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業務の効率化を実現する「RPAツール」の選び方とおすすめツール

2022.09.27

RPAツールは多くの業界で利用されており、広く普及しつつあります。RPAの導入を検討している企業は、どのような業務に役立つのか基本的な用途や種類とともに、ツールの選び方やおすすめツールも知っておきましょう。

RPAツールには得意・不得意がある

RPAツールは主に、バックオフィスの定型業務を自動化できるもので、業界・業種を問わず広く利用されています。総務や経理・人事部門などの業務効率化を実現できますが、全ての業務を自動化できるわけではない点に注意が必要です。

導入を検討しているツールで自動化できる範囲を確認し、自社の課題と照らし合わせた上で、適用する業務を精査する必要があります。まずはRPAツール全般が得意とする業務と、不得意な業務を把握しておきましょう。

RPAツールで自動化できる業務の例

RPAツールによる自動化が可能なのは、手順が決まっている繰り返しの業務です。エクセルファイルから任意の行の数値をコピーし、基幹システムに貼り付けるといった作業が代表例です。

伝票に情報を入力したり、特定のデータを収集してデータベースに登録したりするといった作業の自動化も得意としています。

RPAで自動化できる業務は主に、総務や経理といったバックオフィスの担当領域です。ただ、営業やマーケティングなどの部門でも、顧客情報の整理や活用など、補助的な業務にはRPAツールが積極的に活用されています。

RPAツールで自動化できない業務の例

RPAは定型業務の自動化に役立つ一方で、臨機応変な判断が必要な作業は得意としません。状況に応じた複雑な判断を求められるような業務は定型フロー化が難しいため、RPAに任せるのは困難です。

例えば、クレーム対応やクリエイティブなデザインを創作したりすることはRPAの苦手分野といえるでしょう。作業内容をパターンとして認識させるのが難しく、例外的な作業が発生する可能性も高いためです。

ただし、近年はAI(人工知能)の技術を応用したRPAツールも登場しており、徐々に煩雑なルールに柔軟に対応できるものも登場しつつあります。しかし、人間と同じように顧客と接したり、商品やサービスの企画を立案したりする業務には対応できません。

RPAツールの種類

マウスで作業する

(出典) photo-ac.com

RPAは大きく『デスクトップ型』『サーバー型』『クラウド型』の3種類に分けられます。自社に合ったツールを選択するために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

デスクトップ型

デスクトップ型は、個々のパソコンにRPAのソフトウエアをインストールして利用するタイプです。

パソコン1台に対して一つのライセンスを適用するのが一般的で、導入した端末上の作業を自動化できるようになります。他のアプリケーションと同じような感覚で導入・利用できるので、個人単位・部署単位での導入がしやすく、情報漏えいのリスクも低いのがメリットです。

ただし、特定の社員が日常的に利用している端末に導入するケースが多いため、作業が属人化しやすくなり、当該社員の不在時はRPAを活用できなくなる可能性があります。基本的な操作方法を社内で共有しておき、誰でも対応できる体制の構築が必要です。

サーバー型

サーバー型はその名の通り、社内サーバーにRPAのソフトウエアをインストールして利用するタイプです。ネットワーク内の各端末の作業を自動化できるというメリットがあります。

サーバーで集中管理するこのタイプは、複数端末での作業を並行して自動化したい場合に有効です。

例えば、特定の端末で処理したデータを別の端末で集計し、さらに別のシステムに登録するといった一連の作業を容易に自動化できるでしょう。

ただ、複雑な業務フローににも対応しやすい反面、他のタイプのRPAに比べて導入コストが高く、運用にも相応の手間がかかります。

クラウド型

クラウド型は、ツールを提供する事業者側のサーバーでシステムを動作させるタイプのRPAツールです。クラウド環境でソフトウエアを動作させるので、個々の端末にインストールする必要はありません。

提供会社と契約すればすぐに利用でき、サーバーの設定やメンテナンスも事業者が担当します。社内のシステム管理者がRPAに詳しくなくても、導入・運用しやすいのがメリットです。

ただし、主にブラウザ上の作業が対象であり、他の領域の自動化を図るには別のタイプのRPAを併用する必要があります。

RPAツールの選定ポイント

タブレットで作業する男性

(出典) photo-ac.com

他の企業で活用されているRPAツールでも、自社の課題や環境にマッチするとは限りません。選ぶときに特にチェックしたいポイントを押さえ、ツール選定に役立てましょう。

自動化したい業務との相性を検討する

自動化したい業務とRPAツールとの相性によっては、期待通りの成果を上げられない可能性があります。

まずは、自社でどのような業務を自動化したいのかをよく検討し、その業務に適したツールを選ぶのが基本です。実際にツールを利用する社員とよく話し合った上で、どの種類のツールが適しているか、どの分野に強みを持つ製品を選択するか判断しましょう。

