コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた時、最も身近なエンタメツールであるテレビの魅力を再認識した人は多いに違いない。
こうした状況の中、ユーザーのテレビの楽しみ方はどう変化したのだろうか?
GfK Japanはこのほど、テレビ購入者を対象にした「購買行動や使用実態に関するインターネット調査」の結果を発表した。
全ての世代で動画配信サービスの視聴が増加
テレビの活用用途を、コロナ以前の2019年調査結果と比較すると、「地上波・BS・CSの視聴・録画」が88%から77%に減少、一方で「動画配信サービスの視聴(無料・有料含む)」が31%から43%に増加した(図1)。
年代別では全ての世代において同様の傾向が見られた。地上波・BS・CSなどのテレビ放送の視聴の減少は20代など若年層で顕著だった。動画配信サービスの視聴は30代が50%と最も多かったが、コロナ以前との比較では40代以上で増加幅が大きく、15%ポイントほど上昇した。
新型コロナウイルス感染を避けるため自宅で過ごす時間が増えたことで、これまで動画配信サービスを利用してこなかった層においても、新たに利用を開始するきっかけになったとみられる。
動画配信サービス利用者の60%が50インチ以上のテレビを選択
活用用途で「動画配信サービスの視聴(無料・有料含む)」と回答した人の購入テレビの画面サイズを見ると、60%が50インチ以上の製品を選択していることがわかった(図2)。
これは「地上波・BS・CSの視聴・録画」と回答した人の50インチ以上の購入率49%と比較して11%ポイント高く、テレビで動画配信サービスを視聴する人はより大型の製品を購入する傾向があると言えるだろう。
買い替えにはこれまでより大きい画面サイズを選択する傾向
テレビの販売市場では年々大画面化が進んでいる。本調査において購入テレビの画面サイズを聞いたところ、最も多かったのは55インチで21%であった。
購入前に使用していたテレビと購入したテレビの画面サイズの傾向をみると、購入前に使用していたテレビよりも1クラス大きい画面サイズの製品を購入する傾向が見られた。
33~45型のテレビを使用していた人は55インチが27%で最も多く、46~52型を使用していた人では55インチが最も多いが65インチ購入者も17%にのぼった(図3)。
内閣府の「消費動向調査」によるとテレビの平均使用年数は10.4年(2022年3月調査、二人以上の世帯)となっている。10年前のテレビ販売市場では32インチが主流で、55インチ以上の製品は販売数量構成比でわずか3%にとどまっていた。
この10年でテレビの画面サイズのトレンドは大きく変化したと言える。また、新型コロナウイルスをきっかけとして動画配信サービスを新たに利用した人もいるように、近年テレビの視聴スタイルも多様化している。
「画面の大きさ」や「画質」は変わらず購入時の重要ポイントだが、それぞれの視聴スタイルにより適したサイズや画質が求められるようになっていると考えられる。
<調査概要>
調査主体:GfK・インテージ
調査実施機関:インテージ
調査対象:
2019年5月実査(2019年1月~4月における家電製品購入者、サンプルサイズ約19,200名)
2022年5月実査(2022年1月~4月における家電製品購入者、サンプルサイズ約16,900名)
調査方法:インターネット調査
回答者属性: 性、年代、居住都道府県、職業、世帯年収、家族構成、他
調査対象分類:テレビ、BDレコーダー、携帯音楽プレーヤー、交換式カメラ、コンパクトカメラ、スマートフォン、アクションカメラ、ヘッドホン、スピーカー
調査内容:メーカー名、モデル名、比較検討メーカー名、購入前使用メーカー、購入価格帯、購入重視点、活用用途、他
出典元:GfK Japan
構成/こじへい