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クラフトビールブームを牽引するキリン「SPRING VALLEY」第2弾に白ビールが選ばれた理由

2022.08.16

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

ビールが苦手な人でも好きになる!? 「SPRING VALLEY シルクエール<白>」

キリンビールのクラフトビールブランド「SPRING VALLEY」から、「豊潤<496>」に続く缶商品の「SPRING VALLEY シルクエール<白>」が9月13日より新発売される。

シルクエールは小麦を使ったエールビール「ウィートエール」というビアスタイル。白ビールというカテゴリーでも知られており、一般のビールは大麦麦芽を使うのに対し、白ビールは原料に小麦または小麦麦芽を多く使用する。

大麦と違い小麦は穀皮がないため、穀皮由来の味や香りといった麦らしさがないのですっきりしたタイプのビールに仕上がる。麦の主張が強くない分、酵母やホップといった他の原料の特徴が出やすくなる。また、小麦はたんぱく質を多く含むため、美しくクリーミーな泡ができるのも特徴。

「白ビールは南ドイツで飲まれるヴァイツェン、ベルギーのヒューガルデン村で有名なベルジャンホワイトなど、さまざまなタイプがあります。我々が目指したのは小麦をたくさん使うことで出てくる特徴を活かした、オリジナルの白ビール。

シルクエールは小麦の淡い液色で、無濾過由来の濁りが特徴です。ニュージーランド産の希少ホップ『ネルソンソーヴィンホップ』を一部使用して、白ワインを想起させるようなかぐわしさと上面発酵のエールと相まった華やかな香りがあります。無濾過なのでなめらかな口あたりで飲みやすさがあり、ビールが苦手な人にも楽しんでいただけます」(キリンビール マスターブリュワー 田山智広氏)

注ぐときは最初に泡だけを半分ほど出して空寸を作っておく。グラスはステム付きのゴブレットのようなたっぷりとしたグラスがおすすめで、ワインのようにスワリングしながら香りを立たせ空寸に閉じ込め香りを楽しむ。

香りを楽しんだ後、液をできるだけ炭酸ガスを逃さないようグラスに沿って注ぎ、あまり泡を立てないようにする。冷やし過ぎない方がより香りが出てくるので、常温のグラスを用意。時間が経ち、液温が少し上がった状態になると、よりおいしさと香りが楽しめる。

シルクエールのペアリングは白ワインに合うものをとは相性が良く、魚、野菜の料理、塩やレモンといったあっさりした味付けの料理に合わせやすい。

【AJの読み】クラフトビールの多様性を広く認知させた「SPRING VALLEY」ブランド第二弾

クラフトビールの始まりはアメリカで1960年代半ばに誕生したとされる。さまざまな地域でクラフトビールが造られるようになり、誕生から30年後にはアメリカのビール市場のシェア1%になった。現在は金額ベースで2割を超えるボリュームで、2021年段階でアメリカ全土のクラフトブルワリーは9000ほどあるといわれている。

日本では1994年の酒税法改正によりビール製造免許基準が見直され、年間最低製造数量が2000KL以上から60KL以上になり、中小規模のビール醸造が解禁となった。日本の第1号クラフトビールである「エチゴビール」をはじめ、各地で「地ビール」が誕生。日本のクラフトブルワリーは年々増加し、現在は47都道府県すべてに存在し、2022年3月末時点で578 ケ所(きた産業調べ)に上る。

日本のビールはラガータイプのピルスナーが99%を占め、ビールの味といえばピルスナーと思っている人も多く、苦くて飲みにくいという先入観が若い世代のビール離れの一因にもなっている。

キリンはヤッホーブルーイングやブルックリン・ブルワリーとの資本業務提携や、醸造所併設のビアレストラン「スプリングバレーブルワリー」を展開し、2021年には缶商品の「SPRING VALLEY 豊潤 <496>」を発売。クラフトビールの間口を広げる取り組みを行ってきた。

2021年にクラフトビール市場は約 1.6 倍に成長し、増分のおよそ8割を「SPRING VALLEY 豊潤<496>」が占め、クラフトビールでも大手ビールメーカーの威力を見せつけた形となった。

この数年、筆者が普段飲んでいるビールは100%クラフトビール。好みの銘柄を箱買いでストックしながら、飲食店のタップで飲んだクラフトをチェックして、お気に入りを見つけると、缶、もしくは瓶製品をネット買いするというパターン。もはや宝探しのような感覚で、飲み比べているとビールの多様性を実感することができる。

白ビールは香りが楽しめて飲みやすい味わいなので、食前酒のような感覚で1杯目に注文することが多い。シルクエールも試飲してみた。白濁した液色、ふんわりとやわらかな香りと白ビールらしい佇まいで、おいしく飲めることに間違いはないのだが、バナナのようなフルーティーな甘い香りのヴァイツェンや、柑橘さやスパイシーな風味が楽しめるベルジャンホワイトは飲んでいて「らしさ」を強く感じるのに対し、シルクエールはそこまで強い個性を感じず中庸といった印象だった。

小規模のブルワリーとは全く異なる規模のロット数で展開する大手メーカーは、クラフトビールを全く知らない人にも受け入れられるような、マス向けの味を設計しなくてはいけないという事情も考慮しなくてはいけないが、オリジナル白ビールのシルクエールらしい個性がもう少し出てくれればと感じた。

北陸新幹線の車内で販売している、石川県のヴァイツェンタイプの地ビール「グランアグリ 小麦のビール」を頼んだとき、販売員から「“普通”のビールとは違うビールですが大丈夫ですか?」と念押しされて驚いた経験がある。それだけ普通のビール=ピルスナーしか飲んだことがない人が多いということだろう。

「世の中にはこんなにもたくさんおいしいビールがある」という、クラフトビールの多様性を認知拡大させるためには、多く流通する大手ビールメーカーのクラフトビールで啓蒙していくのは有効だと思う。そのためにも「SPRING VALLEY」ブランドには個性的なビールを含めたラインナップを増やして欲しいという希望を持っている。

文/阿部純子

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