バイクに乗って遠くへツーリングに行く際に悩むのが、移動の方法。
一般道路や高速道路を使って自走するのも悪くはないのですが、筆者のオススメはフェリー。今回は筆者自身が実際に利用してみて感じた、バイクで出かけるフェリー旅の魅力を5つご紹介します。
冒険心が湧きたつ非日常感
筆者が利用したのは、名古屋港と苫小牧港の間を結ぶ太平洋フェリーの『きそ』。途中仙台港に停泊し、40時間ほどをかけて移動する大型の客船です。
非日常は乗船前、港に着いた瞬間から始まっています。
港にはすでに船が停まっており、到着した人から順番にバイクを停めて乗船の時を待ちます。船はとにかく大きく、あれに乗るんだ!と思うと、これから旅が始まるということを意識せずとも実感させられるのです。
周りのライダーたちも皆同じ気持ちなのでしょう。ようやく乗船が開始されるとみんなソワソワと落ち着きがなく、言葉を交わさずとも気持ちが高揚しているのが感じられます。
大勢のライダーの感情が集まり、大きな渦になるのが目に見えそうなほど。この興奮を味わえるのは連休付近のフェリーだけ。何度乗っても心臓がはち切れそうなぐらいにドキドキします。
華やかな内装でドラマチックなリゾート気分
フェリーの内装には海にまつわる様々な装飾が施され、まるでリゾートホテルのよう。初めて長距離フェリーに乗った時は、映画『タイタニック』で見た華やかな客船を思い出して心が躍りました。
今回利用した『きそ』の客室は3階建て。内装には南国を彷彿とさせる装飾が施されています。過去にはドラマや映画の撮影にも利用されたことがあるそうで、まるで自分が登場人物になったかのような気分を味わえました。
船内には食事会場やラウンジスペース、売店、ゲームセンターや大浴場など生活必需品と娯楽施設が用意されています。
ゲームセンターにはインベーダーゲームや記念メダル販売機のようにレトロな機体が置かれていることも多く、ノスタルジックな気分に浸れるかも?
実はお得なレストランのビュッフェ
フェリーにある施設の中でも特に筆者が好きなのが、レストラン。朝・昼・晩の食事をビュッフェ形式でいただくことができます。
フェリーのビュッフェは、街のレストランよりもお買い得なことが多いのです。
『きそ』の場合は朝・昼食が1,100円、夕食が2,100円(価格は税込)。ガッツリしたお肉系からサラダやデザートまで、種類豊富なメニューに目移りしちゃいます。
ビールやワインといったアルコール飲料の提供もあり、ビアガーデンのように楽しむこともできるのです。
普段のツーリングであれば、飲酒運転になってしまうため絶対にNG。しかし長距離フェリーの場合は船上で1泊以上するため、ツーリング中にも関わらずお酒を飲むことができるのです。
ただし、飲み過ぎと残り時間にはお気を付けくださいね!
スマホが圏外でデジタルデトックス
一部の区間を除き、長距離フェリーは陸から遠く離れた沖合を進行します。そのためスマートフォンの電波は圏外。
デメリットともとれるこの状況ですが、デジタルデトックスと捉えてみるといかがでしょう。
本を読んだり、家族で話したり、地図を持ち込んでツーリングの計画を立てたり。普段の生活ではスマートフォンが気になって進まないこともありますが、強制的に使えなくなってしまえばぐぐっと集中できるのです。
もちろん何もせず時間いっぱい寝るのもアリです。罪悪感なく長時間ゴロゴロと寝て過ごせる機会って、なかなかないですよね。
旅に向けて体力を温存
自走での移動と長距離フェリー、一番の違いは体力を温存できるかどうかです。
自走であれば、当然のことながらすべての道を自力で走る必要があります。旅のメイン目的地へ着いた時には、疲れ切って楽しむ余裕がなくなっている可能性もあるのです。
その点、長距離フェリーは移動式のホテルみたいなもの。寝ているだけで数百kmの距離を移動することができ、体力を温存したまま旅のメイン目的地にたどり着くことができるのです。
▼部屋やベッドの種類は様々。安さがメリットの相部屋(いわゆる雑魚寝)、最低限のプライベートエリアが確保された寝台(カプセルホテルのようなスタイル)、運賃は高価だがホテルのような居心地の個室など。
現在国内で利用できる長距離フェリーの航路は、日本長距離フェリー協会のwebサイトから確認できます。
フェリーにはバイクだけではなく、車や自転車、徒歩での乗船も可能です。愛車と一緒にちょっぴりリッチな海の旅に出かけてみてはいかがでしょうか?
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.