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日本でも急速に浸透する「ロケーションテック」へ期待と活用事例

2022.08.22

人や物の位置情報を可視化して活用へとつなげる「ロケーションテック」。コロナ禍で特に活用が加速し、今、大いに注目を集めている技術の一つだ。ロケーションテックとは何か、そして今後、注目を集めていくと見られる最新分野や課題を探った。今後、データを活用してビジネスを有利に進めたいビジネスパーソンにとっては押さえておきたい技術の一つだ。

ロケーションテックとは

ロケーションテックとは、「Location Tech」、つまりLocation=「位置情報」とTech=「技術」を組み合わせた造語だ。

「ロケーションテックは、『人々の位置』とその『変化(移動)』をこの10数年で普及したスマートフォンから位置情報ビッグデータとして取得し、そのデータを分析してさまざまな『見える化』を行ったり、他のさまざまな既存データとつなぎ合わせて、これまで把握が不可能だった情報、例えば、店舗経営者であれば、競合店舗との比較や来訪者の居住地などの情報が活用できるようになる技術です」

そう話すのは、ロケーションテックを手がけるクロスロケーションズ株式会社 代表取締役の小尾(おび)一介氏だ。

【取材協力】

小尾 一介氏
クロスロケーションズ株式会社 代表取締役
デジタルガレージ取締役、Google 戦略事業開発部門 日本代表(執行役員)などを経て
現職。
https://www.x-locations.com/company/leadership/

ロケーションテックの活用は、日本でも急速に進んでいるという。

「ロケーションテックは、ここ10数年のスマホの普及とAI技術の進歩という背景から登場したまったく新しい技術であり、新しいタイプのデータです。これを自身の目的に対してどう使っていくのか、ということを、小売店や広告業、不動産業のほか、交通、建設、行政なども含めた多様な業種が一斉に試行錯誤をしはじめています。

また、企業ではDXというキーワードもあるように、データの使い方が将来の企業や事業の盛衰を決めるともいわれていますので、ロケーションテックのような新しい技術をいち早く取り入れた企業が、ライバルとの競争にも勝つことになるでしょう」

同社のサービス「Location AI Platform(R)」の画面例
「来訪率分布マップ」来訪者がどこから来ているかの実勢商圏を濃淡で表示

同社は、様々な位置情報データの活用技術を主軸としてビジネスを行う業種分類と、その属する企業をまとめた「ロケーションテック カオスマップ」を公開している。

出典:「ロケーションテック カオスマップ

ロケーションテックの最新分野3つ

ロケーションテックは、店舗を運営している企業、例えば小売店、外食店、小売に商品を卸している消費財メーカーなどから普及が始まったという。

そしていま、もっとも注目されているロケーションテックの最新分野が3つあると小尾氏は述べる。

1.広告用電子看板(サイネージ)による人流把握

「広告用電子看板(サイネージ)を運営する広告会社が、そのサイネージを見る人流を把握するのに使っています」

2.不動産関連企業による人流把握

「コロナ禍でリモートワークが増え、オフィス出社人口(率)や大型商業施設の人流が変化したため、そのデータを把握し、活用したい不動産関連の企業が出てきています」

3.証券会社による人流把握

「上場企業の事業進捗状況を、その企業の事業拠点である店舗や工場などの人流を把握することで、将来のその企業の営業成績予測を行い、株式の売買に役立てる証券会社などが出てきています。このような目的で人流データなどを使う場合に、そのデータのことを『オルタナティブデータ』と呼んでおり、米国では当たり前になりつつあります」

ロケーションテックの現状課題と解決策

ロケーションテックは今後もさらに多様な業種で活用が進んで行くとみられる。そのロケーションテックにある現状の課題として、小尾氏は次の3点を挙げる。

1.活用方法の普及

「ロケーションテックや人流データを使うことで、どのようなことの役に立つのか?という情報の普及促進が、一つの課題です。ただし、これは今、すでに利用している企業では明確になってきていますので、時間の問題かと思われます」

2.安心安全のデータ活用法であることの認知

「『スマホの位置情報データを使う』という点で、個人情報が漏洩するのではないか?という懸念を、一般消費者が持つ場合があります。当社でご提供しているデータは、完全匿名化した上で、あくまでも傾向や分布ランキングといった個人情報とは関係のない分析結果となりますので問題はありません。とはいえ、このような懸念がある以上、ロケーションテックにおいては位置情報データの活用は、安心安全な使い方であるという情報の普及が必要と考えます。これについて、当社は業界団体である“Location Based Markething Association Japan”(LBMA Japan)という団体の結成メンバーとして『ガイドライン』作成や普及活動を行っています」

3.人流の「動機・目的」を知るための取り組み

「ロケーションテックでは、『人の移動』を様々な角度から見える化、分析が可能となっていますが、『なぜそういう行動が起こったのか?』ということはわかりません。

これらの『動機』や『目的』を知るには、『位置情報ビッグデータ』に加えて、他のビッグデータ、例えば、気象、購買、メディア接触、交通手段などとの相関性や類似性を把握することが必要です。このことで、より深く『人の行動』を知ることができるようになります。当社では、他の分野のデータパートナー様と共同し、こうした取り組みを開始しています」

ロケーションテックに必要な人材・スキル

ところで、企業がロケーションを導入すると、今後、どのような人材・スキルが必要になるのか。

「人流の分析をビジネスに生かそうとする場合に必要な人材・スキルとしては、データサイエンティストのような『データ全般の分析の専門知識』を持った人材が想定されますが、当社の提供するプラットフォームは、必ずしも、そうした専門知識がなくとも、一般職の方でも、人流データの分析や商圏分析ができる仕組みを提供していますので、特殊な知識や経験は必要ありません。データ分析では、統計学が使われますので、基礎知識があればベターであるという程度です。

むしろ、必要となるのは、実際の店舗運営において、店舗の開設・廃止などの店舗開発、集客活動、消費者動向調査などの実務経験と、ロケーションテックで得られるデータを掛け合わせて、予測や仮説を作ることのできるスキルが重要かと思います」

ロケーションテックは、国内で急速に加速している。一方で、その活用法についてはどの業界でもまだ模索段階であるようだ。より有意義な活用方法が今後、見出されていくだろう。

取材・文/石原亜香利

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