エアコン室外機は40度超え
猛暑に加えて、電力供給のひっ迫、電気代の上昇で気になるのが、エアコンの節電対策。室内機のフィルター清掃は定番だが、意外に見逃されているのが、室外機への直射日光である。「よしず」やグリーンカーテンを使う方法もあるが、今回は置くだけで設置が完了するお手軽マグネット式カバーを使って、実際どのぐらい温度が違うのか、サーモグラフィーを使って検証してみた。
エアコンメーカー「ダイキン」によれば、熱交換機能を果たしている室外機が太陽熱などで暖められると、室外機は室内機から送られてきた空気の熱を捨てられなくなり、多くの電気を使うことになるという。8月上旬に測定してみると室外機の天板は46度から50度にも達していた。この表面温度を下げられれば省エネに貢献できるに違いない。
室外機カバーを選ぶ3つのポイント
それではどんなタイプの室外機カバーを選べばいいのだろう。安いものは100円均一ショップでも入手できる。まず、室外機の天板のみをカバーして、前後と側面を覆わないこと。天板以外の面をカバーすると室外機の周りの温度が上昇するため逆効果になる。次に室外機の天板よりも大きめのサイズを選ぶこと。大きければカットして使えるが、小さすぎるとカバーできない部分ができてしまう。3番目はどこから日光が当たっているか。一番、長い時間、日光が当たる面が日陰になるようにカバーを設置する必要がある。拙宅の場合は前面に日が当たるため、ひさしの長いタイプを選んだ。
Amazonで山善「アルミエアコンガード室外機用」を購入、1973円だった
アルミ蒸着シートに厚さ1.5cmの発泡ポリエチレンを採用、下の穴に固定用のヒモをとおす
裏面には両面テープで強力マグネットが貼られている。少し高さがあり天板の放熱を妨げない
ひさしを120度で固定するためのパーツ。これを差し込むだけで角度を固定できる
マグネットの位置が合わないので、エアコン室外機に現物合わせして両面テープを貼り直した
長すぎたのでカバー自体もカットして室外機にピッタリのサイズに調整した
カバー有り無しで表面温度に5度の差が出た
ベランダの日向の温度38.5度の日に、サーモグラフィーを使って室外機の温度を測定した。エアコンガードありの状態では室外機が日陰になっており、その温度は36.8度だが、ガードを外して5分ほど経つと42.2度まで上昇した。別の日にはガードなしで室外機の温度は46.4度になった。手で触ってみてもその差は歴然、これだけ違えば冷房効率にも差が出るに違いない。
左がエアコンガードありで室外機の色は低温を示す青、右はガードなしで天板が赤く高温になっていることが分かる
別の日のエアコンガードなしの室外機の表面温度、45度から46度まで上昇していた
マグネット式は風に弱い!
エアコンガードに効果ありと感じた私は、別の場所に設置した室外機にもガードを追加。こちらは建物の西側なので日当たりが良く、ガードありで42.8度、となりのガードなしの室外機は50.2度と7.4度の差が出た。
しかし、このエアコンガードは風に弱く、突風が吹くと飛ばされる。この事はメーカーも把握しているようで、飛ばされ防止の穴があり、これを利用してヒモで室外機とガードを結びつけることを推奨している。ヒモなしだと軽いのでガードが風で飛ばされ行方不明になってしまうのだ。これが嫌な人は、ベルトで固定するタイプのガードの方がいいかもしれない。また、室外機の天板が樹脂製だと取り付け不可能なので事前の確認が必要だ。
建物西側に置いた室外機の場合、左がガードあり、右がガードなしの室外機の温度を測定している
排水ホースの詰まりに注意
エアコン室外機にエアコンガードを付けるついでに、近くにある室内機の排水ホースに防虫ドレンキャップを付けることをオススメする。このホースは室内機で作られた水を屋外に捨てるためのホースで、ここからゴキブリが屋内に侵入する可能性がある。また、大雨などで土やほこりがホースに入ることがあり、これが冷房効率を下げたり、最悪、故障の原因になる。
拙宅でも調べるとベランダに設置した2台の室外機のいずれも泥や髪の毛が入っていたので、これはまずいと思い、ドレンキャップをはめ込んだ。これは100円均一ショップで購入しても問題ないだろう。
2個入り250円のTASCO「防虫ドレンキャップ」を使用した
排水ホースに差し込むだけ。直径が合わない時はカットして使う。φ14mm、φ16mm対応
写真・文/ゴン川野