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弁護士が解説!コロナの感染を理由に職場で嫌がらせを受けた時の対処法

2022.08.10

新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから、2年半程度が経過しました。当初よりは感染の仕組みなどが判明してきているものの、コロナ感染者などに対する差別や偏見はまだまだ存在します。

今回は、新型コロナウイルス感染症に関連して嫌がらせを受けた場合の対処法を、状況別にまとめました。

1. 新型コロナウイルス感染症に関する嫌がらせのパターン

法務省のウェブサイトでは、新型コロナウイルス感染症に関連する差別や偏見の例として、以下の4つのパターンを挙げています。

①医療従事者やエッセンシャルワーカーとその家族への差別や偏見

医療従事者・介護従事者やその家族などに対して、必要なサービスの提供や行事への参加を拒否したりすることは、不当な差別・偏見に当たります。

②感染者とその家族への差別や偏見

コロナ感染者やその家族に対して、治癒して以降も過剰に避けたり、感染経路などについて誹謗中傷したりすることは、不当な差別・偏見に当たります。

③思い込み、過剰な反応による差別や偏見

せきや発熱などの症状だけでコロナに感染していると決めつけたり、感染が流行している学校・地域に在学・居住しているというだけで過剰に避けたりすることは、不当な差別・偏見に当たります。

④新型コロナワクチンの接種を受けていない人への差別や偏見

本人の意思を尊重すべきワクチン接種を強制したり、未接種者を過剰に避けたりすることは、不当な差別・偏見に当たります。

参考:新型コロナウイルス感染症に関連して -差別や偏見をなくしましょう-|法務省

2. コロナに関連する嫌がらせを受けた場合の状況別対処法

コロナ感染者や医療従事者等であることを理由に嫌がらせを受けた場合、法的な観点から対抗手段を取れる可能性があります。

コロナに関して問題になりがちな4つの嫌がらせ事例について、法的な対処法をまとめました。

2-1. 見知らぬ第三者による自宅への張り紙・落書き

自宅の門扉などに、コロナ感染などについて罵倒・侮辱する内容の張り紙・落書きがされるケースがあるようです。

嫌がらせ目的で敷地内に立ち入る行為は住居侵入罪(刑法130条前段)に該当するほか、落書きは器物損壊罪(刑法262条)に該当します。そのため、警察に相談すれば対応してもらえる可能性があります。

犯人についての証拠があれば、警察も捜査に動きやすくなるでしょう。門扉の周辺に防犯カメラを設置して、犯行現場の撮影を試みるなどの対策が考えられます。

また、張り紙・落書きによる嫌がらせにより、被った精神的損害についての慰謝料を請求することもできます(民法709条)。

2-2. 職場における嫌がらせ

本人や家族のコロナ感染を理由として、不当に長期間の出勤禁止を命じられたり、他の従業員との交流を断たれたりした場合には、ハラスメント(パワハラ・モラハラ)に該当する可能性があります。

会社には、従業員をハラスメント被害から守る安全配慮義務があります(労働契約法5条)。もし上司や同僚からハラスメントを受けた場合には、会社の相談窓口や人事部などに対応を求めましょう。

なお、会社がハラスメントに加担している場合には、弁護士を通じて是正を求めることが考えられます。

また、コロナ感染を理由とする懲戒処分(減給・降格など)は、懲戒権の逸脱・濫用として無効の可能性が高いです。もし不当な懲戒処分を受けた場合、弁護士や総合労働相談コーナー(都道府県労働局・労働基準監督署)へご相談ください。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

2-3. 学校でのいじめ

本人や家族がコロナに感染したことや、家族が医療従事者であることなどを理由に学校でいじめを受けた場合、加害生徒に対して損害賠償(慰謝料など)を請求できます(民法709条)。

また、学校側がいじめを漫然と見過ごした場合には、学校側に対しても、監督責任を怠った注意義務違反を理由に損害賠償を請求できる可能性があります。この場合、加害生徒と学校は連帯して、被害者に生じた損害を賠償しなければなりません(民法719条1項)。

2-4. インターネット上での誹謗中傷

コロナ感染などを理由に、インターネット上で誹謗中傷を受けた場合も、加害者に対して不法行為に基づく損害賠償(慰謝料など)を請求できます(民法709条)。

誹謗中傷の投稿者が匿名であっても、発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法4条1項)などを通じて特定できる場合があります。

現在のところ、発信者情報開示請求にはかなり長い期間がかかりますが、2022年10月以降は「発信者情報開示命令」の制度が新設され、所要期間が短縮される見込みです。

また、誹謗中傷は名誉毀損罪(刑法230条1項)による処罰の対象なので、警察に刑事告訴をすることも考えられます。誹謗中傷により、どのような損害が生じているのかを具体的にアピールすれば、警察が捜査に動いてくれる可能性が高まるでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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