福岡県の沖合にある1周5.4キロの小さな島「相島」。
ここは2013年アメリカのCNNで「世界6大猫スポット」に選ばれ、一躍有名になった猫の楽園だ。今回は、この「猫の楽園」へ、小旅行に出かけてみた。
20分のフェリーの旅
福岡県新宮漁港から北西約7.5キロの沖合にある島「相島」。フェリーで約20分ほどで気軽に島気分が味わえる場所で、島内には国の指定史跡「相島積石塚群」や、高さ20メートルの大きなアーチ型の海食洞「鼻栗瀬」など、観光スポットが点在しているが、一番の魅力は人懐っこいかわいい猫たちだろう。
どこの猫島よりも人懐っこい!?
家で2匹の猫と暮らす筆者は、生粋の猫好き。過去にいろいろな猫スポットを訪れたことがあるが、この相島は今回で2回目。1度目は冬だったが、寒い中にも元気よく猫たちが出迎えてくれた。しかし、今回は真夏。この酷暑の中、猫たちはウエルカムしてくれるのか、少し心配だった。
以前来た時、フェリーで相島に到着するやいなや、熱烈に猫の歓迎を受けたが、残念ながら今回のお出迎えは0匹。
やはり、暑さに猫たちの姿が見当たらないな~と思っていたが、ベンチや車の下を覗くと“溶けている猫”たちがたくさん!よく見ると太陽の光を避け、日影に逃げている猫たちがあちらこちらでゴロゴロしていた。
「これだけ溶けている猫との交流は今回は無理かな?」と思っていたが、次々と近寄ってきてくれ…。
あっという間に、熱烈歓迎モード。
今回は、猫じゃらしを持参してやってきたが、そのおかげもあるようで、暑いながらも猫たちは無邪気にオモチャで遊んでくれた。
涼しい場所は猫が知っている
筆者が訪れた日の温度は33度。猫だけでなく人も出るくことを避けるほどの猛暑日だったため、猫たちはみんな涼しい場所へ避難。
よって、猫のいる場所を探せば、おのずと風が通る涼しいスポット。
玄人の猫は、クーラーが入った涼しいフェリーの待合室でくつろいでいた。一応、フェリー乗り場の待合室入り口には「猫禁止」となっているが、自動ドアの入り口前に猫が待ち伏せしており、人とともに猫も一緒に入ってくる。
そんな努力をして入ってきた猫を追い出すことはできない。窓辺に寛いでいたり、フェリー待ちをしている人の膝の上に寝ていたりと、各々クーラーの「涼」を堪能していた。
猫探しとともに島内のゴミ拾い
フェリーの待合室横にある「島の駅あいのしま」では、自転車の貸し出しやお土産が販売されているが、「島内清掃グッズ」も用意されており、「猫探しととにもゴミを拾いをしてきます!」と言えば、ゴミ拾い用のビニール袋と紙トングが貰える。
今回筆者も猫を探しながら、意外と落ちているタバコの吸い殻やペットボトルを拾いながらぷらぷら。偽善的かもしれないが、少しでも島がきれいになれば、人だけでなく猫にとっても喜ばれそうな気になった。
「サクラ猫」が増えた猫の楽園
以前来たときは、ケガや痩せている猫が多く、野性味あふれる猫たちをよく見かけたが、その頃に比べると猫たちが元気で健康になっていることを感じた。しかも、ほとんど出歩いている猫たちは、不妊手術済みの印として耳の先端をV字型カットされた猫たちばかり。
この不妊手術済みの猫は、カットした耳のカタチがサクラの花びらに似ていることから「サクラ猫」と呼ばれているが、これは野良猫の無料不妊手術に取り組む「公益財団法人どうぶつ基金」と地元ボランティアが協力して行った活動の結果だった。
「猫島」として有名になった相島だったが、島内では未手術の野良猫が繁殖して増え続け、決して猫にとって楽園ではない状態だったという。その状況を改善すべき行われたのが、この「サクラ猫」を増やす活動だった。
4日間で182匹の猫を捕獲。そのうち150匹を島内で手術。捕獲された猫の雄が73匹、メスが77匹だったが、メスの61%は妊娠していたとのこと。
その4日間以外でも、以前行った「どうぶつ基金の無料不妊手術」や「地元愛護団体による島外不妊手術」によって累計233匹が「サクラ猫」になり、ほぼすべての野良猫が「サクラ猫」になったとのこと。
これにより、猫の夜泣きやケンカ、スプレー行為が減り、今まで以上に人と猫の関係もよくなったという。また、猫は不妊手術とともに、ワクチンやケガの治療も行われ、名実ともに「猫の楽園」になった。
熱烈歓迎してくれる猫たちに会いに行こう
人と良好な関係を築きながら、のびのび島ライフを楽しんでいる猫たちは、本当にフレンドリー。
夕方のフェリーは、暑さが少し落ち着いたので、フェリーまで見送ってくる猫たちも!暑くて島の裏側まではいけなかったが、フェリーの上からは相島の観光スポット海食洞の「鼻栗瀬」も眺められる。
本土から20分ほどだが、十分島ライフが楽しめる「相島」。ぜひ、熱烈歓迎してくれる「サクラ猫」たちに会いに行ってみては。
文/舟津カナ