小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

上位機種並みのパフォーマンスで5万円台前半は買い!使ってわかったGoogle「Pixel 6a」驚異のコスパ

2022.08.13

■連載/石野純也のガチレビュー

 グーグル純正のスマートフォンとしておなじみのPixelシリーズに、最新モデルが登場した。新モデルは「Pixel 6a」。端末名に「a」のつくシリーズは、いわゆる廉価版。他社のスマホで言えば、価格帯はミッドレンジモデルに近い。Pixel 6aも、グーグル直販価格は5万3900円で、ハイエンドモデルと比べると大幅に安い。グーグルが昨年、フラッグシップモデルとして日本に投入した「Pixel 6」や「Pixel 6 Pro」と比べても割安だ。

 一方で、その性能がミッドレンジかというと、必ずしもそうではない。これまでのaシリーズとは異なり、Pixel 6aはチップセットが上位モデルと共通しているからだ。Pixel 6aに採用されているのは、グーグルが独自に設計した「Tensor」。これは、同社が得意とするAIの処理能力を特に向上させたチップセットで、クアルコムのSnapdragonで言うと最上位の8シリーズに相当する性能を持つ。価格帯はミッドレンジに近いが、処理能力は上位モデル相当というわけだ。

 とはいえ、その価格ゆえにメモリやカメラなど、上位モデルからそぎ落とされている部分もある。こうした点が、使い勝手にどう影響するのかを、購入前に把握しておきたい向きも多いだろう。筆者は、発売前から1か月ほど同モデルを使い、その実力をチェックしてきた。ここでは、そのレビューをお届けしよう。

グーグルスマホの最新モデルとなるPixel 6a。直販だけでなく、ソフトバンクやKDDIも販売する

上位モデルに近いデザインながら、持ちやすさは向上

 Pixel 6aは、これまでのaシリーズから特徴が大きく変わっている。先代の「Pixel 5a」までは、どちらかと言えばカメラが重視されており、上位モデルとほぼ同じ絵を撮れるのが売りだった。代わりに、本体のデザインや素材は明らかにグレードが落ちており、チープさもあった。チップセットはその時々で変わっていたが、上位モデルより性能が抑えられる傾向があった。これに対し、Pixel 6aは、フラッグシップモデルであるPixel 6やPixel 6 Proから、デザインのテイストをしっかり受け継いでいる。

背面デザインのテイストは、上位モデルゆずりだ

フレームの質感も高く、高級感があるデザイン

 その象徴と言えるのが、背面のデザイン。素材は樹脂だがその光沢感やフレームの質感は、上位モデル譲り。上部を一直線に横切るカメラバーも、Pixel 6や6 Proと共通のデザインだ。このカメラバーを境に、上部と下部でカラーリングのトーンが異なっているのもPixelらしい遊び心だろう。試用したチャコールの場合、カメラバーより下が黒に近い濃いグレー、上が薄いグレーに色分けされている。

カメラバーを挟んで上下のカラーリングが異なる。チャコールの場合、上が薄いグレー、下が濃いグレーになる

 背面がすっきりしているのは、指紋センサーをディスプレイ内部に移したからだ。先代にあたるPixel 5aまでは、凹みのある指紋センサーを背面に配置していた。Pixel 6や6 Proと同じ画面内指紋センサーを採用することで、前面のデザインも統一できたというわけだ。ただし、機能的には少々不満もある。上位モデルと同様、指紋を認証するのに時間がかかることだ。

 セキュリティの強度を高める都合上、時間がかかるのはやむを得ないのかもしれないが、同じミッドレンジモデルでも、他メーカーの端末はもっとロックが解除されるまでの速度が速い。こうした端末と比べると、やはりPixel 6aの指紋認証はワンテンポ遅く感じてしまう。画面内指紋センサーは、指を置く場所が狭く、凹みがないため目視しなければならないのも難点の1つ。超音波センサーを使えば、検知できるエリアを広げたり、速度を上げたりすることも可能だが、Pixel 6aの価格帯では採用が難しかったとみられる。

指紋センサーは、画面内に。ボディにセンサーを載せなくて済むため、デザイン上はプラスになるが、反応速度がやや遅いのは難点

 ディスプレイは、6.1インチ。6.7インチのPixel 6 Proより小さいのはもちろん、6.4インチのPixel 6よりも一回りコンパクトで、片手でも操作がしやすい。映像を表示した際の迫力が落ちてしまうトレードオフはあるものの、持ち運んでサッと使えることを重視する人にはうれしいサイズ感と言えるだろう。この点で言えば、Pixel 6シリーズ3機種の中で、もっとも優秀。廉価モデルではあるが、コンパクトさを取る意味で、あえてPixel 6aを選ぶのもありだ。

Pixel 6シリーズの中でもっともコンパクト。片手での操作もしやすい

Tensorによって実現した高い処理能力、パフォーマンスは上位モデル並み

 そう感じるのは、Pixel 6aの操作感が上位モデルと比べても、まったく劣っていないからだろう。チップセットが、Pixel 6やPixel 6 Proに搭載されているのと同じTensorだからだ。AIの処理を最適化するよう設計されたチップセットだが、CPU、GPUの性能も高く、レスポンスは良好。性能を抑えたミッドレンジモデルにありがちな、引っかかるような動きは一切ない。ベンチマークアプリ「Geekbench 5」で測定したスコアも、上位モデルとほぼ同等だ。

Geekbench 5で計測したベンチマークスコア。CPU性能は、上位モデルとほぼ同じだ

 スペック的には、メモリ(RAM)が6GBに抑えられており、上位モデルであるPixel 6の8GBや、Pixel 6 Proの12GBより少ない。ただ、アプリを切り替える時にもたつきがあるかと言うと、そんなこともなく、あまりここに性能差があるようには感じられない。利用するアプリのサイズにもよるところはあるが、普段使いには十分なメモリ容量と言えるだろう。ストレージも128GB内蔵されており、動画などを大量に保存するには向かないが、写真や音楽、アプリですぐにいっぱいになってしまう心配も少ない。

