DIME MAGAZINE
いま高級商材のなかでも、腕時計に注目が集まっている。その人気は世界的なもので、ブランドを問わず全体的に品薄で、二次流通のほうが価格が高額という例も多い。そのため、「バラエティー番組で罰ゲームで購入させられた高級腕時計が、数年後には3割以上価格が上がっていて、むしろいい投資になっている」なんて話もある。
昨今は円安もあり国内の高級商材の価格変更もあるが、それでも熱の冷める様子のない高級腕時計市場の現状について、日本橋三越本店 時計担当バイヤーの山本愛理さんに聞いた。
「自分のイメージを上げてくれるアイテム」と高級腕時計を求める若い世代の顧客増
日本橋三越では2022年8月17日から8月30日まで「第25回 三越ワールドウォッチフェア」を開催中。その中心を担う山本さんは目玉となるラグジュアリーウォッチを集めるために奔走したが、その枯渇感を強く感じている。
「いまのお客様の傾向としては、話題のモデルをいち早く買いたいという気持ちと、あったらすぐ買わなきゃという気持ちで高額な商品を買われています。三越の顧客ですとほかでは手に入らない逸品を手にしたいという思いが強く、1000万円以上の商品の動きがいいですね」（以下、コメントはすべて時計バイヤー 山本さん）
日本橋三越本店 時計担当バイヤー 山本愛理さん
なかでも大きな変化が、ここ1、2年では高級時計の購買層に若い世代の顧客が増えてきたことだ。以前ならば30代前半の男性の場合、ファーストラグジュアリーウォッチとして選ばれるのは高くても100万円前後が中心価格帯だった。最近は「長く使えて、自分のイメージを上げてくれるような商品がほしい」という要望が増えている。
来店時も事前にしっかりと勉強し、知識を蓄えてきたうえで店内での滞在も長く、店員への質問も多い。その結果として、200万円以上のものが選ばれている。より高級腕時計を所有する“意味”を求める、精神的な礎のようなものを求める傾向が見えるようだ。そのため、メンズ・レディースともに新作が入るとすぐに売れるという状況が続いている。
「女性のお客様でも、お嬢様が生まれたばかりの方が、将来その娘にも託せる何世代も使えるものがいいと、高額のものを選ばれることが増えています。時計はメンテナンスをすれば何世代も使っていただける商品なので、時計というアイテムの価値を見出していただいているのではないでしょうか」
トレンドとしては、ラグジュアリースポーツウォッチが人気なのは変わらず、その加熱は続いている。さらに各ブランドが、そのアーカイブから復刻版を発売するなど、ブランドの魅力があふれ出る王道品がまた戻ってきているという。
「時計はもともと価格が落ちにくいとは言われていますが、ちょっと加熱し続けている感はあります。品薄の状況から正規の価格より中古のほうが価格が高いブランドも出てしまっていますが、そのうち落ち着くと思っています」
高額すぎて普段は店頭には並ばないミュージアム級の逸品を展示
「三越ワールドウォッチフェア」は、多くの来店客に時計を楽しんでもらいたい、時計の地位を向上させたいという思いから25年前に始まった。昨今、時計人気が加熱しているが、入荷しても限られた顧客にしか案内できない商品や、高額すぎて展示が難しく、気軽に観ていただけない商品も増えている。そこで初心に戻り、より多くの来店客に魅力的な時計をぜひ見てもらいたい、楽しんでいただきたいという思いが、今回の展示のテーマになっているという。
その特徴の1つが、7階の展示スペースで、各ブランドの特徴的な逸品を揃えたコーナーだ。ここは普段であれば各ブランドのカウンターを訪れ、店員に相談するなど、実際に目にするまでにハードルが高いトップクラスのモデルを集めた。もともと日常的に使用するというよりも、ミュージアムピースを展示するところから開催されていることもあり、よりデコラティブなアイテムも多く、店舗カウンターでもなかなか見ることが難しいものを間近で見られる貴重な機会を提供している。
時計が1点ごとにショーケースに入れられており、様々な角度から鑑賞できるように展示。
ハリーウィンストン オーシャン バイレトログラード オートマティック 7,623,009円
ジャガー・ルクルト ジャイロトゥールビヨン1
世界限定8本。価格は為替により変動するため店頭にて問い合わせを。
ブレゲ クィーン・オブ・ネイプルズ 8939 45,892,000円
カール F.ブヘラ ヘリテージ トゥールビヨン ダブル ペリフェラル 12,760,000円
また、同フロアには幅広く来店客に楽しんでいただきたいという思いから、趣味を楽しむアイテムとしてお酒とウォッチケースも提案。また、期間限定出店の「レゼルボワール」と最近また人気が上がっているG-SHOCKのスペシャルブティックも展開している。
グローブトロッターのウォッチケース
レゼルボワールは元々時計コレクターだったフランソワ・モローさんが創業した注目のブランド。まだ歴史は浅いが、時計の針が一周しない機構など、随所にこだわりを感じる。
カシオ G-SHOCK/MRG MRG-B5000BA-1JR 462,000円
カシオ G-SHOCK GM-B2100D-1AJF 71,500円
三越のネットワークを駆使して最新モデルを結集！
日本橋三越本店の6階ウォッチギャラリーは2018年9月にリフレッシュオープンして以来、人気ラグジュアリーブランドから独立時計師による希少モデルまで幅広く取り扱っている。そこにさらにワールドウォッチフェアの期間中は、ブランドの新作の充実にこだわった。
ブレゲ マリーン オーラ・ムンディ 5557 8,921,000円
ピアジェ ポロ 3,652,000円 日本橋三越本店本店先行発売
今回はFIFAワールドカップのオフィシャルタイムキーパーを務めるウブロの期間限定ブティックも登場し、ラグジュアリースポーツウォッチの世界を紹介する。
ウブロ スピリット オブ ビッグ・バン イエローゴールド 5,016,000円
ウブロ ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック パープルサファイア 23,287,000円
「本フェアは基本的なコンセプトとして、新作が一同に揃い、全部見られますよという伝統があります。そのため、各様のご協力を得て各ブランド新作を展示できたことと、来ていただいた方全員に楽しんでいただくなど、幅広くお客様に楽しんでみてもらいたいですね」
第25回 三越ワールドウォッチフェア
会期:2022年8月17日(水)~8月30日(火) 午前10時~午後7時
会場:日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリー/本館7階 催物会場(8月22日(月)午後6時まで)
本館1階 ステージ
出品ブランド数:約60ブランド
お問い合わせ先:日本橋三越本店 電話 03-3241-3311 大代表
https://www.mistore.jp/shopping/event/nihombashi_e/world_watch_50
取材・文／北本祐子
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