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上司からの評価だけではない「360度評価」の本当の意味と賢い受け止め方

2022.08.22

上司だけでなく、同僚や部下、他部署などの関係者から評価を受ける「360度評価」が、多くの企業で実施されている。評価を受ける側の一社員としては、これまでは上司からの評価のみを気にしていれば良かったところ、多くの人から評価を受けることになれば、戸惑うこともあるだろう。

360度評価の結果を受け、どのように対応すればいいか、そして評価をうまく受け止め活かす方法などを探った。

「360度評価」とは?

360度評価とは、一人の社員に対して、複数のさまざまな立場の関係者が評価を行う評価手法の一つだ。周囲のあらゆる方向からの評価という意味合いから「360度」と名付けられている。「多面評価」とも呼ばれる。

360度評価では、従来のように上司からだけでなく、同僚や部下、他部署など複数の関係者からも評価を受ける。場合によっては、取引先や顧客の声も評価として抽出されることもある。

なぜ、このように多面的な評価手法が普及しているのか。その背景の一つに、上司から部下への評価は一面的であり、社員本人の納得感が得られないという課題があげられている。その点、多面的な評価は、社員にとって、ある意味、助け船となり得るというわけだ。

また、人事部門は近年、ジョブ型雇用などを背景に、より社員の人材データをより多く取得する傾向が出てきた。360度評価では、一人の社員についてより多面的なデータを得られるため、対象者をより深く理解し、正しく評価できるようになる。

こうした背景もあり、360度評価は今後も実施する企業が増えていくと考えられる。

360度評価の評価項目

360度評価では、一般的にどのような評価項目で評価されるのだろうか。360度評価の導入を支援するクラウドサービス「スマレビ for 360°」をはじめとしたHRサーベイクラウドサービスを手がけるシーベースの代表、深井幹雄氏に聞いた。

深井氏はコンサルタントとして、組織開発や人材開発の課題解決を直接サポートする活動も行っている。

【取材協力】

深井 幹雄氏
株式会社シーベース 代表取締役社長
1995年株式会社日本ブレーンセンター(現 エン・ジャパン)に新卒入社。執行役員として新卒サイト、派遣サイト、エージェントサイトの事業部長を経験。2017年シーベースの代表取締役に就任。事業再編をおこない、組織開発・人材開発を支援するHRクラウドサービス事業に集中。年間100社を超える企業を訪問し、自身もコンサルタントとして、組織開発、人材開発の課題解決を直接サポートする。また自社であるCBASEの組織開発では、実験会社として様々な取り組みを行い、顧客にナレッジを提供している。

「評価項目としては、対人関係と問題解決力、そして基本的なスタンスを見る項目で構成されるケースが多いです。

対人関係の項目では相手の話に関心を持って聞けるかの『共感理解』や、部下や同僚の状況を把握できているかの『同僚理解」などがあります。

問題解決力では、状況を把握し課題認識ができているかの『課題把握』や、解決策を考える『シナリオ構築』などがあります。

基本的なスタンスでは『誠実さ』『責任感』『前向きさ』などが一般的です」

360度評価の目的と必要な考察

評価を受ける側の一社員として、360度評価を上げるためには、どんなことを意識して仕事をするといいのだろうか。

深井氏に尋ねたところ、そもそも、360度評価の目的は周囲の意見を認識することにあるという。評価を上げることは重要ではなく、評価の高低よりも他者との認識ギャップに重きを置いて、気づきを得ることが重要だ。

そこで、360度評価の結果をどのように認識し、考察すればいいか解説してもらった。

●強みと改善点の認識が異なるものを考察する

「360度評価は『仕事中の自分を知る鏡』といわれています。自分では自分のことを案外、よくわかっていないものです。一緒に仕事をする方々から、それぞれの方の主観でフィードバックをもらい、これを5名〜10名程度集めることで、自分自身の癖を映し出すことができます。自分が気づいている癖もあれば、自分が気づいていない癖もあり、新たな発見につながります。

改善点だけでなく、強みについても知ることができます。自分自身がとらえていた強みや改善点と、他者からフィードバックを受けた強みや改善点とを見比べて、認識が合っているものと認識が異なっているものがあるでしょう。特に認識が異なっているものについては、なぜとらえ方が違うのか、その背景を考察することがポイントです」

●「適応課題」に気づけるヒントも

「職場で起こる問題は、大きく2つ、正解のある『技術的問題』と、自分自身の関わり方やコミュニケーションの取り方に起因する『適応課題』に分かれます。

日頃、いろいろな問題解決をしているビジネスパーソンからすると、すべてを『技術的問題』ととらえてしまいそうですが、実は自分の関わり方やコミュニケーションの取り方が原因で引き起こされる『適応課題』も多いことから、その観点も、合わせて持つことが大切です。

360度評価は適応課題に気づけるヒントが隠されています。しっかりと考察をしましょう」

人からの評価を賢く受け止める方法

360度評価では、人からの評価をうまく受け止め、前向きに活かすことが重要といわれている。しかし、自分自身では予想もしていなかったことに関して指摘をされたときに、人は意外と素直に受け入れられないものだ。どのような対応・態度が必要か、深井氏にアドバイスしてもらった。

「360度評価で集められた他者からのフィードバックはすべて正解であり、自分のとらえ方が間違えているというわけではありません。あくまでも他者が主観的にとらえている事実です。

『自分は、本当はこんな意図を持っているのに、意図が伝わらず、違う捉えられ方をしている』ということもあります。自分の認識と他者の認識との違いに気づき、その違いが生まれている背景を考察することが大切です」

「中には、自分にとっては耳の痛いことも含まれるかもしれませんが、フィードバックを活かして自分自身の行動を変えると、周囲からは『しっかりと受け止めてくれた』と信頼が高まります。

一方、バッドケースとしては『せっかくの結果を無視する』『ひどく落ち込み、行動を変えない』『「誰が書いたんだ」と犯人探しをする』などです。このような対応をすれば、周囲から適切なフィードバックをもらえなくなり、気が付けば“裸の王様”になってしまうこともあります。

しっかりと考察して活かし、自分自身も、そして仲間にも良い影響を与え合っていく姿勢が大切です」

もし、360度評価が自社で始まったなら、積極的に有効活用していくことで、多くのベネフィットが得られそうだ。

取材・文/石原亜香利

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