ノートンによるネットストーキング調査(2022)とアプリによるネットストーキング被害を防ぐ7カ条
ノートンでは、Android端末上で「ストーカーウェアやストーカー行為に活用される可能性があるアプリ」を検知し、警告をしている。
2020年9月から2021年5月の間に、世界でストーカーウェア等のアプリがインストールされたAndroid端末の1日あたりの検知数が63%増加していた。
こうした状況を受け同社は、日本を含む10か国*1 、1万人以上の消費者を対象に「パソコン・スマホを通した監視・ネットストーキング*2」に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。
※1:調査対象国(10カ国):オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、ニュージーランド、イギリス、アメリカ
*2「ネットストーキング」とは「インターネットやデバイスを悪用し、特定の人物の行動を同意なしに監視すること」を指す。
日本人の大多数は、恋人をネットストーキングすることに嫌悪感を抱いているが「ストーカーウェア」に対する認知度は世界最低クラス
世界10か国において、元・現在のパートナーへの監視・ネットストーキングに対する価値観を明らかにすべく、ストーカー行為についていくつかの設問を設け同意するかどうか質問を行った。
「元・現パートナーにネット上でストーカーされていても、オフライン(対面)でなければ気にしない」に対して賛同した日本の調査対象者はわずか9%と、10か国の中でも最も低い数値となり、オフライン、オンラインを問わず、ストーカー行為を顕著に嫌う傾向が見受けられる結果に。
また「元・現パートナーが満足するなら、ネットストーキング行為は問題ない」に対して賛同したのは9%、「バレないと分かっていれば、自分も元・現パートナーをネット上でストーキングする可能性は高い」に賛同したのは11%という結果となり、これらも10か国の中で最低値を記録した。
こうした結果から、世界各国と比較しても、日本はパートナーの感情や環境要因に関わらず、ネットストーキングされることに嫌悪感を抱き、またネットストーキングすることも認めない傾向が見て取れる。
先述の通り、日本人の大多数は、元・現在のパートナー(恋人)をネットストーキングすることに嫌悪感を抱いているという結果が明らかになったが、一方で、元・現在のパートナーの同意なしに、ネットストーキングを行っていたことがある日本の恋愛経験者は、約10人に1人以上(12%)と、一定数存在していることも明らかに。
ストーキングの最も多かった手段は、「現・元パートナーのスマホを見て、メッセージ(メールやDMを含む)、電話履歴、写真を確認(5%)」、「現・元パートナーのパソコン・スマホ・タブレットなどで検索履歴を確認(4%)」。また、「GPSアプリで現・元パートナーの位置情報を追跡している(4%)」と認める人もいた。
世界10か国全体においては、37%が元・現在のパートナーの同意なしに、ネットストーキングを行った経験があり、最も多かった手段は「元・現パートナーのスマホでメッセージ(DM含む)、メール、電話、写真の確認(17%)」、次いで「元・現パートナーのパソコン・スマホ・タブレットなどでの検索履歴の確認(13%)」となった。
中には、「知っているパスワードを使い、相手のデバイスやアカウントへアクセス(9%)」、「GPSアプリで居場所を把握している(9%)」、「メッセージ(DM含む)、メール、電話、写真などを監視するアプリを使用(7%)」といったオンラインでの深いストーカー行為や、「SNS上で相手の行動をチェックするために偽のアカウントを作成(8%)」、「マッチングアプリで偽のプロフィールを作成し、相手プロフィールを持っているかどうかを確認(6%)」といった、偽アカウントを利用したストーカー行為も見受けられた。
こうした結果から、アプリ、SNSなど、オンライン上でもストーカー対策を行う必要性が伺える。
ネットストーキングの手段として、「ストーカーウェア」と呼ばれるアプリによる監視行為が挙げられる。
