KDDIは携帯電話向けの通信サービス「3G(3rd Generation)」を2022年3月31日にサービス終了する事となりました。
ただし厳密には「au」の場合は「CDMA 1X WIN(その後改名にて“au 3G”)」のサービスを指すので要注意です。ちなみにiPhone 5/5s/5cは4G LTEには対応しているものの、VoLTE(4G LTEを利用した音声通話サービス)非対応のため、3Gサービス終了に伴い、auでは利用できなくなってしまったのは残念です。
ちなみにドコモやソフトバンクも今後、3Gを終了する予定になっています。
3Gは4Gや5Gに比べると通信速度を上げにくいこともあり、通信量が増えた今となっては時代遅れのネットワークになってしまいました。
しかし、まだまだ「3Gケータイ」は侮れません。丈夫で小型軽量な長所は今も健在です。当時の技術力を最大限に生かしたモデルが多数、ラインアップしていたからです。
3Gケータイの時代が終わりを迎える中、あえて一陣の旋風を巻き起こした特徴的な端末の紹介で、じっくり「あの頃」を懐かしんでいただきたいと思います。
それでは、世界初地上波デジタルワンセグ対応ケータイau「W33SA」について解説していきましょう。
au「W33SA」は世界初のワンセグが見られるケータイ
このau「W33SA」。2005年12月16日にKDDIのブランドであるauから発売されました。
ワンセグって何?
ワンセグとは、携帯電話やカーナビなどで受信可能な地上デジタルテレビ放送の通称です。2006年4月1日に開始されました。
ワンセグの電波は地上波デジタル放送(フルセグ)の電波と同時に送信されているので、フルセグの入る場所ではワンセグも見られますし、フルセグの電波が弱い場所でも、ある程度はワンセグであれば視聴可能なのがメリットです。
またアナログTV時代のチューナーより小型軽量に作れる様になったので、その後、カーナビのみならず小型デジタルデバイスに数多く搭載されることになりました。
そんな大人気のワンセグ携帯も、ある時期よりぱったりとその系譜が途絶えることになるのですが……。理由は後述します。
ともあれ、ワンセグ携帯としての栄えある世界初第一号機が……au「W33SA」なのです!
au「W33SA」ってどんな機種?
au「W33SA」は世界初のワンセグ対応端末であることは先述いたしましたが、まだ当時はアナログTV放送が放送されており、アナログ方法も受信可能だったのは特筆すべきことです。
また、先ほど気がついたのですが、au「W33SA」の発売が2005年12月16日、ワンセグの開始日が2006年4月1日。この4か月間は首都圏などで行われている試験放送の受信のみが可能であったものの、発売日はなんと本放送前でした。
当時au「W33SA」は「ダブル・テレビケータイ」として大いに話題になりましたが、この時期はすでにデジアナ放送過渡期で、その後完全にアナログ放送が終了してしまいました。残念です。
オーディオ機能は白眉で、Spatializerテクノロジー(立体音響技術)を再現するステレオスピーカーの搭載により、幅広く豊かな3Dサウンドを心ゆくまで堪能することができました。しかもイコライザー付き。テレビが見られるなら、FM放送も聴きたいよね……ということで、もちろん? FMラジオのチューナーも搭載していたのはさすがです。これだけでも音に大変こだわりを持った設計思想が見てとれますよね。
そして、2007年以降は数多くの3Gケータイがワンセグチューナーを搭載いたしましたが、やがて動画配信サービスが台頭してきたことで、徐々にワンセグ機能は姿を消していきました。
しかし、今後また大災害が発生した際に情報収集する手段を、我々は自ら手放してしまってもよいのでしょうか? 災害情報だけではなく、被災して心寂しい中、ゆかいで楽しいテレビ番組を見られることで、どれだけ心が慰められ、癒されることでしょうか。
そんな人たちの心に寄り添う「ワンセグケータイ(スマホでももちろんいいです)」の復権を、心待ちにしている今日この頃です。
au「W33SA」の主な仕様
製造:三洋電機
発売日:2005年12月16日
サイズ 105×50×27 mm
質量:150g
カラーバリエーション:アドバンスブラウン・プログレスシルバー
参考サイト
https://time-space.kddi.com/ketaizukan/2005/1.html
文/FURU