ストレージは128GB。必要十分な量だが、動画の撮影が多いと少々物足りない印象も

 一方で、素早くスクロールしている際に、少し残像感が目立つことがある。これは、おそらくディスプレイの違いによるところが大きい。上位モデルのPixel 6は最大90Hz、最上位モデルのPixel 6 Proは最大120Hzの「スムーズディスプレイ」に対応しているのに対し、Pixel 6aは60Hzどまり。リフレッシュレートが低いこともあり、高速な操作にディスプレイの表示が完全に追従できていない可能性が高い。Andoridスマホは、ミッドレンジモデルでも90Hzや120Hzに対応したモデルが増えているため、この点は少々残念だ。

スムーズディスプレイに対応していないため、スクロール時に、やや残像感が目立つことも

 とはいえ、AIを生かした機能は上位モデルと同等。デバイス上で完結する音声認識による文字入力や、動画などを視聴している際に表示できる字幕などの機能は、そのまま利用できる。動画視聴時に表示した字幕は、リアルタイムで翻訳をかけられるため、外国語が苦手な人でも内容を把握するのに役立つだろう。もちろん、レコーダーアプリは、日本語での文字起こしに対応している。

デバイス上で処理しているため、音声入力が非常に速くて実用的。画面をタッチせず、スラスラと文章を書ける

 いずれも、データをクラウド側に送って処理するのではなく、Tensorの力を生かし、デバイス上で処理を完結させているのが特徴。機能的にはクラウドでも同様のことは実現可能だが、通信不要で利用できるため、レスポンスがいい。これに加え、データが外部に送られないことで、プライバシーの保護にもつながる。Tensorを採用した結果として、グーグルが注力するAI関連機能を余すところなく利用できるのは、Pixel 6aの大きな魅力と言えるだろう。

カメラのスペックはAIでカバー、日本仕様も満たした高コスパな1台

 一方で、その価格ゆえに、どこかは必ずPixel6や6 Proからダウングレードする必要も出てくる。Pixel 6aの場合、その1つがカメラだ。スペックを見ると、確かにカメラは上位モデルより性能が落ちる。メインカメラにピクセルピッチが1.2μmの5000万画素センサーを採用したPixel 6、6 Proに対し、Pixel 6aのカメラは1.4μmの1220万画素にとどまる。一見、ピクセルピッチは0.2μmほど大きくなっているようにも思えるが、5000万画素のセンサーは4つの画素を1つに結合するピクセルビニングを利用できるため、やはり感度は落ちてしまう。

カメラは超広角と広角の2つ。どちらも画素数は1220万画素で、メインカメラは上位モデルより一段落ちる

 あえてナイトモードをオフにして、真っ暗な場所で撮り比べてみると、その違いがわかりやすい。かろうじて被写体の輪郭を捉えているPixel 6 Proで撮った写真と比べると、Pixel 6aのそれは、破綻している部分が目立ち、ノイズも多く出ている。ただし、ここで“あえて”と書いたことに注目してほしい。ナイトモードを使うと、この差が一気に埋まってくるからだ。実験的なシチュエーションでなく、実利用環境であればその差はわかりづらい。AIの処理でスペックを底上げすることで、上位モデルと仕上がりを近づけているといえるだろう。

上がPixel 6 Pro、下がPixel 6a。ナイトモードをオフにすると、センサーの差分が如実に出る

ナイトモードを使うと、夜景はこれまでのPixelと同様、きれいに撮れる。ノイズが少なく、HDRもしっかり効いている

 望遠カメラを備えていないため、Pixel 6 Proと比べるとズームの最大倍率は低くなるものの、Pixel 6とはほぼ同レベルの超解像ズームを利用できる。これも、AIで画像の劣化を防ぐ技術で、Pixelの実力がいかんなく発揮されている部分だ。もちろん、ホワイトバランスが自然で、人物でもご飯でも風景でも、きちんと撮れるバランスのよさは健在。ミッドレンジモデルの価格帯としては、かなり優秀なカメラと言えるだろう。

最大7倍までの超解像ズームに対応。AIの力で、劣化を最小限に抑えている

料理の写真はホワイトバランスが適切で、発色もいい

 もちろん、これまで好評だった日本市場向けのカスタマイズもしっかり施されている。おサイフケータイに対応していることに加え、防水・防じん性能はIP67に準拠。通信機能も5GやWi-Fi 6に対応しており、KDDIやソフトバンクであれば4Gから転用した周波数帯も余すことなく利用できる。ドコモのn79(4.5GHz帯)に非対応なのは残念だが、ほかのキャリアであれば5Gで通信できる場面は多く、Webの表示や動画の読み込み、アプリのダウンロードなどが高速だ。

おサイフケータイに対応しており、モバイルSuicaやiD、QUICPayなどのサービスを利用可能

 上位モデルとの差分は非常に少ないPixel 6aだが、価格は冒頭で挙げたとおり、5万3900円と、他社で言えばミッドレンジモデル並みだ。キャリアによっては、新規契約や番号ポータビリティで、さらに価格が下がることもある。こうした点を加味すると、Pixel 6aは群を抜いたコストパフォーマンスの高さを誇る端末だと評価できる。セキュリティアップデートも5年間保障されており、安心して購入できる。他社のミッドレンジモデルはもちろん、ハイエンドモデルにとっても強力なライバルと言えそうだ。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年3月15日(金) 発売

DIME最新号はデザイン一新!大特集は「東京ディズニーリゾート&USJテーマパークの裏側」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。