完全ワイヤレスイヤホンはスマートフォンなどと無線でやりとりするため、音がずれてしまうことがあります。最近はその遅延もだいぶ少なくなっていますが、ゲームプレイ時など繊細な反応が必要となるシーンでは気になることがあります。
ハーマンインターナショナルの「JBL」は、音の遅延を解消するために珍しいアプローチをした完全ワイヤレスイヤホン「JBL Quantum TWS」を2022年7月22日より発売しました。
JBL Quantumは、JBLのゲーミング用オーディオブランド。これまでヘッドセットや有線イヤホンが販売されてきましたが、完全ワイヤレスイヤホンはシリーズ初登場となります。
本記事では、JBL Quantum TWSを実際に試しながら、音質や装着感、音の遅延レベルについて紹介していきます。
デザイン・装着感
JBL Quantum TWSは、スティック型の完全ワイヤレスイヤホン。耳の穴に装着する部分は、様々な耳の形状にフィットする「デュアル・オーバルシェイプ」を採用。基本的には装着感に優れた製品ですが、少し膨らみのあるデザインになっているので、長時間使用していると耳が痛くなる人もいるかもしれません。その場合は、同梱される3サイズのイヤーピースにて、装着感を調節するのがおすすめです。
本体側面にはセンサーが内蔵されており、ノイズキャンセリングモードのオンオフ切り替え、トークスルーモードの起動などがタッチ操作で行えます。スティック型の完全ワイヤレスイヤホンの場合、スティック部分にセンサーが搭載されることも多くありますが、本製品ではイヤホン側面に配置されているため、イヤホンを着け外す際にスティックを持つことで、誤操作が起きる心配がないのがポイントです。
充電ケースは楕円形で上部に蓋のあるデザインになっており、比較的軽量な仕上がりです。ケースのワイヤレス充電には対応していません。また、イヤホン本体はIPX4相当の防水性能をもちますが、ケースは防水に非対応となっています。
機能
本製品の最も大きな特徴が、専用のUSBドングルとの接続で、2.4GHzワイヤレス接続が可能な点。ワイヤレスマウスやワイヤレスキーボード、ヘッドホンなどで採用されることはありますが、完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しい機能です。
準備はUSBドングルをイヤホンと接続したいスマートフォンやPCにつなげるのみ。USBドングルはUSB Type-Cなので、対応機種も豊富です。
USBドングルを使うと、音の遅延はほとんど感じられないほどになります。筆者は、スマートフォンと接続してアプリゲームをしていますが、一般的なワイヤレスイヤホンで感じる音のずれがなく、FPSといったゲームでも快適にプレイできています。
ただし、USBドングルはスマートフォンと接続するには少しサイズが大きいので、スマートフォンを横にもってゲームをする際には、持ち方に少し工夫が必要。慣れればそこまで気になりませんが、はじめのうちは戸惑うこともあるかもしれません。
また、USBドングル使用時には、別のデバイスとBluetooth接続しておけるのもポイント。USBドングルをPCと接続し、スマートフォンとBluetooth接続しておけば、PCゲーム中にスマートフォンに着信がある場合でも、そのまま通話ができるようになっています。
そのほかの機能として、ANC(アクティブノイズキャンセリング)にも対応しています。ノイズの除去レベルはまずまずといった印象で、電車内などの騒音が大きいシーンでも、快適に音楽を楽しむことができます。
バッテリーはANCオン時にイヤホン単体で約5時間、ANCオフ時はイヤホン単体で約8時間となります。ただし、USBドングル使用時は、ANCオン時で約3.5時間、ANCオフ時で約4時間となります。
音質
10mm径のダイナミックドライバーから再生される、ズンズンと響く低音が特徴的。ドラム、ベースの音が迫力をもって再生されるので、バンドミュージックのような音楽を再生するのが得意なイヤホンとなっています。
高音は抜け感があり、のびやかな印象。中音域は少し弱めの印象もありますが、ゲーミングイヤホンらしく、音の定位(各楽器が音を出している位置)がはっきりしているため、しっかりと立体感を持って再生できます。
2.4GHz接続で完全ワイヤレスイヤホンの遅延を解消したJBL Quantum TWS
JBL Quantum TWSは完全ワイヤレスイヤホンに求められる、ANC機能や防水性能といったトレンド機能をもつ扱いやすい製品です。特に、音の遅延を、2.4GHz接続というアプローチで解消した、ゲーマーにもうれしい製品です。
販売はJBL公式オンラインストアや、楽手市場のJBL公式ストアから可能。販売価格は1万9800円。イヤホンに約2万円を出すのに抵抗があるという人もいるかもしれませんが、ゲームや動画視聴を多く行う人には、ぜひ試してほしい製品です。
取材・文/佐藤文彦