秘話について、山野楽器 広報担当の久保さんに話を聞いた。
ーー変わったギターが色々あるようですが、ど、どうされたんでしょうか?
「ご興味頂けたようでありがとうございます!これらは弊社が取り組んでいる『ご当地ギター』というものです。これまで2017年に発表した第一弾の『餃子ギター』を皮切りに、2019年には『笹かまギター』、そして今年8月に『たこ焼きギター』を発表しました」
第一弾 餃子ギター
第二弾 笹かまギター
第三弾 たこ焼きギター
ーーなぜこんなギターを?
「社長山野の『唯一無二、オンリーワンのもの、喜んでもらえるもの、笑っていただけるものが売場にあったらお客さまに楽しんでいただけるんじゃないか?』という発想がきっかけでした。そこから、ボディが木製で形が比較的自由度の高いギターで地域の名物などを形にしてみたらどうだろうということで開発が始まりました」
ブランドにあぐらをかかず挑戦する姿、ステキです。「敷居の高い楽器店のイメージを少しでも和らげて気軽にお店に足を運んでいただきたい」とも語ってくれた久保さん。ひとりでも多くの人に音楽の喜び、楽しさを感じてもらいたいという山野楽器の理念がひしひしと伝わってくる。
そんな老舗の熱い想いが今、ご当地ギターに注がれている。では、130年の歴史と技術とスピリッツで彩られたご当地ギターを詳しく紹介しよう!
【餃子ギター】
https://www.facebook.com/yamanomusic/posts/1426994504039252
こだわりポイント
「リアルな裏面の焼き加減は実際に同じサイズの餃子の皮を焼き、画像で取り込み転写しました。また、トラスロッドも栃木県をかたどったオリジナルのデザインを採用!宇都宮市の箇所が白抜きされています」
【笹かまギター】
こだわりポイント
「笹かまぼこの名づけ親である『阿部蒲鉾店』様にご協力を頂き、由緒正しい笹かまのふっくらとした質感とこんがりとした焼き目と香ばしさを表現しました。上質なアルダーボディにメイプルネックというエレキギター王道の組み合わせも採用しています」
【たこ焼きギター】
こだわりポイント
「岩谷産業様のカセットガスたこ焼器『炎たこⅡ』をまるっと使用したボディです。ボディとペグのたこ焼きはリアルさを追求して食品サンプル会社にて製作。ネックからヘッドのデザインは『たこの足』になっています。つまみを回すとLEDが点いて炎の揺らぎを再現できますし、本格的エレキギターとして使用可能ですが、このギターではたこ焼きは焼けません!」
どれも世界初!(おそらく)史上空前のレアギターをここまで見せられると欲しくなったり弾いてみたくなったりするが、それは可能なのだろうか?
「餃子ギター、笹かまギターは値段をつけていたため、欲しいという方がいて既に売約済みです。正直に申し上げれば、売れると思っていませんでしたが…」
「そのため今回のたこ焼きギターは『非売品』として岩谷産業様と弊社で保有して大阪を盛り上げる楽しいギターとしてお楽しみいただきたいと考えています」
たこ焼きギターを生で拝見したい方は現在、以下の2ヶ所で展示しているそうなので是非!
◆岩谷産業 Iwatani Outdoor Shop BASE(http://www.i-cg.jp/base/)
◆山野楽器 ロックイン難波(https://www.yamano-music.co.jp/shops/rockinn-namba/)
改めて云うが、たこ焼きは焼けない!
個人的な感想になるが、老舗がぶっ飛んだ企画をやっていると、なんか嬉しい。頂点を極めたのならムダな挑戦などしなくていいはずなのに、山野楽器は怖いもの知らずの気概で新世界に突入しようとしている。
これからも世間を驚愕させるようなご当地ギターは登場するのか?この勢いなら47都道府県制覇を目指しているのかもしれないのだが、果たして?
「次のご当地ギターも進行中ですが、まだご紹介できません。想像いただいて楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。47都道府県制覇は……これから考えます!」
ーーご当地ギターの今後の展望など教えて下さい!
「普段、楽器に触れたことのない方でも『なんだろう?』『楽しそう!』と思っていただけるようなワクワクする楽器をつくることで、親しみを感じて音楽を楽しむきっかけの1つになればと考えています。その土地ならではの名物をご当地ギターにすることで地域を盛り上げる話題にしていただきたいです」
取材協力
株式会社山野楽器HP
https://www.yamano-music.co.jp/
文/太田ポーシャ