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無人店舗の商品を支払わずに持ち帰ると窃盗罪に!自首した場合としない場合の量刑は?

2022.08.29

最近では、農家による野菜の販売や無人コンビニエンスストアなど、店員を配置せずに運営する無人店舗が増えてきました。

お金を払わずに無人店舗の商品を持ち逃げした場合、店員がいる店舗と同様に「窃盗罪」が成立します。もし出来心から無人店舗で窃盗を働いてしまった場合、重い刑事処分を避けるためにも、速やかに自首をしてください。

今回は無人店舗における窃盗について、成立要件・量刑・自首した場合の取扱いなどをまとめました。

1. 無人店舗で商品代金を払わないと「窃盗罪」

無人店舗で代金を支払わず、商品を持ち逃げした場合には「窃盗罪」が成立します(刑法235条)。

窃盗罪が成立するのは、以下の要件をすべて満たす行為です。

①他人の所有物につき
②権利者を排除して、自己の所有物として利用・処分する意思(=不法領得の意思)をもって
③占有者の意思に反して、自己または第三者へ占有を移転させたこと

無人店舗の商品は、言うまでもなく他人(=店舗)の所有物です(①)。

また、無人店舗から商品を持ち出す行為は、店舗による当該商品の販売を不可能にしつつ、自分のものとして利用・処分することを目的としているため、不法領得の意思をもって行われていると評価できます(②)。

さらに、店舗は代金未払いの商品の持ち出しを容認していないにもかかわらず、それを勝手に持ち出すことは、占有者である店舗の意思に反して商品の占有を自己に移転させる行為です(③)。

上記3つの要件を満たすため、無人店舗で代金を支払わずに商品を持ち逃げする行為には窃盗罪が成立します。

2. 無人店舗における窃盗、実際の量刑の目安は?

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。しかし実際の量刑は、初犯か再犯か、あるいは盗んだ商品の金額などに応じて異なります。

2-1. 初犯の場合|起訴猶予・略式起訴・執行猶予の可能性が高い

窃盗事件では一般的に、初犯かつ被害額が僅少(数万円程度以下)であれば、処分は起訴猶予・略式起訴・執行猶予のいずれかとなるケースが大半です。

①起訴猶予
犯罪の嫌疑は十分であるものの、被疑者の社会における更生を促す観点から、検察官の判断によって起訴しないことを決定します。

②略式起訴
通常の刑事裁判ではなく、簡易裁判所の略式命令によって刑罰が科されます。量刑は100万円以下の罰金または科料に限られます(窃盗罪の場合は50万円以下の罰金のみ)。

③執行猶予
刑事裁判における審理の結果、有罪ではあるものの、1~5年間刑の執行が猶予されます。

無人店舗で販売されている商品は、数百円~数千円程度のそれほど高額でないものが大半でしょう。

そのため、無人店舗において窃盗を犯したとしても、初犯であれば起訴猶予・略式起訴・執行猶予のいずれかとなる可能性が高いです。

略式起訴であれば罰金20万円~30万円程度、正式起訴であれば懲役1~2年、執行猶予3年程度が目安になるでしょう。

2-2. 執行猶予中の再犯の場合|実刑が濃厚

これに対して、執行猶予期間中に再び罪を犯した場合は「再犯」として取り扱われます。

再犯の場合、検察官により「反省していない」と判断される可能性が高いため、起訴猶予処分は期待できません。

また、初犯のケースよりも収監したうえで矯正する必要性が高いと判断され、実刑判決(=執行猶予なしの有罪判決)を受ける可能性が飛躍的に高まります。

特に、前科が禁錮刑以上で、再犯に当たる窃盗が懲役1年を超える場合には、執行猶予を付すことが認められない点に注意が必要です(刑法25条2項)。

再犯の場合、略式起訴であれば罰金30万円~50万円程度、正式起訴であれば懲役1~3年程度(実刑)が目安になります。

2-3. 執行猶予期間満了後の犯行の場合|初犯と同じ扱いになる

執行猶予判決を受けたものの、執行猶予期間が満了した場合には、刑の言渡しが失効します(刑法27条)。

したがって、前の罪の執行猶予期間が満了した後に、無人店舗における窃盗を犯した場合、基本的には初犯と同じ取扱いになります。

3. 無人店舗における窃盗につき、自首したら処分は軽くなる?

出来心から無人店舗で窃盗を犯してしまった場合、速やかに自首することをお勧めいたします。

自首をすれば、検察官によって反省の態度が認められ、起訴猶予処分となる可能性が高まります。

また、罪を犯したことが捜査機関に発覚する前に自首した場合、起訴されたとしても、刑事裁判における量刑が軽くなる可能性が高いです。

特に初犯の場合、起訴猶予処分になるか、それとも起訴されて前科が付くかは、被疑者の反省の態度と被害弁償の有無によって結論が左右されることがよくあります。

そのため、重い刑事処分を避けるためには、速やかに自首したうえで、店舗に対して被害弁償を行うべきでしょう。

無人店舗を利用する際には、客としてのモラルと併せて、窃盗罪に関する刑法のルールもぜひ頭に入れておいてください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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