ストーカーウェアとは監視対象者のスマホにインストールすることで、スマホに記録される位置情報や映像・音声・メッセージなどのデータを監視を行っている人へ送信するアプリだ。その認知度は世界10か国で大きく分かれる結果となった。
ストーカーウェアに関する日本人の認知度は、「知っている」が8%、「名前だけ聞いたことがある」が21%、「聞いたことがない」が71%と、「知っている」と回答したのは、フランスの7%に次いで2番目に少ないという結果に。
同じく、「聞いたことがない」と回答したボリュームについても、フランスの72%に次いで2番目の多さとなり、世界10か国の中でも、ストーカーウェアの認知度が低いことが明らかになった。
一方インドでは、「知っている」と回答したのは43%、「聞いたことがない」と回答したのは24%という結果となり、世界10か国の中で最もストーカーウェアの認知度が高かった。
こうした結果から、ネットストーキングを未然に防ぐために、ストーカーウェアという存在を知り、その上で適切な対策を行う必要があると考えられる。
アプリを利用したネットストーキングの実態
世界全体では、1ヶ月でおおよそ25万台のAndroid端末に6,000種類以上のストーカーウェア等がインストールされており、多くの端末は複数のストーカーウェアがインストールされていた。
日本においては、1年間(2021/5/19~2022/4/20)に10万台以上のAndroidスマホに「ストーカー行為に利用可能なアプリ」がインストールされていることが検知されている。次のようなアプリはストーカー行為に悪用される可能性があるので注意が必要だ。
・通話録音アプリ
・位置情報追跡(GPS)アプリ
・デバイスから写真等をバックアップし、認証情報を持つ人がクラウド上でアクセスできるアプリ
・スマホを監視カメラにするアプリ
・SNS監視アプリ
・スマホのSMSメッセージ、通知、通話、カメラとマイク、画面をコンピュータから監視できるアプリ
・スマホの写真やビデオ、位置情報、通知などにリモートでアクセスできるように設定できる自動化アプリ
アプリによるネットストーキング被害を防ぐ7カ条
「ストーカー行為に活用される可能性があるアプリ」が自分のスマホにインストールされているのではないかと心配している人のために対策も紹介しよう。
1.画面はロック。パスコード/パスワードは安全に管理を。
誰かが物理的にスマホにアクセスをして、アプリを入れる可能性がある。パスコードは安全に管理し、誰にも知られないようにすること。SNSなどのパスワードも知られないように注意しよう。
2.二段階認証の設定を。
SNSなどのアカウントを保護するために、二段階認証を設定し、パスワード以外の情報も要求する設定にすること。
3.アプリは公式アプリストアからインストール。
サイバー犯罪者などが作成した悪質なサイトのリンクをクリックすることで、スマホにストーカーアプリがインストールされてしまうケースがある。公式のアプリストア等以外からのソフトウェア・アプリのインストールには注意しよう。
4.アプリ一覧をチェック。ダウンロードした覚えのないアプリは削除。
使用しているデバイスにストーカーアプリがインストールされていないことを確認するには、システム設定でデバイス上にあるすべてのアプリの一覧を定期的にチェックし、覚えのないものが追加されていないことを確認することが重要だ。 見覚えのないアプリがあれば削除すること。
5.スマホの充電減少スピードをチェック。
スマホの充電の減りを確認することも重要だ。バッテリー残量が大幅に減少する場合は、監視アプリがバッテリーを消耗しているサインかもしれない。
6.アプリのアクセス権限を確認。
各アプリにおける、位置情報、連絡先リスト、通話、メール、カメラ、マイク、画像ギャラリーへのアクセス権限を確認しよう。アプリがアクセスをする必要がない場合は、アクセス権限を削除すること。(不用意にアプリからデバイスのカメラやマイクや個人情報などにアクセスすることを防げる)
7.セキュリティソフトのインストールを。
セキュリティソフトをインストールして、アプリに不審な動きがないかチェックすることで、セキュリティ対策を強化することができる。
構成/Ara