また、現場のITリテラシーも企業によって異なるので、導入後に問題なく使いこなせるかもチェックする必要があります。無料トライアル版が利用できるRPAツールもあるので、積極的に活用しながら自社に合ったものか確かめましょう。

コストと機能のバランスを考慮する

RPAツールは非常に高額になる場合があるため、自社に必要なコストと機能のバランスを考慮し、予算に合わせたシステム選定が求められます。

製品によっては毎月のランニングコストが100万円を超えるケースもあるので、自社がどの程度の規模でRPAツールの運用を考えているのか、事前に検討しておきましょう。

現場から大規模なシステムを求める声が上がっていても、自動化する業務範囲によってはデスクトップ型やクラウド型のRPAで対応できるケースが珍しくありません。

ツールの導入による費用対効果をできるだけ詳細に算出し、最もコストパフォーマンスが高いと考えられるツールを選びましょう。

セキュリティー対策が考慮されたシステムを選ぶ

RPAツールはサイバー攻撃による乗っ取りや野良ロボットの発生など、多くのセキュリティーリスクを抱えています。ツールの権限設定やID・パスワードの暗号化、操作ログの取得など、セキュリティー対策が考慮されたシステムを選ぶことが重要です。

また、RPAによって部門間を横断して業務の自動化を図る際には、それぞれの部署の担当者やシステム部門の社員を集めてセキュリティーポリシーを設定しましょう。

ツールの運用で守るべきルールを決めておくだけでなく、システム上の問題やトラブルがあった際の対応方法をまとめたマニュアルも必要です。

RPAの導入手順

パソコンとスマホで作業する

(出典) photo-ac.com

RPAツールのメリットを最大限に活用するには、事前にしっかりと準備した上で導入を進める必要があります。既存のシステム運用環境や社内のITリテラシーによっても適した進め方は異なりますが、大まかには以下の流れで導入するとよいでしょう。

1.RPA導入チーム結成・業務洗い出し

まずは社内にRPA導入チームを結成し、自動化させるべき業務を洗い出します。可能ならば、RPAの知識やノウハウがある人材をチームに加えるのが望ましいでしょう。

RPAツールによって自動化させる社内業務の洗い出しは、大規模なプロジェクトに関するものから日常業務に至るまで、細かくリストアップすることで、その後の作業に抜けや漏れが発生しにくくなります。関係部署とよく話し合った上で、候補を挙げていきましょう。

2.自動化する業務の検討

業務の洗い出しが終わったら、どの部分を優先的に自動化するのか検討しましょう。リストアップした業務を、RPAツールで自動化できるものと自動化が難しいものに振り分け、自動化が可能な業務のうち『今回はどの業務を対象にするのか』を決定します。

ピックアップした全ての業務を一度に自動化するのはまず不可能です。現在の業務量や所要時間などを定量的に測定し、RPAの導入効果が大きいと考えられるものを優先的に選びましょう。

3.導入ツールの検討とルール整備

自動化するものを決めたら当該業務の自動化を実現できるRPAツールを、機能やコストなどを考慮しながら検討します。複数のツールの情報を収集し、どれが自社の環境に合っているのか判断しましょう。

同時に、社内におけるRPAの運用ルールも整備しておくことが重要です。

運用ルールが決められていないと情報漏えいのリスクが高まり、野良ロボットが放置されるといった、さまざまなセキュリティーリスクを抱えることになるでしょう。明確なルールを定めた上で導入すれば、運用上のトラブルを防ぎつつ現場へのスムーズな定着を促せます。

4.運用開始

ツールの選定と運用ルールの整備が終わったら、いよいよRPAツールの運用を開始します。いきなり全社的に始めるのではなく、特定の部門やチームなどの小さな組織に限定して始めるのがよいでしょう。

スモールスタートがうまくいったら徐々に範囲を広げていくことで、導入に成功しやすくなります。初めから完璧なシステム運用は不可能なので、ブラッシュアップを重ねながら範囲を拡張していきましょう。

5.効果測定・改善

RPAツールの運用を始めてからある程度時間がたったら効果測定を行い、ツールが自社に貢献した度合いを明らかにしましょう。その上で運用を改善できる部分があるようなら改善します。

さらに、改善後の運用を一定期間だけ行ってから、再び効果を測定するというサイクルを繰り返すのが成功に導くポイントです。

効果測定の方法や基準は、ツールの導入前から決めておきましょう。測定が必要になってから基準を決める運用だと、必要なデータをうまく集められなかったり、情報収集に過度な時間を取られたりする可能性があります。

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