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VWの新型「ポロ」は「ゴルフ」にどこまで近づいた?

2022.08.21

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 フォルクスワーゲン「ポロ」にマイナーチェンジが施された。全長が10〜25mm延びたほか、新しいラジエーターグリルとLEDマトリックス化されたヘッドライト類がルックスを引き締めている。内容として最も大きな進化は、運転支援機能をアップデイトしたことだろう。上級の「ゴルフ」や「アルテオン」「ティグアン」などに装備されている「Travel Assist」が採用された。

 ACC(アダプティブクルーズコントール)とLKA(レーンキーピングアシスト)をステアリングホイール上のボタン操作によって働かせられる。Travel Assistは実際に使ってみると、設定と作動ONにいたるまでの操作が簡単でわかりやすいのがいい。高速道路や自動車専用道での長距離走行や渋滞時などの安全性確保とドライバーの負担軽減に大きな効能がある。

機械として優れているか? ★★★★★ 5.0(★5つが満点)

 エンジンもマイナーチェンジ前と同じ排気量ながらミラーサイクル化されたことによって最大トルクが1600回転から発生させることができるようになり、より使いやすく効率を高め、静粛性も向上した。「ポロ」のすべてのグレードのエンジンは、「ゴルフ」のActiveグレードのものと3気筒999ccと気筒数と排気量まで共通している。

 違いは、マイルドハイブリッド化の有無で「ゴルフ」の場合は電気モーターのアシストによって発進時や変速時のギクシャク感が払底されている。

 DSG(ダブルクラッチ)タイプのトランスミッションの宿命的な弱点をマイルドハイブリッド化によって巧みに消し去っているところに、「ゴルフ」の成熟が見られた。しかし、コストアップにつながるために「ポロ」では見送られたようだ。

 ただ「ポロ」の走りっぷりも「ゴルフ」を想起させる完成度の高さを見せていた。引き締まった乗り心地とフラットな姿勢を維持しながら、路面からのショックを柔軟に吸収していく様子は上質なものだ。正確なハンドリングも「ゴルフ」と変わらない。Travel Assistが採用されたことと併せ、走るクオリティーはクラス最上となった。

商品として魅力的か? ★★★★ 4.0(★5つが満点)

「ポロ」は、今回のマイナーチェンジでエンジンを除けば兄貴分である「ゴルフ」に準じた。エンジンとボディーサイズ以外は、もう“ほとんどゴルフ”と言えるだろう。しかし、もうひとつ「ゴルフ」に及んでいないところもあった。シフトレバーとサイドブレーキだ。

 どちらも、従来型の太くて長いものが用いられている。「ゴルフ」は短く小さなレバーとスイッチに変わった。もちろん、「ゴルフ」のほうがドライバーまわりの空間利用の自由度が大きい。

 また、インテリアがブラック一色だけなのも購買意欲を削いでしまうだろう。コンパクトカーはパーソナルな用途が多いのだから、車内は明るい方が楽しく使える。反対に、スポーティーなイメージを演出しているR-Lineこそ、グレーではなくブラック一色がふさわしいのではないだろうか?

 先代の「ポロ」は、ダッシュボードやドアパネルなどに鮮やかなボディーカラーを反転させていたのだから、惜しい。とはいえ、新型「ポロ」の完成度はとても高い。試乗したStyleは、車両価格324万5000円(税込)に「Discover Proパッケージ」オプション(15万4000円)が装備されていた。合計339万9000円は、格安というわけではなく、電動化こそ施されていないけれども、長く乗り続けられる内容と先進性を備えていることは間違いない。

■関連情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/polo.html

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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