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カジノディーラーの年収ってどれくらい?

2022.08.20

【短期集中連載:Vol.3】カジノ&ギャンブルディーラーの年収はどれくらい?ディーラーチップの必要性

ナマステ。カジノライターのかじのみみです。

カジノディーラー(以下ディーラー)という職業をご存知ですか。ディーラーはカジノやゲーミング施設でゲーム進行を担っている人たちです。カジノがある国では、ディーラーは「ギャンブル施設」でディーリング業を行っていますが、ディーラー職って悪?それとも地域・観光立国のエンターテイナーでしょうか。

シリーズ③のテーマは「ディーラーの年収はどれくらい?ディーラーチップの必要性」です。

ラスベガスの初年度ディーラー年収は約330万円、「チップ制度」で大きな差も

諸外国も日本も、ディーラーは基本的に時間給で働いていることが多いだろう。近年の国内ディーラーの時給は概ね1,100円から1,500円程のようだ。報酬に差があるのは歴年数と店舗の運営方針によるためである。

1990年代初頭、約30年前に筆者が勤めた都内アミューズメントカジノ(アングラではない)のディーラー時給は3,000円という破格な時代があったが、若干続いていたバブルの恩恵を受けたからだろう。

ところで、現在の国内外のディーラー年収はどれくらいなのか。ふっと、そんなことが頭をよぎったため、独自に調査を行ってみることにした。

例えば、国内ディーラーの時間給が1,300円で、一日8時間、20日間のフルタイム勤務ができた場合、日当は1万400円、月収は20万8,000円となった。それを12カ月で掛けると年収は249万6,000円である。ここでは税金等の計算は含まないこととする。

三労総合研究所の調査によると、2019年度の日本の大学卒(一律)の初任給の水準は20万8,826円であった。そのため時間給1,300円のフルタイムディーラーは日本の大学卒の初任給と同じくらいの報酬は得られていることがわかった。

では海外ディーラーの年収はどれくらいなのだろう。カジノがあることで有名なイギリス、ドイツ、ラスベガスの初年度ディーラーの年収と比較をしてみたい。

イギリス地方にあるスモールカジノの場合、ディーラー一年目の年収は約18,500ポンド、日本円では約257万円である。(2020年12月為替レート)。日本のフルタイムディーラーの年収は概ね250万円前後であるため、2020年12月頃、あるいはここ数か月の円安が来るまでは、双方の「店舗から受け取る報酬」にあまり差はなかった。しかし、2022年7月31日現在の為替レートでは18,500ポンドは約300万円、よって現在は40万円以上の年収差が生じてしまった。

加えてもう一つ、海外の主要カジノでは「チップ制度」があるのをご存じだろうか。チップ制度とは、プレーヤーから受け取ったチップをカジノが保管し、後にディーラーやスタッフ間で分配する給与以外の「エクストラマネー」(臨時収入)のことである。

イギリス地方カジノの場合、チップは月に約50ポンドから約800ポンドだという。金額に幅があるのは施設の繁忙期かそうでないかが影響しているためだ。夏休みやクリスマスシーズンは来客が多いため、それに並行してチップが増える。また逆も然りである。

これらを考慮した場合、イギリス地方のディーラーの初年度年収は2022年7月31現在では330万円前後になった。

一方、ロンドンの主要カジノの年収はもう少し高額である。約21,000ポンドがディーラーのスタート年収でそこにチップが上乗せされる。チップ額は月約300ポンドから約4,000ポンドとなるため、2022年7月31日現在の年収は450万円前後という結果となった。

年収を見るとディーラーはロンドンで働く方がお得感がある。しかし、ロンドンの家賃の高さや物価高を考慮すると、市内中心部でひとり暮らしができるアパートを探すことは、金銭的に余裕がないかぎりなかなか難しいだろう。シェアルームを見つけることが得策と考えられるが、自分の空間を広めに確保したい場合は、景色の美しい地方で、のんびりとディーラーをやるのも悪くはなさそうだ。

では次に、ドイツとラスベガスはどうであろうか。ドイツカジノのディーラーの初年度年収は約32,000ユーロ(約440万円2022年7月31日為替レート)と高額スタートだ。ここにチップが加わるため、現在では500万円に到達するくらいの高年収である。

尚ドイツのカジノでもチップはディーラーやスタッフ間でシェアされ、経験と歴年数によって受け取り額面に差が生じるという。カジノのある主要国で、チップを導入している場合はどこも同じような運営スタイルであろう。

最後に、ラスベガスの初年度ディーラー年収は、2020年12月の為替レートでは約330万円前後であった。大分前の話ではあるが、筆者がラスベガスのカジノ「ゴールドコースト」から受けたスタート年収は約31,200ドルである。内訳は、一日のハウスペイが50ドル、それに80ドルのチップが加算され、合計130ドルが日給のスタート条件であった。それを20日で計算すると月収は約2600ドル、12か月で掛けると年収となる。2022年7月31日現在では、為替レートの影響から年収は約415万円に跳ね上がった。

各国の通貨の為替変動の影響はあるものの、海外カジノはチップ制度のおかげで現場スタッフの年収を押し上げることに貢献していることは、見ていただけた通りである。

本来、チップというのは強制的に取られるものではないが、サービスを提供してくれたスタッフを労い、そのお礼としてわたす「感謝の気持ち」として捉えることができるだろう。日本にも「心遣い」といった形でお金を配る文化は過去にあったのではないだろうか。

この「心遣い」の感覚を身に着けている層は、与えることによって自分たちも喜びを享受できることを知っている成熟した大人達である。富める者が、自分の余裕のあるお金を必要としている人たちに配るしくみとしてチップはあるのだ。海外5つ星ホテルなどにもこの習慣は受け継がれているはずだ。

国内の給与が上がらない今、日本のIR施設でチップ制度が導入されれば人件費を抑えたい運営者側にも、きっとメリットはあるだろう。

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取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント

カジノIR・ゲーミング業歴31年。カジノディーラー歴25年。10歳から15歳までインドのボンベイで育つ。2001年、米ラスベガスのPCIディーラーズスクールにて日本人初としてブラックジャック・ルーレット・バカラのディーラーライセンス取得。国内カジノメーカーでの広報・カジノイベント企画運営責任者、米系大手カジノ事業主のVIPマーケティング業を得て、2013年8月フリーとなる。2012年  立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(MBA)修士課程修了。2019年 マカオ大学 グローバルリーダーシップ育成プログラム 国際統合型リゾート経営管理学(IIRM) 修了。

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